今日も研修は午後からだったが、昨日出された宿題のために午前中も外出することになった。プレゼンのために配る資料のレジュメを印刷したかったのだが、なにしろシェア先にはプリンターがないため、シティ内のOffice Worksという文房具店にUSBを持って行って資料を印刷する必要があったのだ。
僕が今回のプレゼンでテーマに選んだのはケニアだ。ケニアはマラソン大国として知られており、オリンピックや世界陸上では必ずといっていいほどケニアの選手がメダル争いに絡む。世界新記録もこれまで多くのケニア選手によって樹立されてきた。マラソンだけに限らず、5,000mや10,000mのトラック長距離種目でも同じ傾向がある。こういった陸上長距離界での輝かしい実績もあり、ケニアは発展途上国の中では非常に存在感のある国のうちの一つだ。
だがその一方で、一般市民の多くが日々直面する社会問題は非常に深刻なものである。貧困のため多くのスラム街が存在し、その治安は劣悪だ。違法ドラッグも蔓延している。ただでさえ治安が悪いのに、隣国のソマリアからのテロの脅威もあり、その治安の悪さに拍車をかけている。2013年には、67人がナイロビでテロ行為によって命を落とした。また、貧困のために十分な教育を受けられないまま大人になる者が多くいるため、学校で子供を教える立場にある教員の質が確保できず、それで次の世代が質の高い教育を受けることができないという悪循環が生まれてしまっている。貧困は汚職にもつながり、政治のクリーンさのランキングでは、ランキングに載った世界の179カ国中139位と、汚職問題も深刻だ。国境のセキュリティは法によってではなく賄賂によって支配されている。
女性への虐待的扱いの問題も根深い。「女は学校での教育など受けずに男に尽くすことだけ考えていればよい」という考え方が未だに根強く残っており、多くの女の子がまだ10代前半の若いというより幼い段階でよく知りもしない男との結婚を強制される。さらに、ケニアをはじめとしたアフリカ諸国では、female genital mutilation(女性器切除)という、数人がかりで女の子の手足を押さえつけ、不衛生なカミソリで麻酔もなしで女性器を切り取るという行為が宗教的信仰の下に行われている。ショック死や出血多量で命を落とす者、生き延びても後遺症に苦しむ者は少なくない。UNICEFが発表した近年のデータによると、この慣習を経験する女性はソマリアの98%に比べるとケニアは27%とだいぶ少ないが、それでもまだまだ多くの女性がこういった経験をしているという事に変わりはない。ちなみにこの女性器切除の事実は、TED Talkに出演したケニアの女性教育活動家カケンヤ・ンタイヤによっても証言されている。
以上が僕が行ったプレゼンの大まかな内容なのだが、状況の深刻さが予想以上だったのか、プレゼンを聞いていたみんなは唖然としていた。特に女性器切除の問題はトニーも知らなかったようで、「これは知らなかった。私も勉強になったわ。素晴らしいプレゼンをしてくれてありがとう」と言われた。ちなみに他の3人メンバーのプレゼンは、1人はメモをちゃんと用意してなかなか詳しいデータも出したプレゼンだったが、他の2人は今その場で携帯でウィキペディアなどのページを開いてそれを棒読みしているだけのなんともお粗末なもので、なんだか拍子抜けしてしまった。
プレゼンが終わると、次は仕事に関する具体的な内容に入った。まず給料についてだが、週払いで基本給週800ドル+出来高となっている。ではその出来高の部分はどうなっているのかを、トニーが説明してくれた。このセールスチームでは発展途上国の子供に経済的支援を行ってくれる「チャイルドスポンサー」を探すのが仕事なのだが、そのスポンサーを何人見つけてきたのかでボーナスの金額が変わるのである。1週間で5人(つまり1日1人のペース)見つけてきたら基本給800ドルに加えて150ドルのボーナス、10人(1日2人)で300ドル、15人(1日3人)で500ドルだ。つまり、入社したてのペーペーでも、結果さえ出せば1週間で1,300ドル稼ぐ事も可能だということなのだ(もちろん税金がかかる前の金額なので手取りはもう少し少ないが)。これならYou can earn f**kin’ moneyというのも頷ける。
次にトニーは、ノルマについて教えてくれた。入社1週間目は、まだ経験が浅いという事で、求められるスポンサーの数は0~1人。つまり1週目は1件も契約が取れなくても問題視されないということになる。だが、2週目になると1~2人、3週目になると2~3人。4週目以降は新人とはみなされなくなり1日1人のペースでスポンサーを見つけてくることが求められるようになるというのだ。いかに本人が「私は頑張って働きました」と言おうとも、それが実際に取れた契約の数という結果になって表れない限り、「仕事をしていない」「十分ハードに働いていない」と解釈されるのだ。まさにActions speak louder than wordsである。
そして、求められるノルマは取ってくる契約の数だけではない。1日何人の人と話をするのかに関しても、取れた契約の数ほど厳しいものではないが、一応ノルマはある。このセールス会社が行っているのはDoor to door sales、いわゆる訪問販売というやつなのだが、トニーから求められた1日あたりの数字は、120 doors, 80 contacts, 78 say no, 2 say yesというものだった。つまり、120のドアをノックし、その内80件は留守ではなく誰か出てくるはずだからその人たちと接触しなさい。78人からは断られるだろうが、2人ぐらいはスポンサーになるのをOKしてくれる人が毎日見つかるはずだ、というのだ。セールスというのは数の勝負で、とにかくまずは数打つことが大事なのだそうだ。先に「契約の数ほど厳しく見られない」と書いたのは、1日2件ずつぐらいコンスタントに契約がとれているうちは特に文句を言われないが、契約が取れてないときに接触した人の数まで少ないとそれが問題視される、という意味である。
この会社は訪問販売のスタイルをとるため、必然的に家がたくさんある、町から遠く離れた住宅街へ車で繰り出して行き、そこで一日中(実質6時間)歩き回ってそこら中のドアをノックして回ることになる。「何か仕事の事で質問はある?」とトニーが質問を促した際、オリビアが「トイレ休憩ってどうするんですか?」と質問した。そこで僕も含めた残りの3人全員が「あ、そうだった!」とはっと気づいた。町から離れた所ではそう簡単に公衆トイレは見つからない。トイレに行きたくなったらどうするのだろうか。「その辺の茂みでやってしまいなさい」とトニー。要するに毎日立ちションしろという事ですね…^^;ワイルドな会社ですこと。
その後、トニーが基本的なセールストーク、(ここでは「ベーシックピッチ」と呼ばれる)をIntro, Middle, Closeの3つのパートに分けて教えてくれた。ベーシックピッチを一通り練習したらこの日の研修は終わり。そしてみんなが帰る間際にトニーがこう一言付け足した。「そういえば今夜、私の家でうちのセールスチームのメンバーで飲み会やるから、もしよかったら来てね!」
他の3人は参加しなかったが、仕事が始まる前にこれから同僚になる人たちと予め知り合いになれるのはいいなと思い、僕は参加することにした。行ってみると、まだ20歳の女の子とはいえトニーの家はやっぱりそれなりにデカイ。F**kin’ moneyのたまものですな。家に招かれてみるとそこには既に何人ものメンバーが爆音の音楽とともにパーティの真っ最中だった。基本的にみんなフレンドリーだったが、どことなくギャングっぽい感じがしないでもなく、お酒もなんだか断りにくい。見た目的にもけっこう豪快な方々がいらっしゃるようで。。。なんか俺、もしかしたら凄い所入っちゃったのかも(涙目)
僕が今回のプレゼンでテーマに選んだのはケニアだ。ケニアはマラソン大国として知られており、オリンピックや世界陸上では必ずといっていいほどケニアの選手がメダル争いに絡む。世界新記録もこれまで多くのケニア選手によって樹立されてきた。マラソンだけに限らず、5,000mや10,000mのトラック長距離種目でも同じ傾向がある。こういった陸上長距離界での輝かしい実績もあり、ケニアは発展途上国の中では非常に存在感のある国のうちの一つだ。
だがその一方で、一般市民の多くが日々直面する社会問題は非常に深刻なものである。貧困のため多くのスラム街が存在し、その治安は劣悪だ。違法ドラッグも蔓延している。ただでさえ治安が悪いのに、隣国のソマリアからのテロの脅威もあり、その治安の悪さに拍車をかけている。2013年には、67人がナイロビでテロ行為によって命を落とした。また、貧困のために十分な教育を受けられないまま大人になる者が多くいるため、学校で子供を教える立場にある教員の質が確保できず、それで次の世代が質の高い教育を受けることができないという悪循環が生まれてしまっている。貧困は汚職にもつながり、政治のクリーンさのランキングでは、ランキングに載った世界の179カ国中139位と、汚職問題も深刻だ。国境のセキュリティは法によってではなく賄賂によって支配されている。
女性への虐待的扱いの問題も根深い。「女は学校での教育など受けずに男に尽くすことだけ考えていればよい」という考え方が未だに根強く残っており、多くの女の子がまだ10代前半の若いというより幼い段階でよく知りもしない男との結婚を強制される。さらに、ケニアをはじめとしたアフリカ諸国では、female genital mutilation(女性器切除)という、数人がかりで女の子の手足を押さえつけ、不衛生なカミソリで麻酔もなしで女性器を切り取るという行為が宗教的信仰の下に行われている。ショック死や出血多量で命を落とす者、生き延びても後遺症に苦しむ者は少なくない。UNICEFが発表した近年のデータによると、この慣習を経験する女性はソマリアの98%に比べるとケニアは27%とだいぶ少ないが、それでもまだまだ多くの女性がこういった経験をしているという事に変わりはない。ちなみにこの女性器切除の事実は、TED Talkに出演したケニアの女性教育活動家カケンヤ・ンタイヤによっても証言されている。
以上が僕が行ったプレゼンの大まかな内容なのだが、状況の深刻さが予想以上だったのか、プレゼンを聞いていたみんなは唖然としていた。特に女性器切除の問題はトニーも知らなかったようで、「これは知らなかった。私も勉強になったわ。素晴らしいプレゼンをしてくれてありがとう」と言われた。ちなみに他の3人メンバーのプレゼンは、1人はメモをちゃんと用意してなかなか詳しいデータも出したプレゼンだったが、他の2人は今その場で携帯でウィキペディアなどのページを開いてそれを棒読みしているだけのなんともお粗末なもので、なんだか拍子抜けしてしまった。
プレゼンが終わると、次は仕事に関する具体的な内容に入った。まず給料についてだが、週払いで基本給週800ドル+出来高となっている。ではその出来高の部分はどうなっているのかを、トニーが説明してくれた。このセールスチームでは発展途上国の子供に経済的支援を行ってくれる「チャイルドスポンサー」を探すのが仕事なのだが、そのスポンサーを何人見つけてきたのかでボーナスの金額が変わるのである。1週間で5人(つまり1日1人のペース)見つけてきたら基本給800ドルに加えて150ドルのボーナス、10人(1日2人)で300ドル、15人(1日3人)で500ドルだ。つまり、入社したてのペーペーでも、結果さえ出せば1週間で1,300ドル稼ぐ事も可能だということなのだ(もちろん税金がかかる前の金額なので手取りはもう少し少ないが)。これならYou can earn f**kin’ moneyというのも頷ける。
次にトニーは、ノルマについて教えてくれた。入社1週間目は、まだ経験が浅いという事で、求められるスポンサーの数は0~1人。つまり1週目は1件も契約が取れなくても問題視されないということになる。だが、2週目になると1~2人、3週目になると2~3人。4週目以降は新人とはみなされなくなり1日1人のペースでスポンサーを見つけてくることが求められるようになるというのだ。いかに本人が「私は頑張って働きました」と言おうとも、それが実際に取れた契約の数という結果になって表れない限り、「仕事をしていない」「十分ハードに働いていない」と解釈されるのだ。まさにActions speak louder than wordsである。
そして、求められるノルマは取ってくる契約の数だけではない。1日何人の人と話をするのかに関しても、取れた契約の数ほど厳しいものではないが、一応ノルマはある。このセールス会社が行っているのはDoor to door sales、いわゆる訪問販売というやつなのだが、トニーから求められた1日あたりの数字は、120 doors, 80 contacts, 78 say no, 2 say yesというものだった。つまり、120のドアをノックし、その内80件は留守ではなく誰か出てくるはずだからその人たちと接触しなさい。78人からは断られるだろうが、2人ぐらいはスポンサーになるのをOKしてくれる人が毎日見つかるはずだ、というのだ。セールスというのは数の勝負で、とにかくまずは数打つことが大事なのだそうだ。先に「契約の数ほど厳しく見られない」と書いたのは、1日2件ずつぐらいコンスタントに契約がとれているうちは特に文句を言われないが、契約が取れてないときに接触した人の数まで少ないとそれが問題視される、という意味である。
この会社は訪問販売のスタイルをとるため、必然的に家がたくさんある、町から遠く離れた住宅街へ車で繰り出して行き、そこで一日中(実質6時間)歩き回ってそこら中のドアをノックして回ることになる。「何か仕事の事で質問はある?」とトニーが質問を促した際、オリビアが「トイレ休憩ってどうするんですか?」と質問した。そこで僕も含めた残りの3人全員が「あ、そうだった!」とはっと気づいた。町から離れた所ではそう簡単に公衆トイレは見つからない。トイレに行きたくなったらどうするのだろうか。「その辺の茂みでやってしまいなさい」とトニー。要するに毎日立ちションしろという事ですね…^^;ワイルドな会社ですこと。
その後、トニーが基本的なセールストーク、(ここでは「ベーシックピッチ」と呼ばれる)をIntro, Middle, Closeの3つのパートに分けて教えてくれた。ベーシックピッチを一通り練習したらこの日の研修は終わり。そしてみんなが帰る間際にトニーがこう一言付け足した。「そういえば今夜、私の家でうちのセールスチームのメンバーで飲み会やるから、もしよかったら来てね!」
他の3人は参加しなかったが、仕事が始まる前にこれから同僚になる人たちと予め知り合いになれるのはいいなと思い、僕は参加することにした。行ってみると、まだ20歳の女の子とはいえトニーの家はやっぱりそれなりにデカイ。F**kin’ moneyのたまものですな。家に招かれてみるとそこには既に何人ものメンバーが爆音の音楽とともにパーティの真っ最中だった。基本的にみんなフレンドリーだったが、どことなくギャングっぽい感じがしないでもなく、お酒もなんだか断りにくい。見た目的にもけっこう豪快な方々がいらっしゃるようで。。。なんか俺、もしかしたら凄い所入っちゃったのかも(涙目)