Monster Energy NASCAR Cup Series

AAA Texas 500

Texas Motor Speedway 1.5miles×334Laps(85/85/164)=501miles

winner:Kevin Harvick(Stewart-Haas Racing/Busch Beer / Ducks Unlimited Ford Mustang)

 

 NASCARのプレイオフもいよいよ佳境、Round of 8の2戦目はテキサス、今季最後の500マイル戦です。

 マーティン トゥルーエックス ジュニアは先週ホームステッド行きを決め、ここから2戦は特にやることが無いレース、

残る3枠を7人で争います。レースは序盤から荒れた展開となり、戦略と相まって26回のリード チェンジが

ありましたが、終わってみればPPスタートのケビン ハービックがトップでチェッカー、得意のフェニックスを待たずして

ホームステッドの2枚目のチケットを手にしました。

 ちなみに、ハービックのスポンサー、Ducks Unlimitedは水鳥や湿地帯などの自然環境保護を目的とした

非営利組織です。

 前回書いた通り、#36はマット ティフトが何かしらの療養のために欠場、ジョン ハンター ネメチェック(22歳)が

カップ戦デビューとなりました。今回は父のジョー ネメチェック(56歳)も参戦しており親子出場となります。

これは2005年アトランタでのボビー ハミルトン、ボビー ハミルトン ジュニア以来の出来事です。

 

 さて、レースは開始早々9周目にいきなりチェイス エリオットがクラッシュ。先週のレースをトラブルで失ったのに、

今週はいきなりのアクシデントとなってしまい、結局22周遅れの32位フィニッシュ、ポイントでの最終戦進出は

不可能になりました。

 13周目にリスタートが切られましたが、リーダー争いをするエリック ジョーンズがなんかデッカイ破片を踏みます。

どう見てもコーション案件ですが、何の破片かと思ったら

ターン3と書かれた看板が風圧で吹っ飛ばされたようです(´・ω・`)

ここでピット作戦が分かれます。テキサスは左右非対称で、ターン1~2はややスロットルを戻しますが

3~4は今年のパッケージだと基本的に全開。クリーン エアーが重要で、タイヤのグリップをそこまで要求しないため

このレースでは2タイヤ交換や給油のみの戦略がここから多彩に展開されて行きます。

 

 リスタート後も波乱は看板だけにとどまらず、43周目にコリー ラジョーイ、54周目にブラッド ケゼロウスキーと

リッキー ステンハウス ジュニア、72周目に再びラジョーイがクラッシュ。

 そして81周目、なんとコンテンダーのデニー ハムリンもターン4でスピン、芝の上をかっとんでアスファルトとの

境目にスプリッターを強打、大ダメージを負ってしまいました。

これでスプリッターの右端を完全に失ったハムリン、なんとか規定最低速度は維持しているもののまともな

競争力は保てるはずがなく、結局6周遅れの28位でした。

相次ぐスピン、原因の1つはどうもアウト側のラインに散布されたPJ1 トラクション コンパウンドのようです。

トラクションコンパウンドの部分は確かにグリップするものの、オフラインなので外の方は汚れています。

しかし黒いのでどこまでがラインでどこからがオフラインなのか見分けがつかず、ドライバーは

「どこまでが使っていいラインか」の見極めが難しくなります。一方で、グリップの高いラインを走ろうとしている

わけですから当然速度は出て、グリップするもんだという前提で走っており、汚れたラインを踏むと立て直しが

きかないのではないか?とこういうことのようです。なるほど。。。

 

これでステージ1だけで6回目のコーション、これはステージ1として今季最多となりました。最後は1周の

シュートアウトとなり、ハービックがステージ勝利を手にしました。先週に続いてカイル ラーソンがうまいこと

ステージ3位でポイントを加算しています。

 

 

 ステージ2、17台ほどステイ アウトした中でリスタート2位のジミー ジョンソンがリーダーに。ここ最近の

1.5マイルで話題になっているようですが、ジョンソンはダウンフォース多めのセットなようで、確かに見ていても

ターン1~2でしっかりと路面に吸い付いている印象があり非常に旋回速度が高く見えます。

(と言っても数字ではほんの数mphの差なんですが)99~138周目をリードしたジョンソンですが、追い上げてきた

エリック アルミローラに抜かれるとそのままピットへ。このあたりからピット サイクルとなります。

やはりピットでは作戦がまちまちとなりますが、結局速さを見せてピットでも給油のみで時短を狙ったアルミローラが

ステージ2の勝者となりました。2位は2タイヤにしたジョーンズ。ジョンソンは4タイヤ交換で3位でした。

 

 

 ファイナル ステージ、開始から9周でジョンソン痛恨のハーフスピン、からの壁ドン。

ダメージは少ないのかと思いきや、意外と足回りでもやられたようで、規定速度を満たせずリタイアとなりました。

若いころなら立て直せたのかな、とかつい思ってしまいますね。良い走りだったのに残念です。

引退する3年ぐらい前のジェフ ゴードンがこういう感じだった気がしますね。

 

 191周目にリスタートしたものの、今度はギャレット スミスリーとデービッド レーガンがクラッシュ。

トゥルーエックスは優勝狙い&最終戦へのテストもあるんでしょう、とうとうボンネットを開けてアライメントまで

調整し始めたようですw

 

 この後レースは再びアルミローラがリードし、ダニエル スアレス、ウイリアム バイロン、カート ブッシュ、

ジョーンズ、とノン コンテンダーがトップ5を占める展開、ここにコンテンダーのラーソンが割って入ります。

 ラーソンはコース上で順位を上げていき、240周を前にしてアンダーカットを狙い早めのピット。しかし悲しいかな

242周目にバッバ ウォーレスがスピンしてコーションとなり、入った人は大損しました。

このスピン、ウォーレスは何とか一度は耐えた、と思ったらスピンしてコーションとなり、損をしたラーソンが

「彼がわざとスピンしたことをデータは示している」と故意にコーションを出したとメディアに語り、ちょっとした

騒動になっているようです。NBCの取材に対してウォーレスは「ブラッドとロガーノから学んだ」と答えたそうです。

ほら、先週ロガーノのスピンがわざと臭いって私言いましたよねw(関係あるのかは知りませんが)

トゥルーエックスもインタビューに対し「パンクしたタイヤでわざとスピンするのが人気になっている。

良くないことだよね」と話したようで、Xfinityでも既にこの件は問題になっているようです。

故意スピンってけっこう重い処分が下されて厳しい目が向けられていると思っていたんですが、どうも

NASCARはやや裁定が甘くなってしまっているのかもしれませんね。一応処罰権限も実績も過去にあります。

 

 さてトラック上に話を戻しましょう、コーション直前にリーダーのアルミローラも入っていましたが、あまりに

コーションの直前だったためにギリギリ周回遅れを回避し先頭からリスタート。明暗が分かれました。

 

 これでレースの流れはアルミローラかと思われましたが、3列目からリスタートしたハービックが追い上げて

アルミローラとチームメイト同士でリーダー争い。254周目に先行すると、ここからはほぼ独走状態でした。

インディアナポリス以来、プレイオフに入ってからは初勝利で今季4勝目。1.5マイルは今季初勝利です。

 多くのドライバーがピット戦略を色々と駆使する中でハービックは4タイヤ交換が多く、集団走行でも

速く走れるだけの自信と根拠があるように見えました。最終戦のホームステッドもおそらくはピットでの戦略が

節目節目で重要になるでしょうが、ロドニー チルダースの読みも冴えた盤石のレース運びは脅威となりそうです。

 

 アルミローラ、スアレスと結局SHRがトップ3を独占。途中ハンドリングがグダグダだったライアン ブレイニーも

気付けば8位フィニッシュと意外な修正力を見せました。正直周回遅れで終わるかと思った^^;

 マット ディベネデトーは終始10位~15位あたりを走って14位と堅実にフィニッシュ。私の見間違え出なければ

1.5マイルとしては今季最上位フィニッシュで、ドライバー・チーム力の向上を感じます。

 

 いよいよ次戦は最後の生き残りをかけたフェニックスです。スタンディングスは

1 Martin Truex Jr.   win

2 Kevin Harvick       win

3 Kyle Busch         +22

4 Joey Logano       +20

5 Denny Hamlin      -20

6 Ryan Blaney        -23

7 Kyle Larson        -23

8 Chase Elliott       -78

5位以下の人がポイントで逆転するには、少なくとも前の人がリタイア級のクラッシュをするか、ステージ ポイントを

大量で手にする必要がありそうです。とはいえ、コンテンダーの誰かが勝つとポイントでの進出枠は1つになるので

カイルとロガーノの2点差の争いというのも非常に重要です。