こんにちは。東南アジア某国にある学習塾の塾長です。
3月下旬のこの時期は、当地の学校の多くが2週間ほどの「春休み」を設けています。私の塾の生徒の中には、この休みに合わせて日本へ一時帰国して英検を受験する生徒もいます。私の生徒たちが受ける英検の級は2級あるいは準1級が多く、試験前には要望があれば英検対策授業を行います。そこで今回は、私の生徒たちも苦手としている英検準1級の大問2(空欄補充問題)について、どのように問題に取り組んでもらっているかを解説します。
解説には準1級の最新の過去問となる2025年度第3回の問題を使用しますが、ここには問題を直接、掲載しませんので、英検のサイトから問題を入手してください。また解説では大問2の英文ではなく、和訳した文を使って行います。
解説の前に、英文を読むための前提となる三つのポイントを理解してください。これらは問題を解くことと直接関係がない場合もありますが、必ず目を通して欲しい英文読解の重要な点です。
1)タイトル
まず最初に注目してもらいたいのはタイトルです。大問2一つ目の課題文は「低所得家庭の子どものための早期教育」、二つ目の課題文は「コーンウォールの密輸活動」です。当たり前ですが、タイトルは課題文で取り上げられる主題(トピック)を知ることができる重要な情報です。
2)重要語句
英語でTransition signalあるいはDiscourse marker(以下TS)と呼ばれる語句は、重要語句として文中で見つけた場合には、下線を引く、あるいは丸で囲む、などの印をつけておいて欲しいです。
第1段落では、例を示す"such as"(1行目)がこれに当てはまります。また第1段落にある問題21も、文頭に入る語であることからtransition signalの可能性があります。
第2段落では、対立内容を表す"however"(4行目)がTransition signalです。特に対立内容を表すのTSのbutの後は、筆者の主張や重要内容を含むことが多いので正確に内容を理解することが重要です。
第3段落では、自分ではなく外部にその情報源があることを示す"According to"(1行目)、似ていることを示す"like"(2行目)、"such as"(3行目)、対立を表す"but"がTSです。
3)主題文
英語ではthesis statementと呼ばれる、通常は第1パラグラフ(導入パラグラフ)の最後の文です。トピックの紹介に加え、筆者の意見や立場を明確にしてくれる他、読者に対してどのような根拠に基づくのか、あるいはどのような視点で論を進めていくのかも教えてくれます。「低所得家庭の子どものための早期教育」の主題文は問題(19)を含む「(19)、アメリカの多くの州では、そのような家庭に早期教育への機会を提供する就学前教育プログラムが実施されてきた。」、「コーンウォールの密輸活動」の主題文は「貧しい人々の中には、この関税は不公平だと感じる者もおり、そのため密輸に積極的に関わるようになった。」です。
問題(19)
(19)が文頭にあるので、その前の文の内容との関連を考えます。
(19)の直前の文「特に、多くの教育者は、低所得家庭の子どもたちに対して、より裕福な同年代の子どもたちに遅れを取ったり、さらには学校を完全に中退してしまったりすることを防ぐために必要な基礎的技能を身につけさせることが不可欠であると考えている。」という内容と、(19)の直後の文「アメリカの多くの州では、そのような家庭に早期教育への機会を提供する就学前教育プログラムが実施されてきた。」という内容が、「原因・理由と結果」の関係になっています。これが分かれば、結果を示すTSの3. Consequently「その結果として」が、正解だとわかります。ちなみに正解の選択肢3だけでなく、選択肢1. Similary「同じように」と2. Nevertheless「それにもかかわらず」はいずれも重要なTSなので、今後は文中で見つけたら、印をつける習慣をつけましょう。
問題(20)
(20)を含む文が、前述したTSのHoweverで始まっていることに気づくことができていれば正解率が上がります。
Howeverがあることから、この(20)を含む文は、その前の文「そのようなプログラムの一つがテネシー州で開始され、研究者たちは、それが低所得層の子どもたちを長期的な学業の成功へと備えさせる助けになると楽観視していた。」と対立関係にあることがわかります。Howeverに続く「しかし、そのプログラムは(20)なことが明らかになった。」と続いているので、(20)には前文の「楽観視していた」に反するような内容が入るはずと予想できれば、選択肢4「逆の効果をもたらした」を自信を持って選べるでしょう。
問題(21)
この問題はパラグラフ(段落)の中での(21)を含む文がある位置が重要です。
パラグラフの最初の文は、それ以降の内容への導入部となるtopic sentenceと呼ばれるもので、このTopic sentenceで導入された内容の詳しい説明はその後に続いて述べられます。
「一部の研究者によれば、テネシー州の例のような低所得層の子ども向けの早期教育プログラムの問題は、(21)にあるという。」当然これだけではわかりませんが、その先に対立を表すTSのbutがあることに注目します。butの前の文は「理論上は」で始まっているので、対立のTSであるbutの後は、「理論」と対立する「実践・現実・経験」が述べられているはず。そう思って読み進めると、「理論上はそのような方法は適切に思われるが、裕福な親が選ぶことの多い早期教育プログラムでは、子どもが自己表現を学び、社会的技能を発達させ、集中力を高めるような遊び活動が重視されていると、研究者たちは指摘している。」とあります。butの後の内容なので、おそらくここが重要なんだろうと予測しましょう。butの前の文の「そのような方法」(=「文字や数字を書くといった基礎的技能の習得」)と、but以下の文の「子どもが自己表現を学び、社会的技能を発達させ、集中力を高めるような遊び活動」が対立している内容です。
Topic sentence内の「一部の研究者によれば」、そしてbutの後の文にある「研究者たちは指摘している」という共通点があることから、このパラグラフではbutの前後の対立している内容が、低所得層の子ども向けの早期教育プログラムの問題だとわかります。そう思いながら選択肢を見ると、2「どのように子どもたちが教育されたか」が対立内容に最も近い選択肢だと推測できるでしょう。なおその他の選択肢については、1「先生の数が不足していること」、3「プログラムの期間」、4「学校の選び方、はいずれもこのパラグラフでは触れられていません。
問題(22)
導入パラグラフの最初の文は、Hookと呼ばれ、パラグラフの主題とは直接関係ないことが多く、読者の興味を引く役割を果たします。似ていることを示すTSの"Like"に注意を払いながら読むと「18世紀のイングランドの他の地域の人々と同様に、コーンウォールの沿岸地域の住民は(22)。」と、(22)の前までが主語なので、述部を答えなければなりません。それに続く文を見ると、対比を表すTSのbutがあります。「漁業、農業、鉱業はコーンウォールの重要な産業であったが、多くの労働者は家族を養うのに十分なお金を持ち帰ることができなかった」とありますが、butの後は筆者の主張の可能性が高いので、それをもとに選択肢を見ると、この内容を言い換えた3「経済的困難に直面していた」が正解と考えられます。
問題(23)
これは(23)を含む文の文末にある、対立のTSであるHoweverをヒントに考えます。
この(23)を含む文のhoweverは文頭ではなく、文末で使われています、このようにhoweverは文頭以外に文末、また主語と動詞の間に来ることもありますが、対立を示す役割は変わりません。どんな内容と対立関係にあるかを知るには、前の文「イングランド全土での密輸は政府に莫大な経済的損失をもたらした。」を見ます。もし、それでヒントが不十分と感じたら、(23)を含む文の次の文を見ましょう。するとそこには「~にもかかわらず」と予想に反する結果や逆説的な状況を示すTSのdespiteがあるので、内容を慎重に見てみましょう。「政府が阻止しようと努めたにもかかわらず、沿岸部での密輸活動は少なくとも前世紀から存在していた。」という文をもとにすると、(23)に入るのは選択肢2「その問題は新しいものではなかった」とわかるでしょう。
問題(24)
(24)が文頭にあるので、その前の文との関連を表すTSが入ることが予想できます。
(24)の前の文は「これには兵士による巡回や巡視船の増強が含まれていた。」で、「これ」が何を指すか知るためにさらにその前の文を読むと「密輸を打ち負かすためのより断固とした措置」を指しているとわかります。次の(24)に続く文は「(24)、政府は茶など一部の輸入品に対する関税を見直した。」ですが、これだけで正解にたどり着けない場合は、その先にある対立を表すTSのalthoughがヒントになります。接続詞althoughでつながれた二文の間では、althoughに続く文ではなく、もう一方の文の方が重要になるため、「(密輸は完全にはなくならなかったものの、)このような変化によってその(密輸の)魅力は大きく低下した。」という内容に注目します。このような変化には、(24)の前後の文の内容がいずれも含まれると読み取れるので、前の文の内容に情報を追加する役割のTSである選択肢2. moreover「さらに・その上」を選びます。なお選択肢1. In contrast「それとは対照的に」、同3. Even so「それでもなお」同4. In other words「言い換えれば」も覚えておきたいTSです。