山本ひろ子先生による〝御幣〟に関する論考はこちらに収められています。

特集　御幣

『自然と文化　63』（日本ナショナルトラスト　2000）

大きな御幣をおしいただく、幣持ちがかわいらしい。

表紙は春日若宮御祭（かすがわかみやおんまつり）の「金剛御幣（こんごうごへい）」。

（同書内、松尾恒一氏の「御幣にみる南都の神仏習合世界」で詳しく説明されています）

「いざなぎ流の御幣」については

梅野光興氏が寄稿されています。

（同書より）

山本ひろ子先生の「御幣の動態学　祈禱と祭の現場から」では、「はじめに」で

「御幣を、お定まりの神の形象や祭場の飾り物から解き放ち、幣帛（へいはく）という古い役割からの変容を見届けるためには、祈禱や祭のただ中で御幣の動態を掬いとる必要がある。そのとき御幣は、とりすました神の依代（よりしろ）であることをやめ、思いがけない身じろぎを示すかもしれない。」

と述べ、Ⅰ～Ⅴ節に分けて以下を論じられています。

　Ⅰ御幣の祭文と御幣作り

　Ⅱ祈禱のなかの御幣へ――奥三河の病人祈禱祭文をめぐって

　Ⅲ祭壇としての御幣――いざなぎ流・法の枕とミテグラ

幣を切るいざなぎ流の太夫さん。

（同書、上掲論文より）

　Ⅳ神霊を運ぶ――「塚起こし」にみるのりくら御幣の運動性

　Ⅴ変容する御幣――青柴垣神事（あおふしがきしんじ）の奉幣鉾をめぐって

祭文、そして祭の現場とフィールドを移しながら〝御幣〟に迫ってゆく。〝御幣の動態学〟という新たな視座。

各地の図書館には収蔵されているのかな？　御幣に興味のある方は、ぜひご一読を。

自然と文化63『御幣』（日本ナショナルトラスト 2000）のご紹介