「ここは…どこ?」
思わずそう呟いてしまった。目の前に現れたのは、まるで昔話に出てくる竜宮城のような光景。青く揺れる水の中、巨大な魚がゆっくりとこちらを見つめている。まるで「よく来たね」と言っているかのように。



その魚は、たぶんハタの仲間。堂々とした体つきに、どこか優雅さを感じる。周りには小さな魚たちが舞い踊り、まるで竜宮の乙姫たちが歓迎の舞を披露しているかのよう。

ガラス越しに見ているはずなのに、気づけば自分もその世界の一部になっていた。水の音も、魚の視線も、すべてがリアルで、心がふわりと浮かぶ。

この空間は、ただの水族館じゃない。
日常を忘れさせてくれる、ちょっとした異世界旅行。
スマホの通知も、現実の喧騒も、ここでは届かない。

「また来よう」
そう思った瞬間、魚がくるりと向きを変えて、青の奥へと消えていった。まるで「またね」と言っているみたいに。