さあ最終日。

船の時間があるためホテルを早めに出発するので、朝の散歩も早めに。

朝食前に出掛ける。

大津滞在の御礼に天孫神社を参拝し、

地図で名前をみかけてどうしても気になっていた平野神社へ。

こちらも同じく旧東海道に面している。

重要なお宮にちがいない。

高低差の大きな地形。

立派な参道入口。

丁度朝日が昇ってくるところだった。

ご由緒を読んで、蹴鞠に縁のお宮だということを知る。

蹴鞠と言えば…中沢新一『精霊の王』が思い浮かぶけれど、

いまのゼミでならその先をもっと掘り下げることができるはず

と思ったり。

この日は、祭礼見学のオプションツアー。

せっかく滋賀へ来たのだからということで、竹生島と白髭神社へ足を延ばそうという趣旨。

竹生島は冨士講の外八湖の一つにもあげられる場所。弁天信仰の島。

今津港からの朝一番の船に乗ったので、まだ観光客は少なく、

次の便からは海外の旅行者が多かった。

静かに参拝できたことを感謝。

昨日購入したお神酒を神前にお供えして、お下がりは今晩寝台車で帰るというM君に。

白髭神社は近江最古の大社で倭姫命の創建（再建）という。

社の背面、水海に面した山には磐座らしきものもあり、古代の信仰の面影を伝えていた。

さて白髭神社参拝も終え、予定していた行程は以上でおわり。

わたしは礼参りをしたいので、とJR比叡山坂本駅で皆と別れて、再び坂本の町へ。

叡山、日吉大社に旅の無事の御礼を伝え、心残りだった琵琶湖畔のお宮へ。

由緒のありそうな古い家々が並ぶ。

供所神社のご祭神、祝部成遠（ほうりべなりとう）は樹下系の先祖、大崎神社のご祭神、祝部茂正（ほうりべしげまさ）は琴御館宇志麿の子孫という。

湖畔から一直線に八王子山が遥拝できる。

はじめて歩いた下坂本～比叡辻。湖畔と山との往復を見渡すとまた祭のスケールも違ってみえるし、大津、唐崎、比叡辻と湖上を介して繋がるルートもイメージできる。もちろん物語の運搬も。

また近いうちに皆と一緒に訪れよう。

次のフィールドワークの構想がおぼろげながらみえてきた（おわり）。

…さてさて、本日２８日のゼミに間に合うようにと駆け足で今回のフィールドワークを振り返りました。予想に反して長い振り返りになりましたが、やっと一区切りです。

お読みいただき、ありがとうございました。

○参考文献：山本ひろ子「〈物語〉のトポスと交通　日吉大社大宮縁起と説経『愛護の若』と河原巻物をつなぐもの」（赤坂憲雄、兵頭裕己、山本ひろ子編『物語・差別・天皇制』五月社、1985　所収）

日吉山王祭フィールドワーク こぼれ話（その１６）