「心臓が時々変なリズムを刻む病気」

~不整脈源性右室心筋症(ARVC)って何?~

こんにちは!

今日はちょっと珍しいけど、若くてスポーツ好きな人に意外と関係してくる心臓の病気について、できるだけやさしく書いてみます。

不整脈源性右室心筋症(ふせいみゃくげんせい うしつ しんきんしょう)

長いので普通はARVC(エーアールブイシー)と略されます。

昔は「不整脈源性右室異形成(ARVD)」とも呼ばれていました。

簡単に言うとどんな病気?

心臓の右心室(右側のポンプ部屋)の心筋が、だんだん普通の筋肉 → 脂肪や瘢痕(線維)組織に置き換わってしまう遺伝性の病気です。

例えるなら…

コンクリートの壁(正常な心筋)が、だんだんスポンジみたいにスカスカになって、ところどころ**油(脂肪)ゴム(線維)**で埋め立てられていくイメージです。

このせいで

・心臓の電気信号がうまく流れなくなる

危険な不整脈(特に心室頻拍・心室細動)が起きやすくなる

・右心室が薄く伸びて、うまく縮まなくなる

どんな人に起きやすい?何歳くらい?

•  10代後半~40歳くらいで発症しやすい(ピークは20~30代)

•  男性のほうがやや多い(特に重症になりやすい傾向)

•  スポーツ選手や激しい運動習慣のある人で突然死の原因になることが知られている(若年突然死の約10%くらいがARVCと言われています)

どんな症状が出るの?

初期~中期では、こんな感じの症状が多いです

•  ドキドキ・脈が飛ぶ(動悸)

•  めまい・ふらつき

•  運動中に急に失神(気を失う)

•  最悪の場合…突然意識を失って心停止(突然死)

後期になると

→ 足のむくみ、腹水、お腹が張る(右心不全のサイン)

でも怖いのは

何も症状がないまま、突然命に関わる不整脈で倒れる」ケースが結構あることです…。

原因は?

ほとんどが遺伝です(常染色体優性遺伝がメイン)。

デスモソーム(細胞同士をつなぐ接着装置)に関わる遺子の異常が一番多いです。

代表的な遺伝子

•  PKP2(一番多い)

•  DSP, DSG2, DSC2, JUP など

家族に突然死や若い頃の不整脈の人がいたら要注意です。

どうやって診断するの?

今は「2010年改訂Task Force基準」という点数方式で診断します(2025年現在も基本はこれ)。

主なチェック項目(一部だけ抜粋)

•  心電図:右側胸部誘導(V1~V3)のT波陰転、ε波など

•  24時間心電図:右室由来の期外収縮がたくさん(1日500個以上とか)

•  心エコー・心臓MRI:右心室が大きくて、壁が動かない部分がある

•  家族歴+遺伝子検査

•  (まれに)心筋生検

これらを組み合わせて「確定」「境界型」「可能性あり」の3段階で判定します。

治療はどうするの?

残念ながら「完治」は難しいですが、突然死を防ぐのが最優先です。

現在主流の治療

1.  絶対やってはいけないこと
競技スポーツ・激しい運動は基本禁止(これが一番大事!)

2. 

•  β遮断薬(ビソプロロールなど)

•  抗不整脈薬(アミオダロン、ソタロールなど)

3.  ICD(植込み型除細動器)
→ 命に関わる不整脈が起きたら自動で電気ショックしてくれる装置
→ 高リスクの人にはほぼ必須

4.  カテーテルアブレーション
→ 不整脈の原因になっている部分を焼灼(ただし再発しやすい)

5.  進行して心不全が重症の場合
→ 心臓移植(稀ですが)

家族はどうすればいい?

遺伝子が分かっている家系なら

→ 10歳くらいから定期的に心電図+心エコー検査(3~5年に1回くらい)

遺伝子が分かっていない場合でも

→ 若い頃に突然死や不整脈の家族がいるなら、一度は循環器内科(できれば不整脈専門医)に相談を。

最後に一言

ARVCは「見つけるのが難しいけど、見つけたら守れる」病気の代表です。

「若いのに失神した」「運動中にドキドキがひどい」「家族に突然死の人がいる」…

そんなちょっとでも気になることがあったら、ぜひ循環器の先生に相談してみてください。

命を守れる可能性が、すごく上がりますよ。

それではまた~!

(心臓大事に、適度な運動で過ごしましょうね)