ネトウヨが大好きな当時の価値観・日露戦争時の日韓関係 | 誰かの妄想

ネトウヨが大好きな当時の価値観・日露戦争時の日韓関係

韓国併合前の1904年、日露戦争中における日本の韓国干渉に対する、当時の認識を調べてみる。

「ベルツの日記」より


7月26日
(前略)
韓国における対日感情の悪化は、日増しに加わってゆく。京城では、日本人の眼の前で、反日示威運動が行われている。そこへ、日本公使が公然と後押しをした、不可解きわまる請願事件が起きて、火に油を注ぐ結果となった。長森某なる者が、韓国全土の未開墾地全部を、五年間免税で払い下げてほしいと願って出たのである。こんなものを要求する厚顔振りにいたっては、まったく沙汰の限りである。韓国政府も一応は簡単に拒絶しておいて、直ちに名目だけの会社を設立し、これに日本人の望んでいた土地をそっくりそのまま譲渡してしまった。こんな前代未聞の要求により、親日感情の最後の残り火まで、日本人が自身で踏み消してしまうのだ。最近のこと、日本側は強制的にある集会を解散させ、幹部を逮捕した。そして今度は、守備隊を増強し、憲兵隊を接収しようとしている。しかもそれでいて、定評のある新聞ですら、韓国は日本から恩義をこうむっている!と称するのだ。


9月5日
(前略)
韓国では、今や日本人はすこぶる思い切った行動に出ている。かれらは韓国政府から、軍事上の目的に土地を提供させた-つまり強制的に、そうせざるを得ぬようにしたのである。そして今度は、はなはだ重要な協約が発表された。この協約によれば韓国は-
(略:第一次日韓協約の内容)
これでいて、日ごろの決まり文句は、韓国の主権を侵害しない!である。この協約により、韓国は日本の属国となるのだ。
(後略)


9月19日
(前略)
韓国に『コリア・デーリー・ニュース』という、日本の息のかかった新聞が発行されている。この新聞が、図々しくも主張していわく「日本は数百万の金と、幾千の人命をなげうって、韓国の独立のために戦っている!!」と。その韓国の自主性を、日本が今ではもう、あっさりと奪ってしまっているのに。
(後略)

「ベルツの日記(下)」P138、166、182


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ベルツと言えば、草津温泉や伊香保温泉の近代化に功績のある医者で、伊香保にはベルツの銅像が建っています。
ベルツは日本人を妻に持ち、大変な親日家です。日露戦争では、日本の勝利を喜んでいることを日記に記載しています(単純なロシア蔑視には嫌悪感を示しているが)。故国ドイツにも愛国心を持ってますが、日露戦争当時・以前のウィルヘルム2世の外交には批判的です。一方で、異常なほどドイツを敵視する日本のマスコミ、世論にはうんざりしています。

また、韓国政府が腐敗していたことについても言及していますし、日露戦争以前にロシアが満州を占領していることに対抗して日本が韓国を占領してもロシアは文句を言わないだろうという発言も残しています(P8)。

そういうベルツが見た日本の韓国に対する行動は、「韓国の独立のため」というのがただの名目に過ぎない、と見ているわけです。


「韓国併合は韓国人が望んだ」


という嫌韓バカの主張がいかに妄言であるかを物語っていますね。