ランチの時間だというのに、そのファミレスは空いていた

「ネギトロ丼ひとつお願いします」
「この定食をひとつお願いします!」

ネギトロ丼を頼んでいるのは私

「おまえ、ネギトロ好きなーー。ネギ食えないくせに」

「それがさ?気づいちゃったんだよ…ネギがラーメンにもそばにも、ネギトロにも合うってこと…」
「ねぎ!トロだしな」

相変わらずくだらない私たちの会話
けれど、この会話からも分かるだろう。

私たちは互いのことをよく知っていた。

「あんたこそさ、その野菜食べんの?定食にしちゃってさ」
「野菜食うと美人になるぞ」

可愛くない2人

私たちはあの連絡がすぐにご飯を食べに、飽きることなく集合していた

「彼、家帰っても爆睡だったみたいね」
私が言えば
「あいつな、ずっと寝てたしな」
興味なさげに幼なじみは答える

「んなことよりさ、ネギ食べれるようになったんなら、山椒は?食べれるようになったわけ?」
「いや、山椒に関しては食べれなくても困らん」
「いやいやいや、焼き鳥には山椒だろ」
「七味で十分でしょうよ」

話を戻され、延々と繰り返すくだらない会話。


「おわ、本当にねぎくってるー」
「でしょうよ、美味しさに気づいたわけです私の舌がね」

「あの頃はクソガキだったのにな、一丁前に大人に近づいたか」

全く本当に、恋愛のレの字も浮かばないような言葉をすらすら言う男だ。

「俺たちももう20超えてさ、パートナーできるんかね??」
「あんたのその調子じゃ無理」

「お互いに30になっても独り身だったりしてな!」
「50まで1人なら同居くらいしてやるって」

よくある冗談
「あー大人になっちまったんだなー」

なぜか嬉しげな、得意げな幼馴染は
嬉しそうに唐揚げを頬張っていた。