第3章、第4章では、相良監督が早稲田大学ラグビー部の指導方針について書かれています。
監督もコーチも学生に「こうしろ」と断定口調は使わない。「こうしたらいいんじゃないか」と話す。学生たちに考えてもらいたい。
これを徹底したから、昨シーズンの早稲田の選手たちの主体性が育ったんですね
指導者もいろいろ我慢しなくてはいけない部分もあるでしょうし、いろんな工夫をされていたと思います。そして、そこでしっかり自分たちで考えて成長する選手の皆さんも素晴らしいです
相良監督が示す『早稲田スタンダード』、本当に大切なことばかりです私も同じ気持ちです
①きつい時、疲れた時に、膝に手をついて顔を下に向けない。
②ゴールラインを全力で切る。
③トライを取るまでサポートし続ける。
④相手に抜かれても最後まで諦めずバッキングアップする。
⑤相手や自分たちのミスによるイーブンボールの働きかけで絶対に負けない。
この当たり前を早稲田の歴史の中で諸先輩方が大切に積み重ねてきた、と相良監督はおっしゃっています。
足が遅くても、体が小さくても、技術がなくてもできることです
①は私が早稲田ラグビーを好きになった当初、選手がよく言っていた気がします。
相良監督以前の選手が疲れた態度を取っていたという印象はありませんが、みんなで徹底することは強さにつながると思います。
④は、トライまで持っていかれても、せめてコンバージョンキックが蹴りにくい端にグラウンディングさせることは、大一番で効いてきます。
⑤は、これも私が早稲田ラグビーを好きになった当初、早稲田と言えばルーズボールへのセービング、と思っていました。例えば、早稲田→サントリーでHOとして活躍していた青木佑輔さんは、転がるボールに飛び込んで必ずマイボールにしていました
昨シーズン、FL幸重天選手がこのセービングで何度もピンチを救ったりチャンスを作ったりしていました
先人たちが100年かかって積み上げてきたものを守るのは「継承」。そこに時代に応じた新たなものを加えていくのが「創造」。
相良監督のこの確かな信念が、早稲田の日本一奪還に繋がったんだと思います
近年、現役で活躍するOBの臨時コーチをやめていたそうですが、相良監督がまた復活させました。
パナソニックFL布巻峻介選手、NTTコムFL金正奎選手、サントリーPR垣永真之介選手、リコーPR千葉太一選手が上井草を訪れてくれたそうです
これからもOBを含めた「オール早稲田」で強さを維持していってほしいです
今の学生たちは少子化の影響か、両親に大切に育てられ、失敗しない環境で育っていると相良監督は分析しています。
ラグビーでは、チャレンジが大切。成功すれば素晴らしいし、失敗しても課題を克服することで成長できる。失敗しない限り成長はない。
実は私もトレーナーとしてチームに関わるとき、同じようなことを感じていました。自分で克服して成功するという成功体験がないから、能力があっても自信がない選手が多い気がします。
だからこそ、今からでもチャレンジして、成功することを経験してほしいと思って選手に接しています
第1、2章でもそうですが、この第3、4章でも相良監督は様々な指導者の方をリスペクトして、良いところは取り入れていて、私はそういうところも尊敬しています
御所実業の竹田寛行先生、元東海大仰星の土井崇司先生、山下大悟前監督、(故)宿澤広明さん、元啓光学園の記虎敏和先生。
そして、対戦相手をリスペクトして、勝っても負けても対戦相手から必ず何かを学んでいます。
そういう姿勢を私も見習いたいです