やばい、まじやばい 創作ノートブログ 

 

 

 

 

あたしが刑事になったのは、誰が犯人かすぐわかるから。
顔や態度を見ればすぐわかる。証拠がなくてもすぐわかる。

だから刑事になった。 

なぜわかるのかは、うまく言えない。
顔色、ちょっとした仕草、私に対する反応、態度を見れば、あーーーこいつ、やってるなってわかる。
顔を見ただけでわかる時もある。殺人犯は特にそうだ。

犯人がすぐ特定できるから、捜査は割と簡単。
特定した犯人にだけ焦点を当て、推理を組み立て、アリバイを崩し、矛盾を洗い出し、物証を見つければいい。
犯行時を起点に、犯人が動ける範囲を絞り、前後の足取り、行動、言動を1つ1つ確認していけばいいので簡単だ。

捜査すら必要がない時もある。
あたしが犯行を自白させるから。
初対面でいきなり「あなたがやったのね」なんて言うと、観念してしまうのか早々に落ちちゃったりする。

でも、犯人が皆目わからない段階ではあたしは完全にポンコツ。
現場に行っても、何も思いつかない。何もわからない。
頭の中は空白。ぼーーーっとしてるだけ。
もちろんポンコツと悟られないように、できる女刑事のふりはしている。

あたしの本番は、一定地域を定めての聞き込みをする地取り、被害者の交友関係の聞き込みをする鑑取りが始まってから。
足を使って一人一人聞き込みをかける。いつどんなタイミングでホシに当たるかと思うと、ホントわくわく興奮する。


そして今、あたしの眼の前に犯人がいる。
21年前、あたしの親友を殺した犯人。
そいつを見つけることが、刑事になったホントの理由。

やっと見つけたよ、佳奈。

佳奈を殺したのは・・・容疑者としてマークされていた性犯罪者でも薬中の変態でもなかった。
あたしと同じ警察の人間。
式典の壇上で来賓として訓示を垂れている警察庁警備局長の大隅健吾。
大隅は警視庁警備部、道府県警察警備部、そして警視庁公安部を統括している。所轄の刑事の私からすれば、雲の上の人。

でもこいつがやっている。
まだ小学生だった佳奈を殺した。間違いない。

大隅が雲の上にいようが容赦はしない。絶対許さない。
こいつについては、法の番人になるつもりもない。

さて、どうやって追い込んでやろうか。
手はいろいろある。

あたしの胸が高鳴った。