一昨日、高校までラグビー経験がなく、さらに一浪して早稲田大学に入った坪郷智輝選手の記事を書きました。
現在、「ラグビーマガジン」で「若きラグビーマンに捧ぐ。」という連載を書かれている渡邊隆さんも、高校は陸上部で、早稲田大学に2浪して入り4年時にレギュラーを勝ち取った方です
毎月とっても魅力的な文章で感動するエピソードを届けてくださっています毎回泣けて笑えるんです
連載6回目の11月号は前編、7回目の12月号は後編で「僕の原点。」というタイトルで高校時代について書かれています。
渡邊さんが高校1年生の初めての授業での自己紹介で三橋先生に怒られた体験の表現がとっても面白いです
教室が静まり帰って不穏な空気が漂い・・・「その皮膚から繋がる神経伝達回路は、側頭葉の奥にあるアーモンド状の偏桃体へと伝わり、瞬時に危険を察知した。・・・中略・・・今にも爆発しそうな鬼の形相で仁王立ちしていた。目からはビーム光線の様なものを僕に向けて発していた。」
すごい感受性と語彙力なぜこんな文章が書けるのでしょう
ものすごく怒られて傷ついてあれこれ考えた渡邊少年がとった行動は、三橋先生のいる陸上部に入ろう
えっどうして
陸上部で三橋先生の指導を受けたことで、自己紹介での一件がトラウマではなく、人間形成において逆境に屈しない困難に立ち向かっていく部類の人間であることを決定づけてくれた、なんて
逆境に屈しない方法も面白いですし、挫けない強さも半端ないです
ところが、あと2週間での卒部を前に退部。
また、えっどうして
ここで後編に続くのですが、後編では退部の理由は語られておらず、前編で「陸上部顧問の片平先生が東京国立競技場でのインターハイに3年生を連れて行くと言って、その同行に耐えられなかった」とだけあります。
後編は片平先生の指導について。
陸上部の練習を最後までやるとバスの最終便に間に合わない生徒を先生の自宅に泊めて、片平夫妻は『大草原の小さな家』のチャールズとキャロラインのようだったと書いています。
そして、渡邊さんが卒業して2年後、後輩が4×400mリレーでインターハイ3位に入ったそうです
3万数千人の小さな町の公立校、男女十数人の陸上部で、トラック競技決勝で勝負できる高校生を4人そろえる。しかも中学でバスケットボール部が3人、柔道部1人。
その片平先生の指導は、「限界値に挑戦する気迫があるかないかで、おのずから結果は違ってくる。心・技・体の中でも心の持ち方が第一。」
でも、ちゃんとコンディショニングやピーキングを計算したメニューが素晴らしいです
『夢はどんなことをしても実現する人間と、それが出来ない人間の二種類がいるんだ』という片平先生の言葉で結んだ今回の連載。
やっぱり素敵な文章で、クスッと笑えて、ちょっぴりウルッときて、頑張れと背中を押してくれるお話でした