SHARPメディアタブレット「GALAPAGOS」の販売を終了のニュース後、日本の製造業に対する悲観的な所見を多数見て『少し違うんじゃないか』と思ったので更新することにしました。

人はとかく目の前の事象を見て物事を判断する傾向があるにせよ、企業経営に関わる人やコンサルティング関係の方まで、SHARPのチャレンジ精神を非難することは無いだろうと思いますし、ましてやApple社を過剰に神格化する必要もないとも思うわけです。Apple社にしてもMacintosh不振で苦しんだ時期があり、素人目に見たらPCメーカーから音楽再生機メーカーに転進してようやく稼げるようになったとも見方によってはある訳で、不況になればマクドナルドのバリューセットやユニクロが勝ち組で、好況期になると高級志向でマクドナルド不振、ユニクロ食料品事業失敗とか負け組みに転落する・・・・

それと同じ次元で、『日本は製造業なんてやっている場合ではない』、『今更、製造業など生き残れない』などと言う論調では、自ら”私は底が浅い人間です”と宣言しているようなモノではないだろうか。と感じてしまいます。
確かに、驚異的な円高による輸出産業の危機ではあり、Apple社だけでなく、フナイやドウシシャなど国内のファブレス企業は結構頑張っているのも事実ではありますが・・・・

SHARPの挑戦が無ければ、カラーテレビや電子レンジや省電力で動作する電卓やソーラー発電や液晶TVや携帯電話の予測変換辞書なんか、もう少し後の時代の製品になっていたか、もう少し不便なモノになっていたかも知れません。 そう言う意味ではGALAPAGOSやザウルスやワープロ書院やその他多数の失敗も必要のウチでは無いでしょうか。

私がアウトソーシングの業界に飛び込んだ10数年前に、当時のアメリカで今の日本と同様の事が起こっていました。『国内の労働者を保護する為、これ以上のグローバル化をやめるべきではないか』『南米やアフリカ企業にアウトソーシングすると国内労働者の賃金の低下を招く』など・・・
それを思うと日本は丁度周回遅れで同様の事が起こり、不動産バブルに沸く中国がそのまた周回遅れでやってきている。
アメリカは金融バブルと言う手法で乗り切ろうとして失敗いたしました。日本はそれを反面教師にして違う手法を生み出すことに今、苦労しているのだと思います。

「欲しいものがないといわれる現在でも、新しい時代をとらえた商品の売れ行きは伸びている」と小泉元首相が言ったように、文化や生活においてイノベーションが起きると再び活性化するもので、三種の神器も時代と共に移りかって行きます。私自身も新規事業プロデューサーとして、微力ではありますが新しい風を生み出す努力をしていますし、そう言う挑戦者を歓迎する空気感が今もっとも大切にしないといけないのではないでしょうか。