「犬猿」
国内監督でもトップクラスに好きな吉田恵輔監督の新作です。自分は「ヒメアノ〜ル」をその年のベストにしてる人なので、滅茶苦茶楽しみにしてて、公開初日に早速見に行きました。言っちゃうと滅茶苦茶素晴らしかったです…。
基本的には滅茶苦茶吉田恵輔監督っぽい映画に仕上がってたと思います。コメディでオフビートなんだけど、とてつもなく深くて残酷な嫌味や悪意にも満ちていて。ナチュラルかつアイロニカルな視点で物語を語らせたら右に出るものはいないと言った感じ。初っ端の、近年のティーン映画を皮肉ったような予告編、ステーキ屋に誘う下り、富士急ハイランドデートの悪意ありすぎな対比などなど。面白おかしいんだけどどこかブラックな、でも愛おしいシーンに溢れてたと思います。まあここはもう吉田恵輔監督はいつも流石なところですけど。
これ、この2組の兄弟姉妹の関係が単なる対比とか鏡像になってなくって、そこがいいなあと思って。決して似た者同士だから同時進行してるわけじゃなくて、それぞれの人への関わり方、4人の中で誰が自分を何かしら変えようとしてて誰がしてないか。ここがとても重要なんじゃないかと思います。ここに4人それぞれが何かを抱えてる、そしてそれを誠実に吐き出していくからこそ、素直に感動できるんだと思います。兄弟だから云々という話ではなく、周りの人と自分のお話。ここが滅茶苦茶視野が広くて、面白いというか。と同時に、吉田恵輔ってやっぱこういう作家だよなぁとしみじみ思わされました。
キャストはみんなベスト更新しすぎて最高でした。窪田正孝の悪意も何もかも溜め込んでる感じ、新井浩文の勘違い暴力魔っぷり、筧美和子の純粋な演技の上手さ(これが演技なのかと思うほど上手かった)。そして何といってもサプライズはニッチェの江上。前作「ヒメアノ〜ル」のムロツヨシに通づるサプライズがありました。真面目に演技してるんだけど、しっかり笑いどころは取ってるという、芸人としての彼女のセンスも抜群に発揮されてたと思います。吉田恵輔監督の芝居演出の上手さももちろんあったと思いますが。純粋に全員、演技の演技じゃなさと、セリフまわしのテンポ、グルーヴ感がほんとに素晴らしかったなと思います。
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国内監督でもトップクラスに好きな吉田恵輔監督の新作です。自分は「ヒメアノ〜ル」をその年のベストにしてる人なので、滅茶苦茶楽しみにしてて、公開初日に早速見に行きました。言っちゃうと滅茶苦茶素晴らしかったです…。
基本的には滅茶苦茶吉田恵輔監督っぽい映画に仕上がってたと思います。コメディでオフビートなんだけど、とてつもなく深くて残酷な嫌味や悪意にも満ちていて。ナチュラルかつアイロニカルな視点で物語を語らせたら右に出るものはいないと言った感じ。初っ端の、近年のティーン映画を皮肉ったような予告編、ステーキ屋に誘う下り、富士急ハイランドデートの悪意ありすぎな対比などなど。面白おかしいんだけどどこかブラックな、でも愛おしいシーンに溢れてたと思います。まあここはもう吉田恵輔監督はいつも流石なところですけど。
そして、後半にいくにつれてそれらの悪意的な部分がどんどん色濃くなり、ハードな展開になっていくのもいつもの吉田恵輔監督。ここがものすごく意地悪なんですけど、そこまでがオフビートだったからこその、辛さ、痛さ、切なさもあり、そしてその後にそれでも向けられる登場人物たちへの優しい視線に今回もグッときて泣いてしまいました。こんなに厳しくて優しいお話他の人には作れないでしょう。陳腐な感想になってしまいますが、吉田監督、誰よりも優しい作家だと思います。
これ、この2組の兄弟姉妹の関係が単なる対比とか鏡像になってなくって、そこがいいなあと思って。決して似た者同士だから同時進行してるわけじゃなくて、それぞれの人への関わり方、4人の中で誰が自分を何かしら変えようとしてて誰がしてないか。ここがとても重要なんじゃないかと思います。ここに4人それぞれが何かを抱えてる、そしてそれを誠実に吐き出していくからこそ、素直に感動できるんだと思います。兄弟だから云々という話ではなく、周りの人と自分のお話。ここが滅茶苦茶視野が広くて、面白いというか。と同時に、吉田恵輔ってやっぱこういう作家だよなぁとしみじみ思わされました。
キャストはみんなベスト更新しすぎて最高でした。窪田正孝の悪意も何もかも溜め込んでる感じ、新井浩文の勘違い暴力魔っぷり、筧美和子の純粋な演技の上手さ(これが演技なのかと思うほど上手かった)。そして何といってもサプライズはニッチェの江上。前作「ヒメアノ〜ル」のムロツヨシに通づるサプライズがありました。真面目に演技してるんだけど、しっかり笑いどころは取ってるという、芸人としての彼女のセンスも抜群に発揮されてたと思います。吉田恵輔監督の芝居演出の上手さももちろんあったと思いますが。純粋に全員、演技の演技じゃなさと、セリフまわしのテンポ、グルーヴ感がほんとに素晴らしかったなと思います。
あと、演出面でいうと吉田恵輔監督のショットのこだわりが過去最高なんじゃないかというくらい発揮されてて。特に今回は背中を映すショットがかなり多かったのですが、一つ一つが絶品の撮影と計算によってなされていて。ほんと一つ一つの背中が何かを物語っている、そんなショットの連打に感動しました。あと、カットバックというか、編集もすごく凝ってて、不意に挟み込まれる映像に悪意や皮肉を込めてて、だからこそ、ラストの露骨なまでの「思い出」に涙してしまうという。クライマックスも主人公全員が泣き芝居をしてるのに全然あざとくなく嫌じゃなかったというか。ここの本音だが本音じゃない感にすごくグッときました。「今までは合わなかったしこれからも多分合わないけど、でも、死なないでくれよ!」っていう(劇中の台詞ではないが)。こことか「マグノリア」のラストのトムクルーズの「クソ野郎、死なないでくれ」とそう遠くないシーンだなと思いました。
ということで、吉田恵輔監督、またまた大傑作打ち出してきてしまったというか、完璧な映画でした。吉田監督、下半期にもう一本新作が控えてるそうなので、まだまだ油断はできない監督だなと思います。とにかく、今年の大傑作またまた出てきてしまいました。ずっと見ていたいくらい超大好きな作品でした。オススメです。
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犬猿
2018年/日本
配給:東京テアトル




