GT SPORTでは最近、ver 1.53でペナルティー制度に変更を加えたところ、設定されたトリガーが極端に

杓子定規に働いて冤罪ペナルティーが頻発、そしてアップデートでこれを修正したところ、今度は

ほぼあらゆる衝突、幅寄せ、押し出しにペナルティーが出ない事態となりました。

(トリガーの設定に修正を加えるまでの間、かなりの設定を無効化し、実際の修正は今開発室で

行われている最中、とも考えられる)

 

 

 そして、非常に残念なことに、世の中には「違反でなければ問題ない」という意識の人も少なからずいるようで、

ペナルティーが出ないことを理由にして押し出し等の行為を行い、それを悪いと思わない、というケースが

確認されているようです。

 この件に関しては書き出すと長いので別記事で書く予定ですが、まずその前に、とある知り合いの

プレイヤーさんから、役に立つ資料をご提供いただいたのでご紹介しようと思います。

 これは、全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI の本大会において、GT SPORTの参加者に

配布された資料で、レース内におけるペナルティー対象行為を具体的に明示したものです。

 GT SPORTでは、ゲーム上で基本的なマナー動画を視聴しないとスポーツモードに参加できない一方で、

具体的な内容には踏み込んでおらず、あくまでプレイヤーのモラルと機械判定に委ねられています。

一方で、国体では人間による判定が加わっているため、具体的な基準が設けられていたそうです。

(都道府県代表決定戦ではここまで具体的な記載ではありませんでした)

 

 まずはその内容を記載します。掲載にあたってはご本人に許可をいただいた上で原本となる配布資料の

写真をご提供いただきました。当該資料について、複製禁止等の具体的事項が見当たらないことも

ご本人により確認されております。本ページでは、資料に基づいて原則としてそのままの内容を

掲載しますが、説明のしやすさを考慮して、資料にはない番号を便宜上付与します。

 

以下引用

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[ペナルティを与えるシチュエーション]

  1 他車への衝突によって自車が利益を得た場合。

  2 他車への衝突によって相手が順位を落とした場合。

  3 他車への衝突によって相手をコース外に追いやった場合。

  4 他車への衝突によって相手をスピンさせた場合。

  5 他車への衝突によって相手がメカニカルダメージを受けた場合。

  6 2度以上の進路変更によるブロッキング。

  7 併走時、相手に1台分のスペースを残さずに幅寄せを行った場合

  (併走とは、後続車が前走車のボディ後端から1/3よりも前に出ている場合を指す)。

  8 コーナーにおいて、併走に至らない状態から強引に前走車の内側に飛び込み、相手が回避を強いられた場合

  (併走とは、後続車が前走車のボディ後端から1/3よりも前に出ている場合を指す)。

  9 ブレーキが必要ない場所でのブレーキング=ブレーキテストを行った場合。

10 コースアウトの際、後続車両の通過を待たずにコースに復帰した場合。  

11 予選中に他社のアタックを妨害した場合。

12 ペナルティ消化後のゴースト化の解除時に、レコードラインを譲らず他車を妨害した場合。

13 自チーム以外が有利になるようにチームプレーを行った場合。

14 タイヤ使用義務を守らなかった場合。

15 その他、スポーツマンシップに反する行為を行った場合。

 

■ピットイン、ピットアウトについて

・ピットイン、ピットアウトを行う際に、ピットレーンの入り口と出口に設けてある白線の内側を

 走行することを推奨いたします。

・ピットイン、ピットアウト時に白線を守らず、他車を妨害した場合はペナルティ対象となります。

 ただし、他車の妨害をしたと見なされなかった場合は、白線を跨いでピットイン、ピットアウトを行ったとしても

 ペナルティの対象とはいたしません。

・ピットロードがS字の形状をしている場合も、白線を跨ぐ行為をペナルティの対象とはいたしません。

 

■バンプドラフトについて

バンプドラフトは原則禁止とします。

 

■その他の注意点

ゴール時にスピンや壁に衝突してゴールするような行為をしないようにお願いします。

予選、決勝ともに最後までスポーツマンシップにのっとり、ゴールまで走り切ってください。

 

――――――――――――――――――

引用終わり

 

 

 レースにおける違反の基準、とりわけ接触に関するものというのは、何かの国際基準が明確に設定されている、

というわけではありません。大枠として「接触で利益を得たら違反」といったものが定められ、何が

違反にあたるかはそれぞれの競技団体が、一定の方針の下で競技運営員会等によってその都度

判断されます。ですが、それぞれにある程度通じる基本概念というものがあり、この内容もそれに即しています。

 

 具体的に見ますと、1~5は当然のことです。6は意外と知らない方もいるかもしれませんが、進路変更は

1度のみ、というのが一般的な規則です。SUPER GTではよくタイヤに熱を入れるために左右に振っていますが、

あれも真後ろに、既にタイヤに熱が入って今まさに抜きにかかりたい人が張り付いている時にやったら、

最悪ペナルティーです。

 7と8は、見ようによっては1~5を補完し、具体的にどう接触、追いだしたのがダメな行為か、というのを

説明している内容でもあります。

 SUPER GTではペナルティー判定を行うドライビング スタンダード オブザーバー・服部 尚貴がよく

「前のドライバーがコーナーに向かってハンドルを切るまでに後ろの車がインに入っているか」

と説明します。

 

 長年F1のレース ディレクターを務め、2019年に急逝したチャーリー ホワイティングも

「コーナーへ進入した時に横に並んでいなければ、前にいるマシンに優先権があるので、

 そのままレーシングラインを通っていい」

と基本概念を説明していました。

 私も啓発動画問等で何度か説明していますが、後続車両は、前の車が既にコーナーに入っていれば、

そのコーナーで後からインに入る権利がありません。レコードラインを走れば通常がアウト、イン、アウトの

ラインを取りますから、インが開くのは当たり前ですが、空いているからといって、強引に後から入り

「開けていた方が悪い、入られたくなければインを守れ」というのは間違いです。

それで前の車を抜いた時というのは、単に前の人がちゃんと見ていて避けてくれたからです。

後から入っておいて「締められた」と抗議する人もいるようですが、全く逆です。

(荒いレースだと誤解されがちのNASCARでもちゃんとドライバーはこれを守っています)

 

 いやいや、レースで結構、後ろからすんごい突っ込みで抜いてるシーンあるぞ、と思う方もいると思いますが、

その要因は主に2つ。

 1つ目は制動力の違いで、車両、ドライバー、タイヤやその摩耗状況、だけでなく、ブレーキ本体の温度・摩耗、

ブレーキ踏力の差があるため、後からブレーキングしても、減速開始時には後ろにいたものが、

ハンドルを切る前までの数秒間に並走状態まで持ち込むことに成功、優先権を崩しているからです。

 じゃあGT SPORTでは、というと、ブレーキ性能は24時間走っても変わらず、ブレーキングはたいてい

同じABS設定でフルにブレーキを踏むので、車両の状態、タイヤ、カテゴリーが同じならほとんど

制動距離に差が出ません。ですから、前走車が通常のブレーキング位置まで詰めてからきっちり減速開始すると、

後ろにいる人がそれより奥で減速を開始してちゃんと止まれることが起こりえないため、実際のレースほど

ブレーキで勝負ができないんです。ABS禁止のレースであればもう少しそういった追い抜きは可能でしょう。

 

 2つ目は阿吽の呼吸とでも言いますか、プロは状況判断をきちんとしますので、実際のところレース中の

追い抜きの中には、抵抗しないで譲っているものも結構多くあります。GT SPORTでもあえて無理しない、

という選択をする方も私を含め大勢いますが、それを「上手く抜いた」と誤解すると、接触の原因になります。

 

 そして、併走の定義とは何か、というところに、この大会では「車体の1/3」とさらに具体的な数字を

用いて一貫性の確保に努めているようです。

 9以降は見たまんまの話、13は都道府県対抗の団体戦であることから八百長防止の規則ですね。

八百長禁止は一番最初の大会規定にも書いてあったので二重に啓発されています。

 また、ピットレーンについても目安を備えたほか、バンプドラフトもしないよう求めているあたり、

運営さんはかなり細かくこのゲームで起こることを考えてきたと思われます。

(トラックリミットの機械判定で賄えると判断したのか、コース外からの追い抜きに関する規定は無いですね^^;)

 

 こういうことを書くと、時々「できない人はどうするんだ」「上手いやつと一緒にするな」みたいな批判を

してくる人がいますが(先日の「お山の大将と言われた」と被害を受けた方からコメントいただきました・・・)

 我々はほぼ全員素人ですので、やっていて実際に押してしまう、変に飛び込む、避けさせる、

うっかり邪魔する、そんなことは起こって当然です。

 ですが、起こって当然、実際にそうできない=守る必要が無い、は全く理屈が通っていません。

できないのは仕方ないにしても、守ろうとする意志を持つ、出来なかった場合に反省する、そういった

考え方を持つことが重要です。

 そして、何が合法で何が違法なのかの1つの指針として、こういうものを活用するのが良いでしょう。

この国体規則を参考にしていればかなりの部分は網羅されています。

 

 先日、とあるプレイヤーさんがこんなコメントを投稿していました。

 

私が言いたいのはそういうことじゃなくて、接触=どんな場合でも悪って感覚を全員が持っていないと

私らヘボはクリーンに走れませんよってこと。ぶつけられてレースを台無しにされる恐怖と、

ぶつけてしまって死ぬほど恨まれる恐怖がないのが問題。接触を意識しすぎて熱くもなんともない、

そんなよそよそしいバトルが本来の私らヘボのあるべき姿。

 

これ、後の投稿によれば

 

荒いプレイヤーさん批判で書いた文章じゃなくて、「土屋圭一がgtsの事をゲームと呼んだら、

横からシュミレーターと訂正された時の顔かわいい」っていう内容の呟きの一部

 

だそうなんですが、真理をついている面も多分にあります。 ぶつかることが前提でたまたま当たらなければ

ラッキー、ではなく、まず当たらない範囲での走り方というものを考えて、その上で距離感を詰めていく、

という手順を踏むのが基本的な流れではないでしょうか。

天王山にも登ったことが無い人が、いきなり富士山に登りますか?

危険なタックルが何か分かってない人がラグビーやアメリカン フットボールをやったらどうなりますか?

どこぞの大臣は「身の丈発言」で批判を浴びましたが、言葉は悪いですが、初心者がいきなりプロみたいな

追い抜きをしようとしてもそれは残念ながら無理な話で、段階に応じた振る舞い、動きというのは必要です。

 

 連続的に動き続ける競技であるがゆえに、モータースポーツはいちいち何かあるたびに止まって検証、

その都度警告、とはいきません。GT SPORTではスチュワードもいませんし、本人の自覚がなければ

問題行為は一切顧みられません。各自の自主性が頼みですから、レースを終えたら、接触や周囲の

スピン等があった場面だけで構いません。他のプレイヤーがもめてた場面でも構いません、リプレイを見て

それぞれの動きがどうだったか確認をし、勉強・反省に繋げるようにしてください。

そしてその基準として、上記ルールを参考にしてみてください。