枕がなくても眠れる子どもだった。


家族で川の字になって寝るとき
末っ子のわたしはいつも
誰かしらにくっついていたから

「各々の陣地」を区切っているような
枕の存在は正直、邪魔なものだった。



家族に抱きついて眠る年齢を越えると
かわりに枕を抱きかかえて寝た。

学校の宿泊行事で用意される枕も同じ。


一人暮らしを始めてももちろんそう。




彼氏ができた。

頭を高くして眠るのが好きなひとだった。


彼に抱きついて眠るために、
わたしも高い枕で眠るようになった。



彼氏とは離れた。

わたしは今でも、
きちんと枕を高くして眠る。

抱き枕もちゃんと買った。

頭を高くして、抱き枕をかかえて眠る。



大人になるってこういうことかしら。