セコンドアウト! -533ページ目

ド演歌ファイター、越中詩郎48歳の晴れ舞台だって!

070502_新日本後楽園いやはや昨日の新日本プロレス後楽園ホール大会の盛り上がりは凄まじかった。客席後方の立ち見から、バルコニー席までギッチリ入って、チケットは完売。その上、チケットが買えなかったファンが、まだかなりの数いたという。
後楽園が超満員札止めになるのは当然初めてではないし、ドラゲーやDDT(マッスル)あたりでも見かける。ただ、やはり老舗であり、いわゆるメジャー団体と言われる新日本がスゴイのは主役が48歳の越中詩郎だってことだろう。これだけのベテランレスラーが主役を張るなんてことは、インディー団体ではなかなかないこと。
試合前にスクリーンでジュニアヘビー級時代の越中vs高田のシーンが流れると、会場がどっと沸いた。当時の試合をリアルタイムで見ていたファンも少ないと思うのだが、高田も知名度がある人だし、その2人が若い頃対戦していたっていうのが、逆に新鮮なのかもしれない。そういう意外な歴史を持っているから老舗は強い。

そもそも今回の越中ブームは、芸人ケンドー・コバヤシがマニアックな越中ファンで、『アメトーーク』に出演した際にことごとく越中をプッシュ。挙げ句の果てには“越中芸人”という企画まで実現させたのがキッカケ。
ようは長州小力がブレイクしたことで、相乗効果で長州力の人気も上がったのと似た現象ではあるが、越中の場合はケンコバ以上に本人のキャラクターがウケた。その昔“ド演歌ファイター”と表現された、いかにもいぶし銀の越中だが、なぜか自分のケツを相手にぶつけていくという、正直コミカルな技(=ヒップアタック)を得意技にしている。それでいて「俺のケツはダイヤモンドの硬さだって!」と真顔で言ってしまう見た目通りの“真面目さ”。この辺が越中の魅力だろう。そういうキャラクターにスポットを当てて、笑いに変えたケンコバは素晴らしい。
ちなみに語尾の「~だって!」はケンコバが特別強調しただけだと思うのだが、ド演歌ファイターのキャラと相まって、これが大ウケ。最近では越中自らわざわざ言うようにしているのが、また微笑ましい。

新日本はここ数年、ゴタゴタが多過ぎた。多くの離脱者が出たし、マイナスなニュースばかりが目立った。会場には空席も目立つようになり、崩壊は時間の問題と思われた時期もあった。
しかし、ここに来てすべての負の部分が削ぎ落ちて、グッドシェイプされたのか、新日本がいい意味で変わった。何せ試合前、しかもIWGPヘビー級タイトルマッチ前の煽りVTRでケンコバにナレーションをやらして、越中に「やるって!」を連呼させたのだ。今までの新日本では考えられない柔軟な発想だ。崖っぷちに来て開き直ったか?
このVTRがまたドンピシャでハマった。場内は一気にテンションが上がり、大歓声の中入場してきた越中は早くも感極まった表情。今まで苦労してきた越中が、48歳にして一世一代の大舞台に立つ……もう、このシチュエーションが越中をよく知るマニア層には堪らない! 対戦相手が永田というのもまたよかった。やはり越中は散々蹴られて、それを耐えるシーンがよく似合う。そうやってマニアを満足させる一方で、越中ブームに乗ったライトな層も生越中(生ヒップアタック)を十分堪能できただろう。この辺がメジャー団体の強さだなぁと実感させられた。

とはいえ、まだまだ後楽園ホールクラス。かつては東京ドームを超満員にしていた新日本からすると、まだまだ道のりは険しい。越中ブームもいつまで続くか分からない。それだけに、越中ブームに乗って会場に来た人、またはテレビで見た人に「おぉプロレスっておもしれぇな!」と思わせる必要がある。昨日の後楽園はその第1段階! 今までは肝心なところで失敗してきた新日本だが、ひとまず第1段階は大成功だった。さぁ、これからが勝負だって! 頑張れ、新日本!