12月も終わり、もう2015年。この日は1月5日の月曜日で、いよいよメルボルンを出発してアデレードに向かう日だ。アデレードには飛行機ではなく夜行バスで向かうので、この日が出発日とは言っても時間的にはけっこう余裕がある。
1月に入ってから、自分の住んでいる部屋の案内をしょっちゅうやっていたような気がする。大家のスターリンに1月の頭にアパートを出ると連絡してあったので、スターリンが入居者を募集しており、それに伴って部屋を見たいという人が連日部屋を訪れていたのだ。日によっては1日で3~4件ルームインスペクションのアポが入った事もあった。そして僕が部屋を出る当日である1月5日にもルームインスペクションがあり、また僕は部屋を案内する事になった。
やってきたのはイギリス人のジョージ。僕と同じくワーキングホリデーでオーストラリアに来たのだそうだ。ただ彼は僕と違ってファーム探しはしておらず、スポンサーを見つけてそこから労働ビザを出してもらう事で滞在期間を延長しようとしているのだそうだ。今ジョージが働いているのはスポーツイベント関連の会社で、イベントオーガナイザーとして活躍しているらしい。そして今勤めているその会社はけっこう大きな会社だから、労働ビザも出してもらえそうなのだという。
ジョージからはいろいろ聞かれた。まずは僕がどこの国の出身なのかとか、自身の事に関しても聞かれたし、そっちの女子部屋の女の子たちはどこの国から来てるのとか、今の君のルームメイトはどうなのとか。一通り質問に答えると、ジョージは満足したらしく、この部屋が気に入ったから大家に連絡すると言った。そして彼がアパートの部屋を後にして数時間すると、実際に彼は入居しに部屋に戻ってきた。再び顔を合わせて「よろしく~」という感じになったが、彼からはまたいろいろ聞かれた。
ジョージ:「君ってどこの国の出身なの?」
僕:「え?日本だよ」
ジョージ:「ふーん。あっちの女の子のベッドルームの2人はそれぞれ何人(なにじん)なの?」
僕:「え?えーと、日本人とベトナム人だけど」
つい2~3時間前に答えたばかりの質問と全く同じ質問をされ、ちょっと面喰いながらも質問に答える僕。今日の昼に話したばかりの内容を既に完全に忘れているとでもいうのか?ファインディングニモに出てくるドリーを連想させてくれる。