品川女子学院。
6年制の完全中高一貫校だ。

京浜急行線北品川駅から徒歩1,2分。
改札を出て陸橋を渡ればすぐに玄関が見えてくる。

校長の漆先生は,
内閣の諮問機関である「教育再生実行会議」のメンバーでもある。
学校で毎日子どもと直に接している
こういう先生からの意見を取り入れて,
現場の状況を少しでも的確に行政に反映してくれればいいのだけど。
それにしても,現場からの参加者が少ないのは,いかがなものか?
何はともあれ,
ただでさえ多忙なのに,フットワークも軽く様々な活動に取り組んでいる校長先生。
お体にはくれぐれも気を付けて,いつまでも元気はつらつと,
品川女子学院を引っ張っていって欲しい。
さて,その校長先生のスピーチ。
まずは,世界の教育の潮流に触れた上で,
学校として重視している教育内容として次の4点を示していた。
①課題解決型学習
②個別学習
③恊働
④非認知能力
「非認知能力」というのは,
IQや達成度テストに代表されるような「認知能力」に対する概念で,
・遅刻をしない
・部活動に熱中する
・生徒会で熱心に活動する
などといったもの。
近年では,
この非認知能力が学歴や雇用形態,賃金に影響を与える
との研究も発表されている。
【参照】(独立行政法人 経済産業研究所HP)
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/14j019.html
グローバル化という不可避の大きな流れの中にあって,
労働市場で「売れる人材」になるためには,
学校教育のあり方も当然変わっていかねばならないのだろう。
「ICT」は,今やほとんどの学校で耳にするようになった。
その代名詞とも言える電子黒板について,
こんな面白いことを言っていた。
7,8年前だったら電子黒板には意味があったが,
今はタブレットとで充分だと。
既に生徒と教員がタブレットを1台ずつ持っているので,
教室のプロジェクターで写せば事足りるという。
タブレットのアプリは無料でアップデートしていくわけで,
電子黒板という高価格なハードウェアを導入する必要はない。
恥ずかしいことにワタクシめ,そんな風に考えたことがなかったが,
言われてみれば,なるほど,たしかにその通り。
現実的には,公立学校では不公平を避けるために全学で導入していくのだろうけど,
実際,導入が完了する頃にはもう時代遅れになっているおそれもあるね。
技術の進歩も社会の流れも,それくらい速くなっているわけだから。
さて,この学校の取り組みについて紹介したいことは
挙げればキリがないが,
どうしても外すわけにはいかないのが「28プロジェクト」だろう。
「28歳になったときの自分」の姿から逆算して将来設計をする
というものだ。
なぜ28歳なのか?
「M字カーブ現象」という用語があるように,
日本の場合,女性のうち約60%が28歳で1回労働市場から離れる。
出産・子育てを迎えるのがこの時期だからだ。
ひと段落して仕事を再開しようと思っても,
同じ職に戻れるのはわずかなケース。
戻れるのは資格職,専門職くらい。
これが日本社会の実情だが,
現実問題として,高齢化により労働人口が減少していくため,
女性が働かないと労働力がまかなえないということになる。
実際のところ,女性で指導的立場にある人のうち,
7割が海外経験があって英語を話せ,
半分は会計士などの資格をもっている。
そういうものがないと,復職して子育てと両立することはできないのだとか。
そこで,
28歳になったときの「未来の自分像」から逆算して進路を考える,
それが「28プロジェクト」。
このプロジェクトが評価されて
文科省からSGH(スーパーグローバルハイスクール)に認定され,
学校と社会が連携し「起業マインド」を持つ女性リーダーを育成する研究を進めているという。
実際に校内で取り組んでいることも秀逸で,
その最たるものが「企業コラボ総合学習」。
企業とのコラボレーションで, 中学生がマーケティングや商品開発を実地で学ぶというもの。
ただの社会科見学や講義なら,似たようなことをしている学校はたくさんあるが,
この学校が凄いのは,本当に販売までもっていくところ。
最近では,女子中高生の朝食離れという社会問題に際して,
キューピーとのコラボで新商品「パンで焼きたてアップルパイ」を開発し,発売したという。
【参照】(キューピーHPより)
http://www.kewpie.co.jp/company/shinagawajoshigakuin/
高等部の「起業体験プログラム」も特筆すべき取り組みだ。
文化祭を舞台に,設立・登記,株主総会,
1クラス30,40万円のガジェットで模擬店の経営を行う。
文化祭で実際の企業のライフサイクルを体験するわけだ。
もう,なんというか,
「大人顔負け」などという言葉を超越したレベルだ。
「PDCAサイクル」とか「マルチタスク」とか,ビジネスの世界で飛び交う用語が,
中学生・高校生に当たり前に浸透している。
その他,
ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏による
「ソーシャルビジネス・プラットフォーム」の設立についての講演。
池上彰さんの「世界に社会に視野を開く特別講座」。
とにかく実社会につながる勉強であふれている。
創立90周年。
元を正せば,関東大震災の当時に,
復興のために活躍できる女性を育てるために作られた学校だという。
国の動きが遅いときには,民間が素早く動く。
それを地で行く女子校だ。
校歌の作詞者はあの与謝野晶子。

「学校で勉強する事なんか社会に出たら通用しないよ」
「学校なんてどこに行ったって同じだろう」
・・・なんて思ったことのある人は,
この学校を見に行って欲しい。
現代の学校の進歩ぶりに衝撃を受けることだろう。
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/School Post編集部