次世代携帯機の目指したもの (1)
NGPと3DSは競合関係にあることは確かだが、この2つはコンセプトがかなり異なるため、互いの比較では本質を捉えることが難しい。それ以外の機器と比較することで、NGPと3DSが本当は何を目指しているのかが、よりはっきりと浮かび上がってくる。
まず3DSについて考えてみよう。
3DSの最大のライバルはNGPでもiphoneでもない。3DSの最大のライバルは、偉大な兄DSだ。
そこで、3DSとDSを簡単に比較してみた。
ここから、任天堂がDSから変えたこと、DSから変えなかったことを拾い出してみる。
【変えたこと】
・裸眼3Dの追加
・グラフィックを精細化、色彩表現を強化
・画面サイズ変更(上画面を大きく、下画面を小さく)
・カメラの追加
・センサ(加速度センサ・ジャイロセンサ)追加
・スライドパッドの追加
【変えなかったこと】
・サイズ/重さとデザイン
・タッチパネル(感圧式シングルタッチ)
・ネットへの接続方法(IEEE802.11b/g 2.4GHz)
DSから変えたこと、DSから変えなかったことから、3DSのコンセプトが伝わってくる。
・サイズ/重さとデザインはDSからそのまま引継いだ
→3DSはあくまでDS(の強化版)、別のなにかじゃありません、という任天堂のメッセージ
・画面サイズ変更(上画面を大きく、下画面を小さく)、タッチパネル(感圧式シングルタッチ)変更なし
→上下画面の役割分担を明確化
上下画面を連動させた表現は切捨て、下画面はタッチ操作用サブ画面、と割り切ってきた
→タッチはあくまで十字キー+ボタンの補完機能との位置付け
細かいポインティングがメイン。ジェスチャーをUIのメインにしたiPhoneとは使い方が全く異なる
・ネットへの接続は重視しない
→ミニゲームは別として、主力ゲームのDL販売やパッチは基本的に想定しない
→また、ネットワーク経由での対戦やcoopは基本的に想定しない
・センサ追加は、wiiの成功を受けた、順当なフィードバック
→wiiでのモーションコントローラーの成功から、十字キーとともに、今後の定番として位置づけた
また、wiiでひきつけた客を3DSに展開したい、との意図も感じられる
これらの点から、3DSは、WiiとDSでの経験を踏まえて、細かいところを順当にリファインしてきたようだ。
逆に言えば、DSのコンセプトはそのまま受け継がれており、大きな変更はされていない。(この点は、実は大変に重要なことだ)
今回は触れていないが、グラフィック機能の強化は、「順当にリファイン」の域は遥かに超えている。
DSのコンセプトは、この強化によって、大きく変わってくるのだろうか?
これについては、もう少し詳しく考えてみたい。