
解説を渡部昇一さんが書いている。
その中で、論語と孫子は対照的だと書いている。それは、孔子は個人の真実とそれによる政治のあり方を教えたもの、そして自分が立派でさえあれば成功しなくても良かった。道を悟れば、貧乏のまま失業しても良い。
ところが、孫子は組織として軍団を動かすことを説いた。「負けたら死」という認識であった。勝つためにはあらゆる手を尽くす、そのための理論書であった。
実際のところ、孔子は失敗者であったのに対し、孫子は成功者であった。
渡部氏は、孫子の明瞭さは、人間理解と組織の論理の理解の両方にまたがっていながら、一切の偽善がない点であるという。孫子は人間の機微を教えてくれる。具体的なノウハウでありながら、懐の深い古典である。
この本の副題には、ライバルに勝つ知恵と戦略とある。若い時に読んでいれば、役に立ったであろう。
この年になれば、私にはもういらないが、国際政治にかかわる方は理解しておいてほしいものである。