「何てこった!」大尉がいった。「バイリングじゃないか!」――も一つの死体をちらりと見やって、いいそえた。「猛烈な格闘をやったんだな」
軍医は剣を調べていた。それは北軍歩兵部隊の戦列将校が持つものだった――大尉がつけている剣とそっくり同じだった。じじつ、それはバイリングのものだったのだ。他に発見された武器といえば、死んだ将校のベルトにある、一発も弾丸は発射されてない連発拳銃しかなかった。
軍医は剣をおくと、も一つの死体に近づいた。すさまじい切り傷や刺し傷があったが、血は一滴もなかった。軍医は左足をつかんで、足をまっすぐに伸ばそうとした。強引に伸ばそうとすると、死体がずれた。死者は動かされるのを望まないのだ――それはかすかな、胸のむかつくような臭いを放って抵抗した。死体が始めにころがっていた地面に、数匹のうじがいて、愚鈍なうごめきを見せていた。