用語解説　単記移譲式（即時決選投票）については下記を参照ください

　　　　　　　単記移譲式を簡単に説明する

1．野党が共産党候補に一本化した選挙区

表1に野党5党が共産党候補に一本化した39選挙区の結果を示します。

　表1.　野党5党が共産党候補に一本化した選挙区

1.1沖縄1区(共産党が小選挙区で唯一つ勝利した選挙区

　沖縄1区(那覇市、渡嘉敷村、座間味村、粟国村、渡名喜村、南大東村、北大東村、久米島町)　
　候補者 3名　　有権者 267,939人　　投票率 55.89%　　

当選　赤嶺政賢　　前　共産(れ)　当選：8回　61,519票(42.2%)
　　　　國場幸之助　前　自民(公)　当選：4回　54,532票(37.4%)
　　　　下地幹郎　　前　無所属　　当選：6回　 29,827票(20.4%)

　下地幹郎氏は前回2017年の選挙で沖縄1区から維新の会で出馬し比例区で当選した。しかし、自民党への復党を目指して同じ沖縄1区から無所属で立候補した。上記結果を見て明らかなように自民党系支持者の票が割れ共倒れしたため、共産党候補者が当選したと考えられる。私は、立候補することは有権者の選択肢を増やし、悪いことではないと思う。ただ、単純小選挙区制度においては候補者の調整が必要だ。特に、沖縄1区は前回も上位3人は同じ顔ぶれで、共倒れで共産党が当選しています。自民党は下地幹郎氏の復党はさせないが、國場幸之助氏を比例区単独にして票割れを防ぐことが有権者の声にこたえることになったのではと思います。ただ、私が何回も主張しているように、単記移譲式(即時決選投票)を採用すればこの問題は解決する。(数学的には解決しないこともあるが実際上は発生しない)

1.2　東京12区
　　共産党が立候補者を立てなければ、当選者が公明党ではなく日本維新の会の候補者が当選した可能性があります。

1.3 それ以外の選挙区について
　　共産党立候補者がいなくても同じ選挙区や、京都1区,京都4区,千葉6区など共産党が立候補しなければ結果の変わった可能性のある選挙区もあります。　全体として共産党は宣伝のために立候補し単純小選挙区制度のため結果をかき乱しただけではないかと思います。

いずれにしても、単記移譲式(即時決選投票)なら気になりませんが、納得しがたい傷跡を残しています。

2. 公明党と共産党が争った選挙区
表2に公明党と共産党が争った選挙区の結果を示します。(東京12区は再掲)

　　　　　　　　　　　　表2.公明党と共産党が争った選挙区（共産党の獲得率の大きい順)

　特に、兵庫8区、大阪5区、大阪3区は公明党か共産党の候補者しか選べない状況です。（大阪３区は立民の候補も頑張ってはいるが）。インターネット上でも選ぶ候補者がいない、白票を入れようかとの議論がありました。実際、無効票が多かったようです。総務省は、少なくとも白票の数は発表し、国民は選挙制度の問題点を指摘し改革を促しましょう。今回の選挙結果について興味深い記事があったので文末に掲載します。

また、前回の衆議院の結果であるが調査した素晴らしい投稿があった。
「日本で最も無効票の割合が多い選挙区はどこか調べてみた」
http://rainbowvortex.blog.fc2.com/blog-entry-82.html

この投稿者は下記のように判断している。
このうち1位から5位までは、自民党候補の立候補していない選挙区が占めている。
特に大阪三区の無効票率は目を引くものがあり、全選挙区のなかでも唯一10%を超えている。自民党と公明党とは与党として選挙協力をしてはいるが、やはり自民党の支持者のなかには「考え方の異なる公明党には投票したくない」と考える有権者が多いのかもしれない。自民党候補が立候補していない選挙区は、他の選挙区に比べて無効票率が高くなりやすい傾向がある。

やはり、政党は選挙協力など止めて戦うべきです。そのために、単記移譲式(即時決選投票)を採用しましょう。

(参考)大阪３区の事情は下記を参照ください
　今度は、与党の選挙協力問題！

3.実質的に自民党と無所属議員で争った選挙区
　　表3に示す主要な野党政党が立候補者を立てていない選挙区があった。

　　　　　　　　　　　　表3.主要野党候補のいない選挙区

　無所属候補は下記の方々です。

茨城1区
　当選　福島伸享　　当選：3回目
　　　　元民進党政務調査会副会長元経済産業省職員

埼玉8区
　落選　小野塚勝俊　当選：1回　支持：共産県委員会

徳島1区
　当選　仁木博文　当選：2回目
　　　　　医師徳島市倫理法人会相談役
　　　　　民進党徳島県総支部連合会代表を歴任

実質、野党候補ですね。

参考文献---------------------------------------------------
下線部分は誠司が強調

神戸新聞　2014/12/15 15:02
兵庫8区の無効票が1割超全区平均4%、少ない選択肢影響か

14日に投開票された衆院選の兵庫県内12小選挙区で、「白票」や候補者名以外が書かれるなどした無効票は、前回2年前より約1万2千票多い計9万3254票に上った。投票総数に占める割合(無効投票率)は4・0%で、1996年の小選挙区制導入以降で最多。公明党と共産党の一騎打ちとなった兵庫8区(尼崎市)では10%を上回った。

　96年以降、県内小選挙区の無効投票率が最も高かったのは2000年の3・65%。公明との選挙協力で自民党が兵庫2区(神戸市兵庫、北、長田区)と8区で候補擁立を見送った最初の選挙で、保守票が行き場を失ったことが影響した-とも指摘された。

　突然の衆院解散からの短期決戦となった今回、立候補者は前回より10人少ない40人にとどまった。さらに「争点が分かりにくい」などの声もあって有権者の関心は高まらず、県内小選挙区の投票率は96年以降で最低の50・86%に落ち込んだ。

　開票の結果、8区と同じく候補者が2人=自民、共産=だった9区(明石、洲本、南あわじ、淡路市)など3選挙区で無効投票率が4%以上を記録。8区と同様に自民候補不在の2区では6・6%だった。また、この3選挙区を含む6選挙区では投票率が40%台に低迷していた。

　大阪府内でも“公・共一騎打ち”となった3区の無効投票率は15・2%、5区が14・9%と極めて高い水準だった。こうした選挙区では投票率が前回より大きく下がる一方で無効票は増える傾向にあり、限られた選択肢に戸惑う有権者の姿が浮かび上がる。

　選挙分析などを手掛ける森脇俊雅・関西学院大名誉教授は「無効票を投じて無言の批判を表す人が多くいたことを、まず野党が受け止めるべきだ。とりわけ、野党第1党ながら多くの選挙区で候補を立てられなかった民主の対応はお粗末だった」と指摘している。

2021年衆議院の選挙結果分析(共産党,選びたい候補者がいない選挙区など)