我が家の「井戸さらい」体験記

 

 

「井戸さらい」の実地に付き合うことで、井戸は、地中に酸素や栄養を送り込む、人体の血管にあたるものだと知りました。実際に、井戸の隣にあった枯れかかった大木が、「井戸さらい」をしたことで、新鮮な酸素が送り込まれ、息を吹き返したのを目の当たりにしました。すると、我が家のコンクリートで蓋をされた井戸がどんどん気になってくるのです。

 

けれども、厚いコンクリートで蓋をされた我が家の井戸が、どうなっているのかを見ることはできません。自力でコンクリートを割ろうと思っても簡単なことではありません。まずは、コンクリート割って、井戸の中を調査してくれる方を見つけるところから始まりました。

 

 

「井戸さらい」の業者探し

 

ネットで「井戸さらい」の業者を探すことは、簡単でした。「新設の井戸堀します」「井戸さらいします」と書いていて安心しました。しかし、連絡を取って見ると、断られるばかりでした。問題は、井戸がすぐ見られる状態ではないことにありました。

 

また、話が進んだケーズでも、井戸の状態を見ずして、土を掘る「井戸さらい」ではなく、細いパイプを地中に通して水を出すことしか出来ないといわれました。この工法だと、水が欲しいという人間の都合に合わせたもので、自然環境の改善には、あまり役には立ちません。

 

この細いパイプを地中に通して、「井戸掘り」「井戸さらい」とする工法は、結局パイプに開けられた無数の穴の表面積が小さいため、じきに目詰まりして水の出が悪くなるので、どうしてもという場合の最後の手段です。

 

 

素掘りの井戸

 

 

そこで、知り合いの建築家に話すと、厚いコンクリートを開けて見てみようとなり、蓋が壊される日が来ました。最初から彼に相談すればよかったのです。

 

コンクリートを壊して中をのぞくと、土を掘ってそのまま利用した、古来からの手法による直径90センチ、深さ5メートルの「素掘りの井戸」でした。ある業者が、「素掘りの井戸なら、コンクリートの土管を底からおいていかないと仕事ができない」と言っていたの思い出しました。でも、それは、井戸の底にパイプを通して水を出す方法と変わらず、水を出すという人間の都合からする理にかなってりますが、地中に新鮮な空気を送り込むということにはなりません。むしろ、自然の土のパイプによる空気の通り道を、コンクリートや塩化ビニールのパイプで蓋をすることになります。

 

 

井戸が蘇る!

 

我が家の「井戸さらい」は、2日間かかりました。一日目は井戸の底に溜まったゴミや泥を掻き出し掘り下げてていきました。井戸も、ただ掘ればいいというものではなく、水脈がある地点で止める判断が重要です。我が家の場合は、結局30センチ掘り下げ、底の周囲をつぼ型に堀りました。

 

実際に、私も子供達も井戸の底に降りて、土の中から水が勢いよく出てくるところを見て感動しました。日頃は、考えもしないことですが、私たちが歩いている地表の数メートル下に水が流れているのです。それも、透明な美しい水が。

 

井戸があるのに、このような水を使わないのももったいないし、水を使うことで地中に空気が送り込まれる。良い循環が生まれます。

 

今回の「井戸さらい」で、我が家は、ポンプを設置してもらい、人力で水が汲めるようになりました。もし、地震などがあった時にも、ポンプなら停電しても水が汲めて、ご近所にもわけてあげることができます。

 

我が家の井戸↓

 

 

 

イチジクの木が元気になる!

 

 

「井戸さらい」をして喜んだのは、隣に生えていたイチジクの木がぐんぐん大きくなっていき、沢山の実をつけましたからです。やはり、「実験実証」です。渋谷の現場で見た大木の再生が、我が家でもおこったのです。人間のちょっとした配慮に、大地が元気になり、生き物が住みやすくなる。井戸をとおして多くのことを学ばせてもらいました。