黒いカイト | 七色遠景

黒いカイト


傷を舐めあうなんて寒気がすると嗤うなら
プラスチックみたいなあなたの心は
そのプライドごと
熱で溶けてしまえばいい
変色した桃のようなわたしの心は
この傷んだ部分ごと
下水に投げ捨ててしまえばいい
わたしの過去はもうこれ以上教えたくない

青空に黒いカイト連ねて
宙に浮かべる
墜ちるまで浮かべる
繋ぎ止めた欲望はいつも数珠繋がり
欲しがっていた物なら全部
コンビニの蛍光灯とモニターの中

納得のいかないときだけ
くれるメールだったら要らないから
深爪をした薬指を咥えて
ステレオデッキは曲を終えたまま
オレンジ色が暗闇に光る
CDを変える時に
不意に円の中に顔が映って舌打ち

青空の黒いカイト連ねて
宙に浮いたまま
真っ赤に燃やす
墜ちるまで燃やす
繋ぎ止めた欲望は数珠繋がりのまま
宙で灰になればいい
あなたの欲しがっていた物は何ひとつ
わたしの中には置いてやしない

自意識も塩分も朝から過剰に摂取
プロテインの缶と腕を曲げては見比べて
ポテトチップスはそれでも食べる
そんな顔しなくても
しょっぱいなら
水を呷れば薄まるだけのこと
あなたの欲しがっていた物はすべて
あなたの中にあるんだから
何ひとつわたしの中には置いてやしない