テイチク・レコード時代の大映レコードのレーベルを見ると、大映レコードの制作でテイチク・レコードに配給・販売(ディストリビューション)を任せていたのが分かる。そして何等かの理由で70年夏に日本コロムビアの配給に変更後、71年に親会社の大映が倒産し、レコード室も自然消滅したと理解していた。

 歌謡曲は疎いので、念のためウィキペディアを確認したところ、以下の書き込みがあった。『本体の大映は1971年に倒産、同時に、このレーベルも自然消滅したものと思われる。 なお、同じく1971年に、勝新太郎の「座頭市」「悪名 (河内音頭)」の2つのシングル盤が、テイチクレコードのレーベルが貼られたうえ、「テイチクレコード・大映レコード提供」といった形態で、かつての販売元のテイチクより再発売されている。』(ウィキペディアより引用)  ん!はて?大映レコード室の制作物で70年に販売元を日本コロムビアに変更しての発売後、会社倒産の憂き目にあったのに、古巣テイチクから盤が出た?!何故?!

この2曲をカップリングした盤、RS-344を当方も所持しているが、『大映レコード云々』の表記など盤にもジャケットにもどこにも記載が無い。さて、困った。71年にこの盤の元になるレコードが2枚出て、このRS-344をアンコール盤として再発(再再発?)されたのか?

 

  

RS-344のジャケット      レーベルは確かにテイチク

 

 調べたら、このRS-344の元になったと思われるテイチク・レーベルのSN-1215「座頭市」「座頭市子守唄」と SN-1216「悪名(河内音頭)」/「悪名のテーマ」の2枚が出されているのが判明した(レコード・マンスリー、72年3月号掲載)。前者は大映レーベル時代のD-1の再発、後者はD-66の再発で、後者はジャケットこそ勝新太郎だが、鉄砲光三郎の唄と映画から直接収録した”サウンド・トラック”なのでジャケットにも明記されたのだろうか。こちらの再発盤(SN-1215、SN-1216)では、テイチクの脇に『大映レコード提供』とある。この2枚からの再発盤として”ゴールデン・カップリング”盤RS-344「座頭市」/「悪名のテーマ」77年に出された。(レコード・マンスリー77年5月号掲載)なので、再々発盤となる。

こちらには、『大映レコード提供』の文字は無い。

 

 このウイキへの書き込みは72年に出した再発シングル盤2種を指していると思われるので、71年発売というのは明らかに間違い。ゴールデン・カップリング盤は無視、の記載で危うい記述である。どういう資料からこんな記述をしたのかは分かりませんが、資料に当たり現物の確認の上での記述でない中途半端な記述は誤った情報を拡散させてしまいます。気をつけねばいけませんね。

 

 それにしても、配給を担っていた会社の音源を倒産したとはいえ、勝手(?)に出していいのだろうか?それともアトランティック時代のスタックスの様に原盤権はテイチクにあったのだろうか?そうすると日本コロムビアからのリリースのつじつまが合わなくなるが・・・。「座頭市」「座頭市子守唄」は、D-1の大映レーベル、G-1の日本コロムビア大映レーベル、SN-1215のテイチク・レーベルのものが残されている怪!コロムビア盤G-1の「座頭市の唄」は確かに最初のセリフも違っていてテイチク盤とは異なる。しかし、「子守唄」の方は同じ音源の様にも聞こえる。テイチク時代の音源の権利は、アトランティック時代のスタックス同様の親会社のテイチクに権利がある契約だったのか?そうするとコロムビア盤の不思議が解明できない。

まあ、固く考えないで昭和のユルさと思えばいいのかも・・・(笑)。