三浦路美雄の7日間 (僕らのカンニング大作戦アナザーストーリー) | Maruoのブログ

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ハッカージャパン「僕らのカンニング大作戦」の終わりで、ロミオが1週間、自主謹慎をするんだけど、その1週刊の出来事を書いてみた。途中だけど。

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「先生と取引しないか?」

中学3年生の三浦路美雄(ロミオ)は、友人にカンニングを教えたことを反省し、担任の先生に謝罪に行ったところだった。
「取引って・・・」ロミオは、担任の言葉に反応した。
「2年生に、転校してきた女子がいるのだが、いじめを受けているらしい。本人から先生に相談があったんだ」
「そ、そうですか。しかし、なぜ僕なんですか?」
間髪入れずに担任からは取引の条件が提示された。
「推薦を取り消されたくないだろ。先生たちも、いじめ問題は困る。だから、取引しようという話だ。」
良い子を育てるという、世間のお手本のような学校があるとは毛頭信じていなかったが、まさか自分の担任から交換取引を持ち掛けられて、しかもそれが自分の推薦とは、まったく。
「・・・」
「お前のスキルがあれば、調査がスムーズに進むと思って先生は相談しているんだぞ。」
「本当に、推薦で高校にいけるんですよね?」
テレビを通してしか知らず、自分とは無縁のことだと思っていた"いじめ"というキーワードをまだ十分に理解できていなかったが、とりあえず調査して報告すれば推薦できるという交換条件は悪いことではない。
「もちろんだ。ただし、誰にも、このことを言うなよ。1週間後に調査結果をまとめてくれ。手を抜いたら、タダじゃ済まないぞ」
「・・・。わかりました。」ロミオは納得いかない素振りを見せ、小声で返答した。
翌日から、ロミオはインフルエンザという理由で1週間学校を休んだ。

ロミオは、先生から調査を頼まれた中2の女子『高城(たかじょう)理紗子(りさこ)』について調べ始めた。
クラスや成績はもちろん、家族構成など学校側で把握している情報についてはあらかじめ先生から聞いていたのだが、表に出ないからこそイジメになる訳なので、それらの情報は全く役に立たなかった。
まず、ネットで『高城理紗子』で検索すると、引っ越す前の友人の情報と、今の中学の掲示板がヒットした。
本名で検索すれば簡単に情報が入手されるのだから、簡単なことだ。
すべての情報が筒抜けな世の中になってしまわないように学校の時間割の中に情報リテラシーという時間を設けても良いんじゃないかと真剣に思う。
理沙子は、東京都心から3ヶ月前に引っ越してきたらしい。
前の中学では人気があったようで、友人と仲良く写っている写真もネットで検索できた。
理沙子は、髪が少し茶色がかっており、かなり大人びた顔立ちだった。
一方、今の中学の掲示板には、酷い書き込みが目についた。『生意気』、『ヤリマン』、『ブス』、『死ね』という文字が飛びかっていた。
理沙子の名前はどこにも出ていないが、『都内から引っ越し』『茶髪』というキーワードで、すぐに理沙子のことだとわかった。
転校して環境が変わるので多少の変化はあるかもしれないが、以前の写真からするといじめをする側にはならないし、いじめの対象にされるという様子もまったく見受けられない。

路美雄は1日1回、担任の先生に電話で報告する約束をしていた。
「もしもし、先生ですか。」
「おう、三浦か。元気にしていたか。」
「ええ、まあ」
「で、どうだった?何か分かったか?」
初日で分かる程度であれば、早々にまとめて解決方法まで教えてやるって、という喉まで出てきた言葉を呑みながら事務的に報告することにした。
「どうやら、3年生の誰かが、意図的に『高城理紗子』さんの悪口を書いているみたいですね。何か、気に障るようなことをしたのでしょうか」
「その3年というのは誰だ?」
「わかりません、今は」
「そうか、じゃあ明日調べてくれ」
「そんなぁ。掲示板に誰が書込したのかなんて、簡単に調べられないですよ」
「じゃあ、推薦はなかったことになるな」
「ひどいですね、先生。そこまで言うなら、わかりましたよ。少々、法律的にグレーゾーンになりますが、ある実験をして、犯人を特定するしかないです」
「万が一の事があったら、先生が面倒みるから安心してくれ」
翌日から、ロミオは悪口の書き込みをしている生徒を特定するための『実験』に着手し始めた。

~つづく~