明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第一巻 第3節金融並び通貨
イナゴ駆除の業務連絡ばかりではなんなので・・・
日露戦争時の軍票に関わる資料を、画像データから読み取ってテキスト化してみました。
*は、判読できなかった箇所。
カタカナはひらがな現代仮名遣いにしてます。漢字も常用に直してます。(その方が打ち込みやすかったので)
国立公文書館アジア歴史資料センター
http://www.jacar.go.jp/nichiro/keyword07.htm【 レファレンスコード 】 A04017278200
大正六年陸甲三一号別冊・明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第一巻
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第三節 金融並び通貨
第一項 軍用手票
明治37年11月5日 遼東守備軍参謀長より第三軍司令部有賀博士宛
天津より奉天方面へ莫大なる銀貨輸出せられ天津市場の銀貨払底となり其影響営口に波及し銀の輸出を見るに至れり此輸出増大するときは我軍票の流通を阻害するが故に必要に際し営口(海陸共)より銀の輸出(銀貨、銀塊共)を禁止せんとす公法上差支なきやご意見聞きたし
同11月6日 有賀博士より神尾少将宛
銀貨銀塊の回送輸出は我軍徴発権の運用を困難にするに相違なきも之を禁止するは占領軍の明白なる権能以外に於て私有財産の自由処分を制限することとなり又中立国の通商権を妨害することとなるが故に必ず故障多からん先例は勿論なし若し止むを得ず実行するに於ては力めて通商を制限するの体裁を避け商品として輸出すると否とを論ぜず概して銀貨銀塊を占領地内より占領地外へ持運ぶことを禁止する体裁を採り其地域も貿易港に限らず先ず占領地一般に布告して後之を営口に行うベし左すれば馬匹糧食等の減少を予防すると同様の手段と見らるべし
明治38年3月3日 遼東守備軍経理部長通達
経発第1689号
目下補助貨の製造需要に伴わず補充の困難なると軍用手票の価格維持に関し其筋の電命も有之旁左の通り御実行有之度就中軍用手票の価格下落に乗じ補助貨を以て手票買収の為営口より戦線近く迄駆回り候者も有之哉にて軍政署に於ては右等に特に注意せられ又各部隊に在ても酒保商人をして之に応ぜしめざる等十分の取締相煩し度候
一、各部隊所要の補助貨幣は其所属酒保の収入金又は郵便為替金等を以て融通する方法を取ること
ニ、各部隊中前項の方法を採るも所要を充たす能はざるものあるときは補助貨の入金多き隣接部隊より融通せらるること
三、以上の方法を採るも尚所要を弁じ難きものに限り金枢部より受領すること
追て右第三項に依り一箇月間所の補助貨並目下該貨の状況此際御一報相煩し度申添候
同3月5日 遼東守備軍経理部長より銀塊交換に関し告示方大連軍政署に依頼し軍政署は之が告示をなしたるも交換条件中官衙の威信に係る字句ありとて爾後拒絶せられたり
同5月11日 陸軍大臣の訓令
今回の戦地たる満洲は銀を以て取引の基本と為す所なるが故に政府は銀に兌換せらるべき軍用手票を発行し戦地に於ける軍需品の購入其他人夫賃等の支払に使用せしめつつあるも軍人軍属の俸給、給料等に兌換券を支払うが為同一地方に其本位を異にする二種の貨幣併ひ行われ取扱上の不便少なからざるのみならず軍用手票価格下落の一原因となるの実況を見るに至れり依て自今満洲に於ては右等俸給等の支払にも左の方法に依り総て軍用手票を用い以て如上の不便不利ならかしめんとす
一、軍人軍属に係る俸給、給料其他の給与は満洲に於て支給すべき金額に限り総て軍用手票を以て支払うべし但し通貨を望むものあるとき之が返還を為すべし
ニ、前項の軍用手票は大蔵大臣の定めたる交換価格に依るべし
三、記簿決算及証*書類は票価即ち券面金額を以て整理すべし
右調令す