7月26日(土)の朝は忙しかった。この日は僕がCBDの中国語圏の人間だらけの部屋から出て、セイントキルダロード沿いのより快適そうなアパートに引っ越す日だからだ。お昼ごろに移動するつもりだった僕は、急いで午前中に荷物のパッキングを行う(前日の夜は会社の飲み会だったため、夜にパッキングをする時間はなかった)。
金曜日の夜にリナに連絡を取ってみた所、今彼女はもう部屋にいないらしく、代わりに他のルームメイトが当日僕を待ってくれているらしい。必要な準備も全部整っているそうな。彼女が教えてくれたのは僕と同じベッドルームのルームメイトになるホセという男の連絡先だった。明らかにスペイン語圏の名前だ。間違いなくラテン系の男だな。

パッキングが終わり、これから部屋を出る前に、念のためホセに「今から部屋を出てそっちに向かうからもうじき着くよ」と伝えるために一本電話を入れる事にした。すると電話に出たホセは「ボク、イマ、メルボルン博物館。モドル5時、ダイタイユウガタ、OK?」と言ってきた。新しいルームメイトが来るとわかっている日にこんな風に長時間の外出に行くとは、こやつなかなかやるのう^^;しょうがないので昼はCBD内で食べ、それでも時間が有り余っていたので部屋で待っていた。

しばらくするとレオを見かけたので「昼には移動するつもりだったのに、引越し先の住人が夕方まで帰ってこないから移動できなくなったよ、ハハハ」と話しかけたら、レオは「今日、僕ビクトリアマーケットにちょっと買い物に行く予定なんだけど、もしよかったら暇つぶしに一緒に来る?ゆっくり話もできそうだしさ」と誘ってくれた。レオとはけっこう仲良くなっていたが、こうして話をする機会はあまりたくさんはなかったので、ちょうどいいなと思って一緒に出かける事にした。

ショッピングの最中は彼といろいろ話した。聞けばレオはどうやら自分の母国である中国に戻ろうとはあまり思っておらず、できればこのままオーストラリアに移住してしまいたいのだそうだ。今回大学院で学ぼうと思ったのも、修士課程修了後にそのままその分野で働くチャンスのあるプログラムがあり、それを使えばオーストラリアで働き始めて労働ビザ→永住権というルートが出てくるかもしれないからだそうだ。また、レオは既に結婚しているらしく、今は奥さんもオーストラリアの別の地域で頑張っているらしい。彼女はダイビングのライセンスを持っており、その分野で仕事を見つけて、夫婦揃ってオーストラリアにそのままいられれば、という考えなようだ。

ショッピングが終わるといよいよ部屋を移動する時間になったので、荷物を持って部屋を出る事に。レオとは今後も連絡取り合ってまた会おうと約束して別れを言った。アパートに着いてドアをノックすると、出てきたホセはいかにもラテン系な見た目の男だった。コロンビア出身らしく、スペイン語圏の男だなという僕の予想は当たっていた。ホセは英語がかなり不自由だったため会話は少し手間取ったが、何よりあのラテンの明るくてフレンドリーなノリだったし、人柄は良さそうな感じがして安心した。しばらくすると、もう一人のハウスメイトが戻ってきた。入ってきたのは日本人女性のNさん。僕がルームインスペクションでこの部屋を訪れた時はいなかったが、僕が入居する数日前にこの部屋に来たばかりらしい。

ルームメイトとの顔合わせも済んだし、ホセも改めて部屋の案内をしてくれたし、ここで一息つけそうだと思いきや、2つほど問題に気づいた。まず、僕の分の鍵が見当たらない。リナの話では僕が来るまでに準備は全て済ませておくという事になっていたのに、鍵がないとは。ホセの話によると、今リナは彼女のルームメイトのアナと旅行中で、たぶん鍵はリナが持っていってしまったのではないかとの事。なんということだ。全然準備できていないではないか。そして、ベッドを見て気づいたのは毛布がないという事だ。シェアルームでは、毛布は各自持参という場合もあり、今回のケースでは、僕のベッドの毛布は僕が入る前に住んでいた人のもので、その人が退去する時に持っていってしまったようだ。仕方がないので急遽毛布を手に入れるため、トラムに乗ってCBD内のBig Wへ。幸いそれほど時間もかからず8ドルの毛布を見つけ、毛布なしで一夜過ごすのは避ける事ができた。鍵に関しても、翌日の日曜日にNさんの鍵を借りてBig Wのすぐ近くにある合鍵サービスで合鍵を7ドルほどで作ってもらい、なんとか月曜までに落ち着く事ができそうになった。トラム一本でCBDまで行ける物件でよかった~。