数日前、サンケイスポーツの記者・田中浩氏のコラムを読みました
NTTコミュニケーションズFL金正奎選手について書いてありました
金選手は、リーグ戦の最終節の1試合前、第6節、10月13日に行われたトヨタ自動車戦の途中で頭を打ち、HIA(ヘッド・インジャリー・アセスメント=頭部外傷評価)にかけられました。そこでは脳震盪とは診断されず、最後まで試合に出場しました。
でも、最終節に向けた練習を再開したときに変調を感じ、チームとの相談の上、最終的に試合の欠場を決めました。
10月20日の最終節、サニックス戦は、試合の結果次第で優勝を争う決勝トーナメント進出が決まる重要な試合でした。
金選手自身も「葛藤しました」と書いてあります。
試合の重要性、主将である立場とコンタクトスポーツを行う危険性の葛藤。
金選手は「こういうときに、我慢してでも試合に出ることが日本では美学ととらえられる。(今回の決断が)ラグビー選手へのいいメッセージになればと思います。」と話しています。
頭を強打した選手が日を置かずに再び頭を打つ「セカンドインパクト」が生命に重大な危険をもたらす。
金選手のメッセージが伝わることを願う。と田中氏は結んでいます。
最終節の試合のメンバーが発表されたとき、金選手の名前がなかったので、妹と二人で、どうしたんだろうね怪我かなぁ
と話していました。
でも、その直後、ラグビーイベントに参加されている記事を見て、元気そうだったので重傷ではないのかな、と予想する一方、“日本の美学”を持ってしても大事な試合に出られない程の事情が何かあったのかな?とも思っていました。
このコラムを読んで、全て解決。そういうことだったんだって納得しました。
IRBから脳震盪ガイドラインが出されていて、ラグビー界では脳震盪について世界共通の理解があります。日本でも、日本代表やトップリーグから子供までラグビーをしている全てのチーム・選手に通告されています。
脳震盪は、脳の機能に障害をもたらす外傷性脳損傷。
一般的な症状は、頭痛、めまい、記憶障害、バランス障害などです。
今回の金選手のように受傷直後は症状がなく、24時間~48時間後に症状が出ることも多いので注意が必要です
脳震盪と診断された後は段階的競技復帰プロトコルに沿って復帰していきます。
①安静
②軽い有酸素運動(10~15分の軽いジョギング、水泳など)
③競技に特化した運動(ランニングドリルなど)
④ノンコンタクト・トレーニングドリル(パスなどを入れた複雑なドリル)
⑤フルコンタクトの練習(通常トレーニング)
⑥競技への復帰
一つの段階において、脳震盪の症状が出ていないことを医師または専門家が確認して、次の段階に進みます。
決められた書類を提出してからでないと、復帰はできないことになっているはずです。
先月、怪我をした選手が這って進んで襷をつないだ全日本実業団女子駅伝予選会がありました。
数年前、フィギュアスケートの羽生選手が大会当日の直前練習で他の選手と衝突して怪我を負い、それでも大会に出場していました。
賛否両論あると思いますが、私は外部の人がとやかく言う問題ではないと思っています。当事者やチームの問題。いろんな想いや事情があって、危険性ももちろんわかっていての決断だと思います。
ただ、自分のチームや自分の家族に同じ事が起こったらどうするかを考えるのはとても大切だと思います。
やるのか、やらないのか、難しい問題です。
でも、結果論であってはいけないと思います。
金選手の決断はとても賢いと思います。他の選手の命を守ることにつながる、大きな決断だったと思います。
金選手はやっぱり真のリーダーです