毎年、バレエを観に行っている。

私の元に娘が1人生まれて来てくれてから2人でバレエを観に行っている。

子供には芸術を遠くに感じて欲しくなかった。

心の中に、大好きな物語や、心を打たれた絵画、自分で音楽を奏でる楽しみが有れば

人生のとてつも無く寂しくて苦しい時に芸術が娘を助けてくれると思っていた。

小さなこの娘は、お父さんお母さん！と無邪気に笑って甘えているけど

この子が「お母さん大嫌い」「この家も大嫌い」と思う時がくる。絶対くる。

そんなのは割と世間では当たり前で「思春期」という

でも本人には大事件だ。そういう時期が誰しもある。

その時に初めて孤独を味わうだろう。

お母さん大嫌いと言われた時に私は彼女の側には居られないだろうから

その時に、何か楽器を弾けて、歌を口ずさめ、古い物語が暖かいお布団のように抱きしめてくれる

そんな事を期待していた。

だから、小さいうちから芸術を身近に、と思った。

12月は毎年母子でバレエくるみ割り人形を観に行く。といっても、娘の入院、家族の入院、私の入院、なんやかんやで数えるほどしか行っていないけど

私と娘はは少しおめかしをして会場に行き

良くわからなかったけど面白かった

という感想の娘とレストランで食事をし

パスタって細長い麺だけじゃないんだ！と驚き

私も娘も一個づつおもちゃを買って帰った。

バレエを観に行けない時はディケンズのクリスマスキャロルを2人で読んだ。

これはすごい物語だと思う。

話がどう、というより描写力が抜群だ。

とにかくクリスマスにはクリスマスキャロルを身近に置いていた。

ディケンズさん、私に足りないところを娘に頼んまっせ！！

と丸投げするような感じで。

そして3年前のくるみ割り人形の舞台で彼女の何かと何かが繋がったのか、娘は号泣した。

ミュージカルは台詞があるから泣けてくるのもわかるけど

体だけで表現するバレエに感動して号泣する人を初めて見た。

連れていっときながら「へえ！バレエって泣けるんだ！」と思った。

そして昨年も泣いたけれど、少しだけだった。

どうやら娘の解釈とバレエカンパニー側の解釈の違い、演出の変化が彼女を戸惑わせた。（ようだ知らんけど）

そして今年は大号泣。当たり年〜〜！！

タクシー乗り場でもまだ泣いてて「お母さん（連れて来てくれて）ありがとう」としゃくりあげていた。

感動して泣いている娘はとても優しくて弱そうで、「芸術が彼女を支える！！！」とは真逆のように見えるけれど

彼女の一つ一つの感動が彼女の芯になって行くのだきっと。多分。多分。そう。

彼女の素直な表情を見るために丈夫に長生きしなきゃなと

そして泣いてる娘を引っ張って帰らなきゃなと

結局いつまでも支える側の私のようです。

そんな娘が今年の誕生日にくれたのはバレエのネックレス

かわいい。ありがとうねえ。

関係ないけどこの日はバレエのネックレスに、寒さ凌ぎに猫を首元に巻いて

ネチコヤーン！！！！

とこんな感じでしたとさ。

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人を人らしくしてるのは過去の人の遺産