昨年11月22日から10日間、NPO法人「食品と暮らしの安全基金」(代表小若順一)主催の「チェルノブイリ子供の痛みをなくするプロジェクト」に招待され、チェルノブイリ原発の見学、子供たちの治療、父兄に家庭療法講習会(セミナー)、現地のボランティア団体との交流、バレリーナの治療など行ってきました。一昨年3月に私の代理として古田会員を派遣して治療に大きな成果を上げました。今回の私の目的は、四肢麻痺のワジム君、ミーシャ君の体の状態を確認して更に良くするように治療すること、低線量被曝の愁訴(頭痛、足痛など)を持つ子供たちの体の状態と循環療法の効果の確認、父兄に治療法を指導することでした。そして、この体験をもとに福島の健康障害に対応することです。
血液循環療法セミナー
子供の治療

 今回施術した対象者は、セミナーで運動器系に愁訴を持つ中高年の方たち、小学校の生徒たち四肢麻痺を持つ子供など延べ30人以上のウクライナの人たちを治療しました。その結果、放射線被曝が原因であっても、「悪いところにはシコリがあり、血液循環療法が有効で、効果があった」ということです。 福島で起こっている健康障害も「血液循環療法で対処」できることが実証できました。
子供の治療(小児がんの後遺症の下肢麻痺)

放射線治療の専門家西尾正道氏(北海道がんセンター名誉院長)によると、「外部被曝よりも問題は内部被曝である。放射線はDNAを傷つけて細胞を癌化させるだけでなく、体内の水のO-H結合を切断して活性酸素を発生させる。活性酸素もまたDNAを傷つけ癌を発生させるだけでなく、血管壁、細胞膜などを傷つけ動脈硬化を始めあらゆる病気、老化の原因となる。セシウム137は心筋を始め骨格筋など全身に、ストロンチウム90は主に骨に、ヨウ素131は甲状腺に、プルトニウム239は肺に取り込まれ影響を及ぼす。セシウムとカリウム、ストロンチウムとカルシウムは同族で同じ動態を示す。農地に化学肥料を投入して農作物が放射性物質の吸収を低下するのは、カリウムが多いとセシウムが、カルシウムが多いとストロンチウムの農作物への吸収が阻害されるからである。」
低線量被曝地域に頭痛や足痛が多いのはセシウムが筋細胞を傷害して炎症を起こし循環障害となり、結果的にシコリを作っているのではないでしょうか。この部に循環療法を施せば酸素が供給されて炎症が解消され良くなると思われます。他の心臓疾患などの障害でも循環療法は過去の症例から有効であるといえます。
ウクライナの低線量汚染地域で事故後29年たつ今でも健康障害があることを、3年前に小若代表が現地調査で見つけました。2012年に最初の現地調査をした時に非汚染地域で「足が痛い」と訴える子供に出会い「オカシイ」と直感し、更に第三種汚染地域(事故後制定されたチェルノブイリ法により年間被ばく量1mSV以上の地域で移住権がある)の学校で調査をしたら足が痛い、頭が痛い、のどが痛いなど体の異常を訴える子供が異常に多いのに、測定線量は低かったのです。そこで森で取れるキノコ、ベリー類、川魚を食べないで汚染されていない食事を提供して調べたら良くなったそうです。原因は内部被ばくだと考え、自家菜園に化学肥料を提供して投入してもらい、ミネラル豊富な粉末だしなどを提供して調査したら、子供たちが良くなってきたのです。更に四肢麻痺のミーシャやワジムも見違えるほど良くなっているのです。この地域は農村部で自給自足が多く、農作物、牛乳と乳製品、森で取れるキノコ、ベリー、川魚などの摂取による放射線内部被ばくが原因だったのです。
日本では現在もなお被曝による健康被害は報道されていませんが、爆発当初に現場の作業員や周辺住民の方々は相当に被曝されたでしょう。ネット情報では、原発作業員は癌死800人(東北大学附属病院)、心臓病などの死亡者4300人(東電がお金を出して口止め)などの情報が出ています。福島では子供の甲状腺がんが150人を超えたそうですが、国は認めていません。5年たたないうちにこれだけの数が出たということはチェルノブイリよりひどいことになります。他に増えている病気は、甲状腺がんだけではなく、2013年の統計で、全国平均より福島の死亡率が1.4倍以上高い病気は、内分泌・栄養及び代謝疾患(1.40倍) 皮膚がん(1.42倍 ) 脳血管疾患(1.44倍) 糖尿病(1.46倍) 脳梗塞(1.60倍) そしてセシウムが蓄積しやすい心臓の病気は、急性心筋梗塞の死亡率が2.40倍、慢性リウマチ性心疾患の死亡率が全国平均の2.53倍で、どちらも全国1位になっています。国では100mSV以下では科学的データがなく因果関係が解らないとして放射線の影響を認めていません。これは意図的に調べられてないだけなのです。被害者が出ると「風評被害」で農作物が売れなくなるので行政やマスコミは極力被害を隠そうとします。また、放射線被曝と言えば、癌や白血病の発症しか報道されていませんが、実は心臓病をはじめとしてあらゆる病気を発症させる原因となるのです。しかし、IAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)は原発を推進する立場を取っていて、癌以外の影響は認めていないので日本政府も同じ立場を取っています。日本の原子力規制委員会も「年20mSV以下は健康影響なし」と発表、被ばく対策が進むどころか、避難した住民を20mSV以下の放射能汚染地に戻そうとしています。日赤は原子力災害時の医療救護の活動指針として「累積被ばく線量が1mSV
を超える恐れがあれば退避する、としています。また、2011年4月に内閣官房参与の小佐古敏荘・東京大教授(放射線安全学)は、年間20mSVを基準に決めたことに「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と抗議の辞任をした会見で、「年間20mSVちかい被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と発言ました。

29年たった4号炉の石棺
2011.3.11東電福島第一原発の爆発事故により放射能汚染が関東以北の太平洋岸一帯に広がりました。「安全」であったはずの原発がとんでもない事故を起こしたのです。つまり、世界で唯一の被爆国ニッポン、核アレルギーの強い日本人に「核の平和利用」と説得し、「安全神話」を植え付けましたが、自然の摂理によって原発利権集団のウソが暴かれたのです。更に、原発が稼働する限り放射性廃棄物を出し続けます。つまり、地球を放射能で汚染し続けることになるのです。
事故の責任者は、東京電力と原発政策を推進した政府にあります。放射能汚染による故郷の山や土地などの自然環境及び地域のコミュニティなどの社会環境と住民の健康の全てが破壊され喪失しました。これからも放射能汚染に気づかい、健康に不安を抱えながら生活しなければなりません。それに対して政府はどのように責任を果たすのでしょうか。責任が明確にされないまま、あやふやな状況下で政府は原発再稼働を推し進めています。更に無責任なことに東京電力は「飛散しまった放射性物質は東電の所有物ではない。従って除染の責任はない。」と詭弁を弄して責任を逃れそれを裁判所は認めたのです。安倍首相も「放射能汚染はすべてコントロールされている」と大嘘を言って東京オリンピックを誘致し、原発の輸出まで推進しています。低線量被曝の健康障害に対しては、政府も東電ももともと救済する気はないのでしょう。私たちはあくまでも原発を推進した政府と東電の責任を追及していき、全国の原発は廃炉にするしかないのです。それと同時に、民間レベルで助け合い、自分で自分の健康を守るしかないのが現状なのです。

廃屋
ユーチューブ「ウクライナ総集編」