ストーリーでわかる! ブルー・オーシャン戦略実践入門/日本実業出版社
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人材派遣会社は、顧客の低賃金化のためにあるのではなく、人と会社が持つ技術やノウハウを以て顧客の成長エンジンにならなければならない。

その一方で、
あえて露骨な表現をすると、不景気がどうとか言う前に・・・・・
仕入れられる日本人の数が減少しているのに、
国内市場(地域密着を売り物にしている企業はなおさら)だけで、明るい未来なんて、
どう法制度を改正してもやって来る訳なんてない・・・・・・・・

では、派遣会社がどうやってブルーオーシャンに踏み出して行けるのか、
簡単に4つの例を元に考えてみたいと思う。


1、クリスタル型
経営者の思いつきや、ロクなエビデンスも無しに現場で閃いたアイデアを、瞬間的に事業化する戦略。
古くはごみ収集事業から、求人広告代理店事業、賃貸不動産事業、債権回収事業の設立、観光バス会社の買収など、一見闇雲に行っているように見えて、実はクライアントからの要請であったり、自社の事業と連携していたりし、相乗効果が期待されていた。

2、グッドウィル型
人材事業での儲けで、介護事業に進出したパイオニア的存在。
事業運営のズサンさで社会的信用を失う結果となったが、規模の大小を問わず、現在もその流れを模倣する人材会社は多い。

3、リクルート型
同業者の買収戦略もさることながら、海外進出にも積極的。
まさにブルーオーシャンを追い求めている。


4、J COM型
携帯電話販売派遣のジェイコム。
携帯電話販売代理店を買収したり、自社で経営することでノウハウの蓄積に余念が無い。
製造派遣でも、クライアントの工場を払い下げてもらって、自ら下請け工場となるケースや、
物流部門への派遣から3PL受託、その後、本当に物流会社になったり、物流コンサルタント業が本業になるケースも見られる。


上記1,2のケースは結局のところリクルートに買収されたのだから、良くないのでは?とも取られそうではあるが、両者とも事業の運営がズサンであり社会的信用を失い失敗しただけ(しただけ・・とは中々言いにくいけれど)であり、営業ベースで考えると、かなり優秀な方ではないかと思える。
ただ、介護事業に関して、あえて一言付け加えるならば、それは目先の金を追っているだけで、そのうち高齢者だって減少する事くらいは頭に入れておかないといけない。

4に関しては、価値を高めるために、派遣市場とは違う実業の分野も扱う訳だが、その世界にも当然のごとく競合がいて、そこでも戦う羽目になり、派遣市場では優位に立てたとしても、完全にブルーオーシャンに出て行けたとは思えない。

派遣法の改正によってマージン率の開示が法制化され、派遣スタッフや外部の者からすれば、相当利益を取っているようにも見えるが、経常利益僅か数%の企業がほとんどで、賞与や社宅を提供している場合は、どうしても、率が大きく見えてしまうけれど、貰った分以上は払えない利益構造上仕方のないことでもある。

では、どこに事業のイノベーションがあり、ブルーオーシャンはどの方角にあるのか?
と言うことなのだが、利益率が少ないと言っても、かつて多くの経営者が派遣ビジネスを行う魅力(現在でもそうだが)はストックビジネスあること。現在では自由化業務は最大3年間で強制的にストックを奪われる仕組みになってしまったのだけれど、このストックビジネスをあえて捨て去る所にイノベーションが生まれるのではないかと私は思っている。

そのやり方方法については、後日になるのか、個別にお話しするのか、にはなるが、
イノベーションとはそう言うものではないだろうか。

かと言って、単純に派遣業から紹介業になる事を言っているのでなく、
いま各社が持っているリソースをどの方向に応用するのか。そしてあえてストックを捨てる勇気を持つことが出来るか?
それほどまでに、覚悟を決めないとこの業界に未来派ない。