宅地建物取引主任者試験の独学合格法 -109ページ目

監督・罰則

今回は監督と罰則についてお話いたします。

ここはもう理屈ではありません。
とにかく暗記、ひたすら暗記です。

過去にお伝えしたことの復習ですので難しくはないと思います。
大変ですが、なるべく分かりやすくまとめてみましたので頑張ってください。



■監督の全体構造

まず、監督と言っても「宅建業者に対する監督処分」と「取引主任者に対する監督処分」
は別物だということをしっかり区別しておいてください。

宅建業者に対する監督処分として、
1.指示処分 2.業務停止処分 3.免許取消処分 があります。

取引主任者に対する監督処分として、
1.指示処分 2.事務禁止処分 3.登録消除処分 がります。

大前提としてこれらをしっかり頭に入れ、混同しないように覚えていってください。
言葉のイメージ通り、1から3に行くに連れて処分の程度が重くなります。

では、順番に見ていきます。



■宅建業者に対する指示処分

指示処分:宅建業者に対し、そのような事態を解消せよ、などと命ずること

処分権者:免許をした国土交通大臣または知事(知事は管轄区域内で業務を行っている
       他の免許を受けた宅建業者に対しても指示処分可)

主な該当事由

・業務に関し取引関係者に損害を与え、または与えるおそれが大であるとき
・業務に関し取引の公正を害する行為をし、または害するおそれが大であるとき
・宅建業法に違反したとき


指示処分に違反した場合は業務停止処分の対象となります。
罰則の対象にはなりません。



■宅建業者に対する業務停止処分

業務停止処分:1年以内の期間を定めて業務の全部または一部の行為禁止を命ずること

処分権者:指示処分と同じ

主な該当事由

・指示処分に違反したとき
・宅建業に関し不正または著しく不当な行為をしたとき
・営業保証金供託届出前の事業開始(不足額を2週間以内に供託しないとき含む)
・新事務所設置に際し弁済業務保証金分担金を納付しないとき
・特別弁済業務保証金分担金を通知後1ヶ月以内に納付しないとき
・保証協会社員が還付充当金を通知後2週間以内に納付しないとき
・保証協会社員の地位を失った場合に1週間以内に営業保証金の供託をしないとき
・専任の取引主任者設置要件を欠いたとき(2週間以内に補充しないとき含む)
・従業者名簿を備え付けていないとき
・取引態様の明示義務違反
・誇大広告等の禁止違反
・重要事項の説明義務違反(書面を交付して説明しなかったとき含む)
・37条書面の交付義務違反
・媒介および代理契約書面の交付、価額の根拠の明示義務違反
・自ら売主の場合の完成・未完成物件の手付金等保全措置義務違反
・手付の信用供与による契約誘引
・限度額を超える報酬受領、不当に高額の報酬要求
・重要な事実の不告知
・不当な履行遅延
・守秘義務違反


業務停止処分に違反すると、免許取消処分の対象となります。
何らかの罰則の対象にもなります。



■宅建業者に対する免許取消処分

免許取消処分:与えた免許を取り消すこと

処分権者:免許権者のみ(=免許をした国土交通大臣または知事)

主な該当事由

・宅建業者が成年後見人・被保佐人・復権を得ない破産者であるとき
・宅建業者が禁錮以上の刑に処せられ、執行の終わり等から5年を経過しないとき
・宅建業者が宅建業法違反や傷害罪等で罰金の刑に処せられ、執行の終わり等から5年
 を経過しないとき
・「成年者と同一の能力を有しない未成年者である宅建業者の法定代理人」または「個人
 である宅建業者の政令で定める使用人」または「法人である宅建業者の役員と政令で定
 める使用人」が、上記3つのいずれかに該当するとき
・「成年者と同一の能力を有しない未成年者である宅建業者の法定代理人」または「個人
 である宅建業者の政令で定める使用人」または「法人である宅建業者の役員と政令で定
 める使用人」が、下記4つのいずれかの者に該当するとき
・不正手段による免許取得、業務停止処分に違反するとして免許を取り消され、取消しの
 日から5年を経過していない者
・上記の者が法人の場合、免許取消処分の聴聞の期日、場所の公示日60日以内にその法人
 の役員であった者で、取消しの日から5年を経過していない者
・上記に該当するとして免許取消処分の聴聞の公示がなされ、公示の日から処分決定まで
 の間に解散または廃業の届出をし、その届出から5年を経過していない者
・上記の期間内に合併により消滅した法人、または解散・廃業の届出をした法人の、聴聞
 の公示日前60日以内に役員であった者で、その消滅または届出から5年を経過していな
 い者

・免許換えの手続きを怠ったとき
・不正手段により免許を取得したとき
・業務停止処分対象行為で情状が特に重いとき
・業務停止処分に違反したとき
・免許を受けてから1年以内に業務を開始しないとき
・1年以上事業を休止したとき
・営業保証金供託の届出の催告を受け1ヶ月以内に届出をしないとき(必ず対象ではない)
・宅建業者の事務所所在地が確知できないとき(必ず対象ではない)



■取引主任者に対する指示処分

指示処分:必要な指示をすること

処分権者:登録を行った知事および実際に処分該当事由が行われた都道府県の知事

主な該当事由

・名義貸しを許し、他人がその名義を「使用」したとき
・取引主任者の事務に関し、不正または著しく不当な行為をしたとき


指示処分に違反すると、事務禁止処分の対象となります。
罰則の対象にはなりません。



■取引主任者に対する事務禁止処分

事務禁止処分:1年以内の期間を定めて取引主任者として行う事務の禁止を命ずること

事務禁止処分を受けた取引主任者はすみやかに主任者証を交付を受けた知事に提出し、
知事は、事務禁止期間が満了し返還請求があったときは直ちに返還しなければなりません。

処分権者:指示処分と同じ

主な該当事由

・指示処分に違反したとき
・名義貸しを許し、他人がその名義を「表示」したとき
・取引主任者の事務に関し、不正または著しく不当な行為をしたとき
(指示処分と同じだが度合いによる)


事務禁止処分に違反した場合、その主任者の登録を行った知事は、登録消除処分をしな
ければなりません。また、事務禁止処分による主任者証提出義務に違反した場合は過料
に処せられます。



■取引主任者に対する登録消除処分

登録消除処分:宅地建物取引主任者資格登録簿から登録を抹消すること

登録消除処分を受けた取引主任者は、すみやかに主任者証を交付を受けた知事に返納する。

処分権者:登録を行った知事のみ

主な該当事由

・主任者登録の欠格要件の1つに該当したとき(宅地建物取引主任者のページ参照)
・不正手段により取引主任者の登録を受けたとき
・不正手段により取引主任者証の交付を受けたとき
・事務禁止処分に該当する場合で情状が特に重いとき
・知事の行った事務禁止処分に違反したとき



■監督処分の手続き

国土交通大臣または都道府県知事は監督処分を行う場合、あらかじめ処分を受ける者、
またはそれらの代理人の出頭を求め、釈明および証拠提出の機会を与えるために公開に
よる聴聞を行わなければなりません。

そして業務停止処分または免許取消処分をしたときは、その旨を公告します。
指示処分や取引主任者に対する処分に公告は必要ありませんのでご注意ください。

指導:国土交通大臣は全ての宅建業者に対して、知事はその都道府県の区域内で宅建業
   を営む宅建業者に対して、必要な指導・助言・勧告を行うことができる

報告:国土交通大臣は全ての宅建業者に対して、知事はその都道府県の区域内で宅建業
   を営む宅建業者に対して、宅建業の適正な運営を確保するために必要と認める場合
   には、業務についての報告を求め、または事務所への立入検査をすることができる。
   (取引主任者に対しても事務について報告を求めることができる)


聴聞制度の例外として、1.宅建業者の事務所所在地を確知できないことを理由に免許
を取り消す場合、2.宅建業者の所在を確知できないことを理由に免許を取り消す場合
には、聴聞を行う必要はありません。

この場合は官報または公報でその事実を公告し、30日を経過しても宅建業者から申し出
が無いときに免許を取り消すことになります。



■罰則

宅建業法が規定する罰則には、懲役・罰金・過料の3つがあります。
2つの異なる罰則をあわせて科すことを併科といいます。

主な罰則をまとめておきます。
平成19年度法改正により罰金の額が一回り大きくなりましたのでご注意ください。


1.3年以下の懲役or300万円以下の罰金or両者の併科

・不正手段による免許取得
・名義貸しで他人に営業させた
・業務停止処分に違反して営業
・無免許営業(宅建業者以外の者)


2.2年以下の懲役or300万円以下の罰金or両者の併科(H19法改正でnew)

・重要な事実の不告知

3.1年以下の懲役or100万円以下の罰金or両者の併科

・不当に高額の報酬を要求


4.6月以下の懲役or100万円以下の罰金or両者の併科

・営業保証金の供託届出前に営業開始
・誇大広告
・不当な履行遅延
・手付貸与等による契約締結の誘引


5.50万円以下の罰金

・免許申請書の虚偽記載
・名義貸しで他人に営業表示や広告をさせた
・専任の取引主任者の設置要件を欠く
・報酬基準額を超える報酬を受領した
・帳簿の備付け義務違反・記載不備・虚偽記載
・従業員名簿の備付け義務違反・記載不備・虚偽記載
・標識の掲示をしなかった
・報酬額の掲示をしなかった
・37条書面の交付を怠った
・守秘義務違反


6.10万円以下の過料

・登録消除等による取引主任者証の返納義務に違反
・事務禁止処分による取引主任者証の提出義務に違反
・重要事項の説明の際に取引主任者証の提示義務に違反





[ 昭和62年 問49 ]  取引主任者に対する監督処分に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.取引主任者が宅地建物取引業法に違反して罰金の刑に処せられたときは、1年以内の期間を定めて、取引主任者としてすべき事務の禁止の処分を受ける。

2.取引主任者としてすべき事務の禁止の処分を受けた取引主任者が、その処分の期間中に、宅地建物取引業法第35条に定める重要事項の説明をした場合には、当該取引主任者は、登録を消除される。

3.不正の手段により取引主任者証の交付を受けた取引主任者は、登録を消除される。

4.取引主任者は、取引主任者としてすべき事務の禁止処分を受けたときは、速やかに取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。


1 誤:宅建業法違反で罰金刑に処せられたときは登録消除処分
2 正:事務禁止処分に違反したときは登録消除処分
3 正
4 正:「提出」に注意


[ 平成7年 問50 ]  甲県に本店(従業者13人)、乙県に支店(従業者5人)を有する個人である宅地建物取引業者Aに対する監督処分に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.Aは、本店の専任の取引主任者が2人となったときは、直ちに宅地建物取引業法違反となり、甲県知事は、Aに対して業務停止処分をすることができる。

2.Aが引き続いて1年以上宅地建物取引業に係る事業を休止したときは、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。

3.Aが支店において宅地の売買契約を締結する際、宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明をさせなかったときは、乙県知事は、A及び支店の専任の取引主任者に対して、必要な指示をすることができる。

4.Aが支店において宅地の売買契約を締結した場合で、宅地建物取引業法第37条の規定に基づく書面を交付しなかったときは、乙県知事は、1年以内の期間を定めて、支店だけでなく、本店における業務の停止を命ずることができる。


1 誤:2週間以内に補充すればよい
2 誤:取消処分は免許権者のみ(Aは複数の都道府県に事務所があるため国土交通大臣)
3 誤:重要事項の説明は宅建業者の義務であり、取引主任者が処分を受けることはない
4 正:業務停止処分は免許権者だけでなく、現場の知事(乙県知事)も行うことができる