昔から知っている彼だった。

でも、しばらく連絡を取っていなかった。


偶然の再会から、また会うようになり、

ご飯を食べて、時間を過ごして——

気づけば数ヶ月が経っていた。


そんな時、妊娠が発覚。


彼は私のことを好きでいてくれたし、優しかった。

だけど、それ以上に「クセが強い」と感じる部分があった。

この人と結婚して大丈夫なのか——。


悩んで、迷って、考えて。

それでも、お腹の赤ちゃんを見たら、

もう覚悟を決めるしかなかった。


安定期に入ったら一緒に暮らすために引越しをしよう。

そう思っていたのに、彼の一言に驚かされた。


「生まれてからでよくない?」


……え?


子どもが生まれてからの引越しが、どれだけ大変か分かる?


そう伝えると、彼はこう返してきた。


「お前が早く一緒に住みたいだけやろ?」


え、ちょっと待って。

なんでそうなる?


子どもを迎える準備なんて、全く考えていない。

いや、そもそも**「大変さを理解しようとすらしていない」**。


ただ、彼も彼で大変だったのは分かる。

ちょうど同じ頃、自分のサロンを開業して、

頭の中はそっちでいっぱいだったのかもしれない。


「初めての妊娠」と「初めての会社経営」。

私たちは結婚と同時に、

それぞれ人生で初めての大きな挑戦をすることになった。


でも、この時の私はまだ知らなかった。

この「違和感」が、

やがて私の心を蝕んでいくことを——。