クリスチャン・ホーナーは、レッドブルを解雇された後もF1の表舞台への復帰を強く望んでおり、その有力な選択肢としてアルピーヌF1チームへの関与が取り沙汰されている。レッドブルは2025年イギリスGP直後、成績低迷や内部の権力闘争、さらにマックス・フェルスタッペン離脱の可能性が現実味を帯びたことを背景に、20年間続いたホーナー体制に終止符を打った。
後任にはローラン・メキースがCEO兼チーム代表として就任し、チーム内部の雰囲気は急速に改善されたとされる。一方でホーナーは、巨額の退職金と長期のガーデニング休暇を伴う形でレッドブルを去りながらも、水面下ではF1 CEOのステファノ・ドメニカリと接触し、新チーム構想を含む将来の可能性を模索している。ただし、新規参入よりも現実的な復帰ルートとして、アルピーヌが注目されている。
報道によれば、ホーナーはアルピーヌにおいて単なるチーム代表ではなく、経営権を掌握できる立場を求めている。ファクトリーエンジン部門を閉鎖し、2026年からメルセデスのカスタマーチームとなるアルピーヌは、体制再構築の節目にあり、ホーナーはこれをタイトル争い復帰への近道と見ているとされる。
しかしアルピーヌ内部では、ホーナー招聘の必要性に懐疑的な声も強い。ピエール・ガスリーは、フラビオ・ブリアトーレとスティーブ・ニールセンを中心とした現経営陣の下で、チームはすでに成功に必要な「すべての要素」を備えていると明言している。ブリアトーレの勝利至上主義と、ニールセンの冷静で客観的なマネジメントが補完関係を築いており、組織としての基盤は整っているという認識だ。
実際、ブリアトーレは2024年にアルピーヌへ復帰し、チーム代表代行も務めるなど影響力を強めており、ニールセンもマネージングディレクターとして日常業務を統括している。ガスリーは、豊富な人材と明確な方向性がすでに存在している以上、必要なのは新たな権力者ではなく、現体制のもとで結果を出すことだと強調している。
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