またBUCK-TICKがとんでもない作品を世に放ってしまった。
03まで駆け抜けてきて、ここでは異国情緒漂う曲。
今井さんのソロパートも浮遊感たっぷり。
横ちゃんもブログに書かれてますが、摩訶不思議な音のオンパレード。
(横ちゃんも密かにお気に入りだそうですし)
曲の雰囲気も、一つ一つの音も、全てが未知の世界。
異国情緒漂う曲はBUCK-TICKに多いけれど、これまた新たな境地。
05:月の砂漠
[作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦]
鍵盤の音から始まり、静かな曲かと思いきや、シンバルからのドラムで勢いがつく。
04ともまた違う、壮大さがある曲です。
まさに、目の前に広がる砂漠を漂う感じ。
サビ終わり間奏のゆたさんのベースがめちゃくちゃいい仕事してる。
樋口兄弟のリズム隊で締まる曲、というイメージです。
06:Villain
[作詞:櫻井敦司・今井寿 / 作曲:今井寿]
イントロから掴まれるでしょこれ!!!
シンセ音からのギターリフ→今井さんパートで土台をかっちり作ってから、サビのあっちゃんパートへ。
タイトル通りvillain=悪党でもあるんだけど、まさか歌詞に「糜爛」(びらん)がくるとは。
櫻井敦司の言葉選びが素晴らしいよね。
しかも、どうやらもともと「糜爛」という言葉を使いたかったらしいですし。
間奏はエンジニア比留間さんの処理も素晴らしいです。
聴いてたら勝手に体が動きますね。
そんな曲でありながら、終わり方は怖い(好きです)。
07:凍える Crystal CUBE ver.
[作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦]
シングルとして既にリリースされていましたが、別の曲かと思わせるほど頭の音からアレンジされています。
しかも、06の終わりが怖いので、この入り方もゾクッとしますね。
夏の夜に、森の奥深くへ入っていくイメージ。
シングルの際もCUBEさんのマニピュレートでしたが、同じ曲を同じ人がアレンジしても、だいぶ変わるんだなぁと驚きます。
08:舞夢マイム
[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
最初に聴いた印象は、ザ・昭和歌謡。
これ、私の中では褒め言葉です。
個人的に歌謡曲とか歌謡曲チックなものが大好きなので。
これこそBUCK-TICKにありそうでなかった気がします。
それでいて、ただの歌謡曲で終わらないのがBUCK-TICK。
だって曲のド頭のシンセとか、哀愁漂うギター音に絡むシンセの音が最高に令和じゃないですか?
横ちゃん大好き愛してます。
そりゃ今井さんも横ちゃん指名するわ……
(横ちゃんのブログ参照)
間奏のギター音もめっちゃ歪んでるので“令和歌謡”だわこれ。
しかも、最初に歌詞見て
「カラオケでよく見る男女のデュエット?!」
とか思ったよね。
櫻井敦司だからこそ成り立つ一人二役。
……この曲の感想だけやたらと長くなったので、わたしこの曲が一番好きなのかもしれません。笑
09:ダンス天国
[作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦]
踊れるヒデ曲!
もうこれ曲聴いただけでライブでコーラスしてるヒデの姿が目に浮かびますもんね。
「SURVIVAL DANCE」ともまた違うダンスチューン。
「人魚」ともまた違うトロピカル感。
トロピカルSEXY天国な「Baby, I want you.」ともまた違うセクシー感。
何様だよって感じですが、年々ヒデ曲の幅が広がってきたなと実感した一曲です。
10:獣たちの夜 YOW-ROW ver.
[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
10と11は立て続けにYOW-ROWさんのアレンジ炸裂です。
特にこの曲はリリース時、表題曲は横山アレンジ、カップリングはCUBEアレンジとして既に2パターンが世に出てました。
満を持して3パターン目のYOW-ROWアレンジお披露目、というわけです。
改めて、BUCK-TICKのマニピュレーター陣すげぇな!!!
というのを声を大にして言いたくなりました。
みんなそれぞれガラッと違ってて、それぞれ凄くいい仕事してらっしゃる……。
YOW-ROWさんバージョンは、イントロの印象が曲全体の印象に直結するバージョンだと思いました。
11:堕天使 YOW-ROW ver.
[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
シングルリリース時はCUBEさんのアレンジで、頭のギターリフが印象的でした。
それがYOW-ROWさんのアレンジになって、シンセ始まりにガラッと変貌を遂げました。
しかも、2段階の音色になってるのが良いですね。
もちろん、頭以外も印象が変わりました。
収録時間あまり変わってないのに、シングルバージョンと比べると、聴いててスローに感じます。
不思議。
12:MOONLIGHT ESCAPE
[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
07、10、11はシングルとアレンジが異なりますが、こちらはシングルと同じ。
横ちゃんもブログに書かれてますが、ディレクターの田中さんが「非常に完成されている」とのことでそのまま収録となったようです。
なるほど納得。
イントロからアウトロまで、まさに最初から最後まで、1本の映画を観ているかのような完璧な世界観が作られていると思います。
しかも、ここまでシングルが3曲続いてるのに飽きないのが凄い。
13:ユリイカ
[作詞:櫻井敦司・今井寿 / 作曲:今井寿]
各種インタビューで今井さんがおっしゃってますが、このご時世になって出てきた「スカッとした曲」。
アルバムタイトルの「ABRACADABRA」もここで出てきます。
聴いててスカッとするし、勢いがあるのでライブで絶対盛り上がるやつ!!!
歌詞が今井さんとあっちゃんの共作ですが、サビが「LOVE!」「YEAH!」「PEACE!」の連続なのが、いかにも今井さんの持つポップさ全開。
「手のひらを太陽に」ってのも、(そのままですが)陽のイメージ。
それに、この曲の歌詞こそ、今井ワールドと櫻井ワールドが融合してるな~って感覚でした。
鐘の音で終わるこの曲ですが、01のSEにつながるようにと、この曲をアルバム最後にする案もあったそうです。
それについては次の項目で。
14:忘却
[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
なんて優しい曲なんだろう。
あっちゃんの歌詞の効果もあり、横ちゃんのデリケートなアレンジもあり、各パートの寄り添うような音が優しい。
先に触れたように、最後を「ユリイカ」にするか、この「忘却」にするかで案が分かれていたようです。
たしかに音のつながりで言えば「ユリイカ」なんだろうけど、この曲が最後にくることによって、またアルバムの頭から聴きたくなってしまうんです。
最後、リズム隊→ギター→シンセの順で締める音たちが余韻を残してくれるおかげで、無限ループ確定。
ライブでこの曲の演奏が終わってメンバーがハケていく姿まで想像してしまったよね。
ライブ会場で余韻を楽しめる日が早くきてほしい、なんてことも思ってしまいました。
◆追記
BUCK-TICKのアルバムって、曲順の美も印象的だと思いませんか?
「ユリイカ」と「忘却」の項目にも書いたけど、ラストでだいぶ印象変わるのは言わずもがな。
そして、シングルが続いても飽きないのはアレンジの妙。
BUCK-TICKほどシャッフルで聴きづらく、アルバムを最初から最後まで集中して聴きたくなるバンドはないなと私は思います。
今回のABRACADABRAは曲順においても最高傑作だと実感しました。