初めて、配信観劇で泣きました。


2018年に初演された、日本発のオリジナルミュージカル
生きる




私は初演を劇場へ観に行けていないのですが、WOWOWの放送でまず原作の映画を観た後に、市村正親さんバージョン、鹿賀丈史さんバージョンをそれぞれ拝見しました。
それを観て、“これはミュージカルにして正解な作品だな”って思ったんです。

もちろん、元の良さがあってこそです。
けれど、ミュージカルにすることによって、広がりが生まれ、テンポ感が良くなった。
登場人物に彩りが増す。
そして、1幕終わりと2幕終わりで、それぞれグッときたんです。


この時点で、再演があったら絶対に観に行こう!
と思っていました。

ところが。
劇場へ行く気満々でチケットを取ったものの、直前になって体調を崩してしまいました。
観劇当日はほとんど回復していたのですが、このご時世なので行くなら万全の状態で行かねばと思い、泣く泣く断念したのです。

そんな中、御園座の大千穐楽2日間は配信があるという!!!
これは観ないと。
というか、観たい!

そう思い、観る予定だった鹿賀さんの大千穐楽を配信観劇しました。

ちなみに、本来ならば母と劇場へ行く予定だったので、母だけ観に行ってきてもらったのです。
プログラム買ってきてくれました♪


母も久しぶりのミュージカルで、とにかくみんな上手かったよ、良かったよと大絶賛!
喜んでくれて良かった。
そんな母と共に、配信でおうち観劇です。


11月29日 17時 御園座より配信

渡辺勘治役は鹿賀丈史さんで、小説家は小西遼生さん。
(市村さんと新納さんの大千穐楽も観たかったのですが日程的に厳しかったのです〜)


まず、配信のクオリティに感激。
画質、音質、カメラワーク、どれも良かったので不満なく観られました。


初演をWOWOW放送で拝見した際、市村さんは自然な感じの渡辺で、鹿賀さんは演じている感じ(良い意味で)の渡辺なのかなと思っていたのですが、今回の鹿賀さんを拝見していると、とっても自然体でいらっしゃるなぁと感じました。

どちらも劇場で観ていないので細かいことは分かりかねますが、初演よりもテンポ感が良くなったような気がしましたね。


小説家の小西さん。
初演よりも、狂言回しとしての入り込み方が上手くなってました。
流れるような感じでスルッと入ってくる。
余談ですが、こにたん相変わらずそこにいるだけで色気が半端ない。笑
だから、夜の遊び教えてくれる流れが自然だし説得力あるわ(何の)。


渡辺一枝の役と、小田切とよの役は、May'nさんと唯月ふうかさんがそれぞれ演じます。
今回拝見したのは、一枝がMay'nさん、トヨがふうかちゃんでした。
お二人ともそれぞれが、初演よりも魅力を増していましたね。

特に、トヨがメインで歌うナンバーたちはとっても明るく軽快で、観ていてすごく楽しいんです。
それが画面越しでもダイレクトに伝わる!
ふうかちゃん個人的に好きなのですが、トヨにピッタリだな〜と思いました。


渡辺の息子、光男役は村井良大さん。
村井さんは「生きる」再演からの参加です。
実は私、舞台観劇を趣味にし始めた頃は村井さんの舞台をよく観に行っていたのです。
今回久しぶりにじっくり拝見できました。

妻である一枝とのやり取りや、父である渡辺勘治とのやり取りが多い光男。
すごく不器用な男なんだなってのが分かるし、見ていてもどかしくなるほど。
村井さん、とても良かったです。
やっぱり素敵な役者さんだなぁ。


もちろん、他の皆さんも素敵なんです。
それぞれのシーン一つひとつが素敵。


宮本亜門さんの演出も素晴らしいです。
美術や、セットなども。

いわゆる“お役所仕事”をしている「たらいまわし」のシーン。
職員が座りながらデスクと共に移動するところ、初演のときから凄いなと思ってましたが、初めて劇場でそれを見た母も「あの技術?演出?は凄かったよ〜!」と興奮気味に話してました(*´艸`)


各ナンバーも、強く印象に残るものが多いです。
1幕終わりの「二度目の誕生日」と、2幕終わりの「ゴンドラの唄」〜「青空に祈った」の流れなんかは、もうグッとこないわけがなくて。

鹿賀さんがあまりにも自然に役を生きながら歌ってらっしゃって、見ているだけで目頭が熱くなってしまいました。


1幕ラストの「二度目の誕生日」。
歌い出しはまだ力強くなくて、“今からでも遅くはない”ということに気付いていく感じじゃないですか。
そこからのクライマックス、渡辺勘治の「生まれ変わる」ほどの想いが確信に変わった途端、ものすごいパワーが生まれる。
歌の盛り上がりと芝居の盛り上がりが比例していて、違和感がない。
鹿賀さんの表現力、素晴らしかったです。
すごかった。


2幕のラストは、ブランコに乗りながら歌う渡辺勘治=鹿賀さんの姿と、小説家に連れてこられた光男=村井さんの表情が相乗効果となって、涙を誘いました。
そこに降り続ける雪。
バックのコーラスも、雰囲気を引き立てる。
……あんなん泣くしかなかろう……!!!

最後、ブランコに帽子を置いて消えていく渡辺勘治。
もともと涙腺が緩い私ですが、配信でこんな泣くとは思いませんでした。
(きっと劇場で観ていたら大号泣していたことでしょう)
今回、配信していただけて、観ることができて、本当に良かった。
心からそう思います。



ますます、「劇場で観たかったなぁ」と思いました。
でも実は、「配信で観る機会ができて良かった」という想いのほうが、強く残ったんです。

この作品、ジャパニーズミュージカルとして世界に誇れる作品だと思います。
そして、今の世の中に深く刺さる作品。

初演時、どんどん良い評判が広がっていって、今回の再演にも繋がったと聞きます。

今回私も劇場へ行けなかったし、観たくても観られなかった方もいらっしゃると思うので、再再演の機会があれば嬉しいな。
これは日本が残していくべき作品だと思うので。


年齢を重ねていっても、今日を二度目の誕生日として、生まれ変わり、生き抜いていきたい。
そう思わせてくれる作品でした。