司法書士の岡川です。 前回書いたように、会社は、12年間、何の登記もせずに放っておくと、職権で解散したことにされてしまう。これを「みなし解散」といいます。解散とは、会社の消滅(厳密には、そのあとに清算をしないといけませんが)ですが、人に譬えると「死んだものとして扱われる」ということです。死んだものとして扱う制度は、会社だけでなく、個人にも存在します。それが「失踪宣告」の制度です。これは、生死不明となった人について、一定期間の経過後、家庭裁判所の審判により死んだものとして扱う制度です。長い間行方不明になっていたり、大きな事故に巻き込まれたが死体が確認できなかったりといった事態は、しばしば起こります。そんな場合も、誰も死亡を確認していない(医者の診断書もない)以上は、基本的には生きているものとして扱われます。しかし、それではやはり不都合なことは起こります。その人の財産は何らかの方法で誰かが代わりに管理しないといけないし、家族が自由に使用収益したり処分することもできません。生きてるのか死んでるのかもわからない、どこにいるのかも帰ってくるのかもわからない人のために、財産を維持管理し続けなければならない。また、配偶者は、再婚することもできません(生きているとしたら、重婚になってしまう)。そこで、家庭裁判所に申し立てて、失踪宣告がなされると、従来の住所を中心とする法律関係においては、その人は死んだものとして扱われることになります。つまり、戸籍上・住民票上は、死亡したことになります。失踪宣告の要件は、生死不明が7年続くか、戦争や事故、災害などに巻き込まれて1年生死不明になるか、のどちらかです。前者を普通失踪、後者を特別失踪といいます。普通失踪の場合は、失踪から7年経過後、特別失踪の場合は、事故や災害のときに死亡したものとみなされます。もちろん、あくまで従来の住所地での関係でのみ死亡と扱われるということであって、実際にどこかで生きていたすれば、その人の権利能力(法律行為の主体となる資格)が絶対的に消滅するわけではありません。例えば失踪宣告を受けた人がどこかで買い物をしても、それはそれで有効に契約が成立します。従来の住所地においては、相続を開始させて残された財産を相続人に分配したり、配偶者が再婚したりできるようになる、という効果が生じます。もしその人が誰かの相続人になっていたとすれば、死亡したものとみなされる時期によっては(被相続人より先に死亡したものとみなされる場合)、相続人から除くことが可能です。長い間行方不明の家族がいて、財産の管理や相続関係に問題が生じている場合は、失踪宣告も検討してみて下さい。では、今日はこの辺で。この記事が「面白い」「役に立つ」「いいね!」「このネタをパクってしまおう」と思ったら、クリックなどしていただけると励みになります。↓↓↓↓↓※ブログの右上に、他のランキングのボタンもあります。それぞれ1日1回クリックできます。
司法書士岡川敦也の雑記帳
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