セールスの会社の面接から2日後の6月29日の日曜日の朝、僕は韓国人の女の子2人とメルボルンセントラル駅で待ち合わせをしていた。彼女たちと初めて会ったのは、実はシェア先がまだ決まっておらずバッパーに滞在していた6月19日(木)だった。CBDの通りを歩いていると、彼女たち2人が突然「ハロー」と話しかけてきたのだ。聞くと2人はクリスチャンで、こうして僕のような見知らぬ通行人に話しかけることが時々あるのだという。普段はTAFE(オーストラリアの職業訓練学校のようなもの)で勉強しているらしい。
僕は2人が最初に話しかけてきた時点でなんとなく「ああ、クリスチャンかな」というのは薄々感づいてはいた。というのも、僕にはクリスチャンの友人や知り合いが何人かいるので、クリスチャンは大体こういうものだというのがあらかじめわかっていたからだ(僕自身は何の宗教も信じていないが)。僕が普通の人に比べてクリスチャンたちとある程度親交があるのを知ると、早速彼女たちは日曜日にサンデーサービス(聖餐会)があるから来ないか、フリーの昼食やイベントがあって楽しいよと誘ってきたが、その日はイヴァンの部屋のルームインスペクションがあったのでまたの機会に持ち越しになり、その「またの機会」がこの29日の日曜日だったのだ。
彼女たちが普段行くコリアン教会はメルボルンCBDからは遠く離れたZone 2(※メルボルンの電車はZone 1とZone 2に分かれており、Zone 2はシティの中心部からだいぶ離れており、料金も倍ぐらいになる※)の端っこ。そこまでは電車で40分ほどかかる。電車の中では色々喋ったが、やはり日本人と韓国人の若者同士で喋るとかなりの確立で出てくるのがお互いのポップカルチャーの話だ。僕が「これまで韓国ドラマをいくつか見てきた」と言うと、「何のドラマを見てたの」と当然聞かれるのだが、ここから先はいつも、僕は普通の日韓交流とはやや違った展開になってしまう。
僕は基本的には家族が韓国ドラマを見ているのに便乗していたのだが、それで今まで見てきた韓国ドラマが韓国人でもあまり知らないようなマイナーなものばかりなのだ。僕が見ていたのは「王と私」「武人時代」「テジョワンゴン(これは前の2つと違って一応歴代でも視聴率高いやつだが)」などの時代劇ばかりで、日本における韓流のメインであり韓国の若者層にも人気であろう現代ドラマの類はいっさい見ていなかったので、それが彼女たちにとっては珍しかったようだ。
さらに、僕は一時期韓国語をちょっとだけかじっていた事があり、基本的な文法や語彙は少しわかるので、それがドラマの台詞をいくつか覚えるのに一役買っていた。しかも彼女たちに披露した僕の覚えた台詞が
「ファンサンペーハー!チャスンソン、イ・ジュニル、パージカシオプソソー!」
(陛下!チャスンソン(そういう名前の役職)イ・ジュニ(そういう名前の人)を罷免してくださいませ!)
や、
「チェジャングン、イロケカンタンイリ、オッチモルゲンヌンニャ」
(チェ将軍よ、こんな簡単な事が何故わからぬのじゃ)
などのような、今時の韓国人同士の実際の会話ではまず使われる事のない表現だったため、彼女たちは吹き出してしまった。
そうこうしているうちに目的地のコリアン教会に到着。そこではジュンキさんという韓国人男性が出迎えてくれた。大学生ぐらいの頃からずっとオーストラリアにいて、人生の半分以上をオーストラリアで過ごしている人だ。このジュンキさん、日本語が非常に上手な人で、僕との会話は基本的には日本語だった。あんまり上手なので、どうやってそんなに上手になったのか聞くと、日本のテレビゲームの韓国語版が出るまで待ちきれなかったので日本語のまま買って、日本のゲームをやりまくっているうちに覚えたのだそうだ。本人曰く、当時はゲーム依存症で大学の授業もロクに受けられないほどで酷い状態だったというが、それでも日本語はペラペラになってしまったのだからそれはそれですごいもんだと思った^^;
サンデーサービスはまだまだ続いていたが、僕はその日は別の友達とスカイプの約束があったので他の人より早めに抜けさせてもらう事にした。駅に着くとある事に気づいた。マイキー(メルボルンでの公共交通機関を利用する際に必要な電子マネーチャージ式のカード)の残高がなくなっていたのでチャージしたかったのだが、チャージするためのマシンが駅のどこにも見当たらないのだ。駅員さんに事情を説明すると、「ああ、これね。いいよ、通してあげるから。そんで、目的地の駅に着いたらそこの駅員さんに事情を説明して。それで全部OKだから。」と、お金も払わないまま改札口を通してくれて、そのまま電車に乗ることができた。
そしてシェア先の最寄り駅であるフリンダースストリートに着き、早速近くの駅員さんに事情を説明すると、改札口を開けて通してくれたのだが、改札口を通った直後にはなぜかそこに別の駅員の怒り心頭のオッサンが立っていた。身分確認のために自分の住所が書かれた書類を見せろだの、いろいろ怒り口調で要求してくるのだが、なんかこのオッサン、訛りがあって所々何言ってんのかわかんない(泣)「自分の現住所が書かれた書類なんて持ち歩いてたっけ」と思い困りながらバッグをあさっていたら、幸い余分に印刷しておいた履歴書が入れっぱなしになっていたので、それを見せるとオッサンは一応は満足したようだ。その後も、「いいか、無賃乗車は許されるものじゃない」だとかガミガミ言われはしたが、一応罰金とかはなしでリリースしてもらえたので、不幸中の幸いといったところか。俺はZone 2の駅員さんの言われた通りに改札口を通り、事情を説明しただけなのに。。。こんなのとばっちりではないか(泣)
日本の生活で電子マネーチャージ式のカードは残高がなくなったらどの駅でもチャージができるのが当たり前だと思っていたため、とんだ落とし穴にはまってしまった。だがここではよっぽどシティの中心でなければ、マイキーのチャージはコンビニ等でするものらしい。この日以降僕がマイキーの残高が多めになるようにチャージするようになったのは言うまでもない。
僕は2人が最初に話しかけてきた時点でなんとなく「ああ、クリスチャンかな」というのは薄々感づいてはいた。というのも、僕にはクリスチャンの友人や知り合いが何人かいるので、クリスチャンは大体こういうものだというのがあらかじめわかっていたからだ(僕自身は何の宗教も信じていないが)。僕が普通の人に比べてクリスチャンたちとある程度親交があるのを知ると、早速彼女たちは日曜日にサンデーサービス(聖餐会)があるから来ないか、フリーの昼食やイベントがあって楽しいよと誘ってきたが、その日はイヴァンの部屋のルームインスペクションがあったのでまたの機会に持ち越しになり、その「またの機会」がこの29日の日曜日だったのだ。
彼女たちが普段行くコリアン教会はメルボルンCBDからは遠く離れたZone 2(※メルボルンの電車はZone 1とZone 2に分かれており、Zone 2はシティの中心部からだいぶ離れており、料金も倍ぐらいになる※)の端っこ。そこまでは電車で40分ほどかかる。電車の中では色々喋ったが、やはり日本人と韓国人の若者同士で喋るとかなりの確立で出てくるのがお互いのポップカルチャーの話だ。僕が「これまで韓国ドラマをいくつか見てきた」と言うと、「何のドラマを見てたの」と当然聞かれるのだが、ここから先はいつも、僕は普通の日韓交流とはやや違った展開になってしまう。
僕は基本的には家族が韓国ドラマを見ているのに便乗していたのだが、それで今まで見てきた韓国ドラマが韓国人でもあまり知らないようなマイナーなものばかりなのだ。僕が見ていたのは「王と私」「武人時代」「テジョワンゴン(これは前の2つと違って一応歴代でも視聴率高いやつだが)」などの時代劇ばかりで、日本における韓流のメインであり韓国の若者層にも人気であろう現代ドラマの類はいっさい見ていなかったので、それが彼女たちにとっては珍しかったようだ。
さらに、僕は一時期韓国語をちょっとだけかじっていた事があり、基本的な文法や語彙は少しわかるので、それがドラマの台詞をいくつか覚えるのに一役買っていた。しかも彼女たちに披露した僕の覚えた台詞が
「ファンサンペーハー!チャスンソン、イ・ジュニル、パージカシオプソソー!」
(陛下!チャスンソン(そういう名前の役職)イ・ジュニ(そういう名前の人)を罷免してくださいませ!)
や、
「チェジャングン、イロケカンタンイリ、オッチモルゲンヌンニャ」
(チェ将軍よ、こんな簡単な事が何故わからぬのじゃ)
などのような、今時の韓国人同士の実際の会話ではまず使われる事のない表現だったため、彼女たちは吹き出してしまった。
そうこうしているうちに目的地のコリアン教会に到着。そこではジュンキさんという韓国人男性が出迎えてくれた。大学生ぐらいの頃からずっとオーストラリアにいて、人生の半分以上をオーストラリアで過ごしている人だ。このジュンキさん、日本語が非常に上手な人で、僕との会話は基本的には日本語だった。あんまり上手なので、どうやってそんなに上手になったのか聞くと、日本のテレビゲームの韓国語版が出るまで待ちきれなかったので日本語のまま買って、日本のゲームをやりまくっているうちに覚えたのだそうだ。本人曰く、当時はゲーム依存症で大学の授業もロクに受けられないほどで酷い状態だったというが、それでも日本語はペラペラになってしまったのだからそれはそれですごいもんだと思った^^;
サンデーサービスはまだまだ続いていたが、僕はその日は別の友達とスカイプの約束があったので他の人より早めに抜けさせてもらう事にした。駅に着くとある事に気づいた。マイキー(メルボルンでの公共交通機関を利用する際に必要な電子マネーチャージ式のカード)の残高がなくなっていたのでチャージしたかったのだが、チャージするためのマシンが駅のどこにも見当たらないのだ。駅員さんに事情を説明すると、「ああ、これね。いいよ、通してあげるから。そんで、目的地の駅に着いたらそこの駅員さんに事情を説明して。それで全部OKだから。」と、お金も払わないまま改札口を通してくれて、そのまま電車に乗ることができた。
そしてシェア先の最寄り駅であるフリンダースストリートに着き、早速近くの駅員さんに事情を説明すると、改札口を開けて通してくれたのだが、改札口を通った直後にはなぜかそこに別の駅員の怒り心頭のオッサンが立っていた。身分確認のために自分の住所が書かれた書類を見せろだの、いろいろ怒り口調で要求してくるのだが、なんかこのオッサン、訛りがあって所々何言ってんのかわかんない(泣)「自分の現住所が書かれた書類なんて持ち歩いてたっけ」と思い困りながらバッグをあさっていたら、幸い余分に印刷しておいた履歴書が入れっぱなしになっていたので、それを見せるとオッサンは一応は満足したようだ。その後も、「いいか、無賃乗車は許されるものじゃない」だとかガミガミ言われはしたが、一応罰金とかはなしでリリースしてもらえたので、不幸中の幸いといったところか。俺はZone 2の駅員さんの言われた通りに改札口を通り、事情を説明しただけなのに。。。こんなのとばっちりではないか(泣)
日本の生活で電子マネーチャージ式のカードは残高がなくなったらどの駅でもチャージができるのが当たり前だと思っていたため、とんだ落とし穴にはまってしまった。だがここではよっぽどシティの中心でなければ、マイキーのチャージはコンビニ等でするものらしい。この日以降僕がマイキーの残高が多めになるようにチャージするようになったのは言うまでもない。