原発や軍事において有事を唱える者が弾かれて行くこの国ですが、
企業においても、リスクや危機管理を唱える者は鬱とまれる傾向が良くあります。

個人では『保険』が好きな日本人なのに、
企業活動における保険加入や顧問弁護士など、
危機管理に関するコストを負担したがらない傾向があります。

私は以前、日雇い派遣会社を親会社に持つ企業で働いていた事がありますが、
当時は話題にもならなかった作業装備費について警鐘を鳴らしましたが、
大手上場企業が同様の事を行っていて、それが業界スタンダードであり・・・・・・
などと言う事で私の意見はむなしく却下されてしまいましたが、その後の事は報道のとおりでございます。

結局その派遣会社は数年分さかのぼって、約2億円作業装備費の返還に応じたそうです。

ISOやPマークさらにHACCPなどのお陰とともに、
多額の賠償金が発生した情報漏えい事件の事もあってか近年少しは良くなってきてはいると思いますが、
逆に、情報漏えいや衛生管理やISOなどの仕組みに関わらない所での業務や
仕入先選定基準、新規顧客との取引条件、用品、地具、ソフトの導入などで、
安易に動くのではなく多少なりとも検証し検討してからはじめなければ、
イザ事が発生してから対策を考えていては被害の拡大は免れない。
企業と言うものはあらゆるリスクを念頭に置いて、回避し回避しきれない場合は損害を最小限にとどめなければならないと思います。

先日も、巷で有名なブラック企業との取引に安易に応じようとする事があり、
その事で自社のイメージを悪化させる要因がある事を指摘させて頂きました。
その経営者は異業種参入の為かその企業の評判を知りませんでしたので警告したところ、
あなたは何故そう言うネガティブが意見を言うのか・・、もっと前向きな事は出ないのか・・と言われました。
別にその経営者だけでなく、この国の国民性が楽観論を求めているのは、書き出しのとおりです。

いつまでも、高度成長期を引きずって売れば当たる。右肩上がりしか認めない。
また、根拠の無い自信、根性論で成長を求めるなど馬鹿げた事でしかなく、
金さえ儲けられれば何でもアリなどと言う時代がとっくに終わっている事に一刻も早く気が付かなければ、
2番目3番目のユッケ社長を生み出すだけであります。

どこにリスクがはらんでいるかは個々により違いはありますが、
多方面から今一度検証し、必要なだけのコストを掛ける必要があると思います。
そしてその負担に耐えられないのであれば、そんな事業はとっとと辞めてしまうべきです。

リスク判定に関しては、先の事例の通り、まずは常識を疑う事です。
常識を疑い、法令にそって業務の在り方を見るべきです。
そして、耳の痛い事を言う人間を許容できる穏やかな精神状態。
先のユッケ社長の会社にも2社ほどコンサルティング企業を受け入れていたようですが、
経営者の耳触りのよい事しか言っていなかった結果あのような事件に繋がったのだと思います。


近いうちに・・・・会社(事業)のやめ方 についても触れて行きたいと思います。

ま、だからこそ日本でコンサルタントや危機管理が育たないと言われているので、
スグには変わらないようですが、原発のようにひとたび『コト』が起こってからでは取り返しが付きませんからね。