そもそも証言原文を確認することなく、証言の不一致を指摘すること自体ナンセンス | 誰かの妄想

そもそも証言原文を確認することなく、証言の不一致を指摘すること自体ナンセンス

粘着しているネトウヨ君がコメントにコピペしている「慰安婦証言は信用できない」という陰口(反論というレベルに達していない)だが、どうも韓国語原文にあたることなく言いがかりをつけている様子。


例えば、これ。
「李容洙(???)お婆さん証言集
(中略)
家族はお婆さんとお父さん、お母さんと慰労お兄さん一人、そして弟が四つで皆九家族だった。」


明らかに日本語が変です。おそらく機械翻訳でしょう(「慰労お兄さん」って何だよ?)。
大雑把な大意はわかるでしょうが、これで詳細を理解できるんでしょうか?


普通は無理ですよね。


また、以下の比較もそうですね。

「証言 強制連行された朝鮮人軍慰安婦たち」(1993年11月明石書店)
「証言集会(同志社大学)」(2005年4月21日)

本の内容は確認してませんが、証言集会(http://www1.doshisha.ac.jp/~kasano/FEATURES/2005/leeyongsoo.htm )では、通訳の李其珍さんが「今日通訳を務めさせていただきます、李と申します。大学院生です。私は日本語のネイティブではないので、少し日本語が聞き取りづらいかと思いますが、どうかご理解の上、お聞きください。」と述べているように、専門の通訳ではないようです。自分の精通する分野以外の翻訳は難しいので、李其珍さんの通訳が正確でない可能性もあります。



正確かどうかわからない日本語訳を比較して詳細が違うと言って、「m9(^Д^)プギャーーーッ」とか言って喜んでるわけです。
書いたネトウヨが小学生くらいなら、まあ微笑ましいですが。
知的レベルはともかく、実年齢は小学生では多分ないでしょうから、キモイだけですけど。


韓国人元慰安婦の証言は、ほぼ間違いなく韓国語でされているわけで、検証するなら原文にあたるべきなのは基本中の基本ですが、それすらやっていない。訳文の間に不整合があるなら、まず考えるべきは「訳が間違っているのではないか」であるはずですが、結論先にありき、ではそれすら見えない。

怪しい訳文だけを検証して証明できた気になっているのは痛いにも程がありますね。

ま、このレベルだから産経記者の捏造にも騙されるんでしょうけど。


いたいけな知能のネトウヨをかもにするなんて、産経って罪深い新聞だなあ・・・。


他にもまあ色々。
あまり調べていないのだが、金学順さんについて。

どうにもね。「キーセン学校」についてよく知らずに語ってますね。
金学順さんは14歳から「キーセン学校」に行ったことになっているが、別の証言(これも翻訳だ)では「キーセン検番」(日本でいう置屋)になっている。

さて、「キーセン」だが「妓生」のこと。で、「妓生」を売春婦だと直結させるバカが多いのだが、「妓生」はどちらかと言えば日本の「舞妓」に近い。(参考:http://www.tanken.com/kisan.html


京都の東山女子学園は「舞妓」の学校でもあるが、彼女らを売春婦と呼ぶのは普通ははばかられるだろう。


無論、「舞妓」にしろ「妓生」にしろ売春と無縁ではないが、本業は芸能である。「妓生学校」もそういう芸能を学ぶ場所である。
「妓生」自体は、日本統治下でどんどん売春婦としての色が濃くなっていくが、それゆえに「妓生学校」にいた金学順さんが目をつけられたとも考えられる。

これが「十七才の時騙されて慰安婦にされた。」という部分につながる。


こうして考えると、ネトウヨさんのコメントだけでも別に不自然な箇所はない。
http://ameblo.jp/scopedog/entry-10035706576.html


中国東北部で生まれ、生後百日で父が死に、母と平壌に移った。四年生まで普通学校(小学校)に行き(当時の朝鮮の学制によるが10歳くらいか?)、14歳で「妓生学校」(多分、平壌)に行き(多分、義父の薦め(妓生にはこういう人がよくついた。「検番の義父」と言う表現からも類推できる※))、17歳で義父に売られた先が慰安婦としてだった。本人は説明を受けていない。義父が知っていたかは不明。内容を知って嫌だったけど、日本軍人に強制的にトラックに載せられ、中国へ連れて行かれた。


全然、不自然じゃありません。
経緯を見れば「金学順さんは、「女子挺身隊」として連行などされていない事を、8月14日の記者会見で自ら語っている。」のも当然です。金学順さんについて言えば、そんなこと、そもそも主張していないのですから。


明らかになったのは、当時の朝鮮に関するネトウヨさんの知識不足くらいのものだろう。
というか、
「→平壌へは売られていったんですよね??」
批判する文章すら読んでませんね。



※大阪産業大学教授 藤永壮氏の「植民地朝鮮における公娼制度の確立過程 より引用

「朝鮮王朝時代の妓生は、基本的に中央や地方の官庁に所属する「官妓」であり、いわゆる「八賤」のひとつ―賤民の身分に置かれていた。その主な役割は、宮中・官庁で行事や宴会があるときに歌舞を演じ、出席者の接待にあたることである。ソウルで宮中行事などに参席する官妓は、中央官庁に所属する「京妓」と、地方官庁から送られてきた「郷妓」(または「選上妓」)―とくに平壌は名妓の産地として有名である―から構成されていた。また官妓は官吏の求めに応じて自宅で宴を催し、酒食を提供したり歌舞を披露することもあった。しかし妓生に対する国家の給与は充分ではなかったため、朝鮮王朝時代の後期になって、下級官吏が「妓夫」(または「妓生書房」「仮夫」)と呼ばれる後援者となり、この妓夫の仲介によって、特定の男性と性的関係を結んで金銭を受け取り、場合によってはとして扱われるようになった。妓夫をもたない妓生は、彼女を養育し技芸を教えた収養父・収養母が同様の役割を果たしたという。一般に京妓は妓夫をもつケースが多く、郷妓はもたない者が多かったので、前者を「有夫妓」、後者を「無夫妓」と呼ぶ場合もあった。」


妓生は、売春婦というよりは富裕層の愛人・妾といった形態であったと言える。妾自体は戦前の日本でも珍しくなく、本妻などからの差別はあったにしても一般的に売春婦と同等に見られることはなかっただろう。


【追記2007/6/13】
コメントいただいた中にある黄文雄の著作。


大予言 中国崩壊のシナリオ (新書)
内容(「BOOK」データベースより)
90年代、中国は崩壊する。大洪水、大旱魃、政局の混乱。難民の噴出は第一の前兆だ。中国潰滅のプロセスを克明に描いた「日本人」への警言。


21世紀になりましたが、崩壊してませんね。いつ崩壊するんでしょう?

ネトウヨは慰安婦を嘘つき呼ばわりするのに、黄文雄は信じるんだ。

大予言、大外れなのに~。



【追記2・2007/6/13】
ネトウヨは証言にある日付が違う、とか言って嘘だと断定するわけですが、それがいかに間の抜けた指摘か山木さんのエントリを見ればわかりますね~。

http://d.hatena.ne.jp/yamaki622/20070613

是非、ネトウヨの感想が聞きたいものですが・・・