メメント・モリ(memento mori)とはラテン語で「死を忘れるな」という意味の言葉です。ニュアンスとしては「人はいつか死ぬのだから、今を楽しもう」若しくは、キリスト教的な観点から「死という救済がいつか訪れる、現世での快楽は虚しく、来世に期待」的な文脈で使われる様です。絵画なんかだと後者の意味で使われる事が多く、日本的な感覚で言うと「祇園精舎の鐘の声…」が近いのでしょうか。


ところで、皆さんはFF10をプレイしたことはありますか?私はFFシリーズは10と8しか知らないのですが、どちらも時間をかける価値のある作品だと思っています。特にFF10のキャラクターの心理描写はそれ以前のゲームでは再現しきれないクオリティだと思います。モーションキャプチャや当時のグラフィックの最先端を行くモデル等、裏付けはたくさんあるのですが、その中でも魅力的なのがボイスなのではないでしょうか。今となってはキャラクターボイスの無いストーリーゲームはあまり無いですが、当時のゲームでは初めてだったらしいです。それ程に心理描写に力を入れて作っている様です。


FF10のストーリーは全体を通して、うすらぼんやりとした終わりがずっと見えているかの様に進むんですよね。それは召喚士の旅というシステム然り、10の世界全体のシステム然り…

これってまさにメメント・モリの考え方でキャラの台詞にもそれがよくみられます。旅の終わりと共に死を迎える事がわかっているユウナ一行は、各地でイベントをこなす度に「今を生きよう」というメッセージを発します。それとは反対にティーダは「未来を生きよう」とするのです。これってメメント・モリじゃん!と気がついてしまったらこの記事を書いておきたくなってしまいました。


知識や教養は作品を深く魅せてくれます。それは本や絵画の様な高尚そうなものだけでなく、ゲームや音楽でもそうです。