点々と連なるツツジに導かれるように、森を歩く。
大地から湧き、木々から放たれる森の芳香。
酔いそうなほどの精気を、沢のせせらぎがほどよく中和する。
時おり聞こえる鳥のさえずりは、小気味良いアクセント。
黒いカメラには絶え間なく白い粉がつく。
撮るたびに払い飛ばすのは煩わしいけど、
これも森の生の証だと思う。
敷きつめられた落ち葉のじゅうたんは空気を含んでいて柔らかく、
いくら歩いても疲れない。
朽ちかけた倒木はコケやシダ類のアパート。
生きていても死んでいても何ひとつ無駄はなく、
生き死にの境界さえ曖昧だ。
「俺が死んだら、裏山に埋めた犬の隣に埋めてもらうわけにいかないかな」
そう真顔で相談したら、
お寺の管理をしている叔父に叱られた。