愛ひとつ伝えられない現実を棚上げにして詠む愛の歌 (宴)
息をする合間が愛か息をする瞬間(とき)が愛かを決めてほしいの (いさな。)
うやむやにしてしまいたいことがあり愛かどうかは微妙なところ (宴)
永遠の話はやめてそれよりもチョコミントのチョコ抜きでください (いさな。)
大声で叫びたいので取り急ぎフォント15で打つ「アイシテル」 (宴)
「かき消した愛のあとから溢れでるものがほんとの愛かも」「まさか」 (いさな。)
求愛のダンスとやらを教わりに丹頂鶴に会いにゆくべし (宴)
くちなしの色に沈んで日記には「まるでふたりは黄昏でした」 (いさな。)
結論はさきにのばしてかさねあう てのひら・きのうみたゆめ・からだ (宴)
今夜また微かな寝息をさぐっては暗闇色のためいきを呑む (いさな。)
ささやかに君を抱けばさみしさに呼応して鳴くふたつのこころ (宴)
白白と明けてゆく空 鬱々と淀む愛情物語、続 (いさな。)
すれすれのところで保つ平穏を針で突付けばあっけなく 完 (宴)
背中から何度も刺しているはずの傷さえ愛となんで言えるの (いさな。)
そのときに背中をえぐる爪痕は愛か憎悪か。欲望にツバ (宴)
確かめる術は闇夜に溶かされて愛という字を思い出さない (いさな。)
致命傷だったようです。もうどんな愛も愛撫も虚ろに響く (宴)
つきましては桜を愛でに行きましょう惜しまれながら捨てられたいし (いさな。)
手の内に隠し持ってるジョーカーを叩きつけてよ(みごと散るから) (宴)
戸惑いはみせるものではないんだとほくそ笑んでる切り札の罠 (いさな。)
投げやりと咎められても自意識が邪魔してうまく泣けない「ごめん」 (宴)
2×2=4 2×3=6で増えてゆくたぶん愛ではないものすべて (いさな。)
ぬるま湯に浸す無理数(循環はしない)愛とは無限小数 (宴)
眠らない街が√で囲われてどこまで行けば夢から覚める (いさな。)
飲み込んだ言葉がショートするらしく夢か現(うつつ)か引き抜くプラグ (宴)
はじめからないことにするあの日からはじまらなかったことにするわね (いさな。)
(向日葵になんかなれない)8月の風に崩れるブリキの案山子 (宴)
不意打ちになるべく傷つきませんよう傷口もっと開きませんよう (いさな。)
並列のふたりでいよう傷口にバンドエイドを愛には愛を (宴)
ほんとうのことばっかりで埋め尽くす昨日も明日もきっと痛いね (いさな。)
紛らわすために飲み込むアスピリン縺れる舌があなたを探す (宴)
見つけたらおしまいになるかくれんぼ優しい君がきっと泣き出す (いさな。)
無精卵かかえてひとりうずくまる影の見えない影踏みのよう (宴)
巡り逢う何億分の一という確率数えて雨音を聴く (いさな。)
モノクロの雨に溶け出す真実と「冗談だよ」の狭間で揺れる (宴)
優しさを履き違えてもいいですか無理やり濡れるための夕立 (いさな。)
唯一になりたがってるわけじゃなくどしても欲しいゆいいつがある (宴)
余分などあるはずもなく泣き場所はどこも満員キビスを返す (いさな。)
ランダムがあたし流だと強がって未だに見つけられない居場所 (宴)
利口ではないやり方で愛がゆく立ち読みしてる間 たとえば (いさな。)
ルールなどお構いなしに奪いあう寂しさ埋めるためだけの夜 (宴)
劣情を重ね合わせて過ぎてゆく 大事なものが壊れそうです (いさな。)
濾過をして最後に残る塊をあたしらしさと呼べば愛しく (宴)
煩わしい錘(おもり)は置いて行きなさいあたしが抱いて沈む 泣くけど (いさな。)