GT SPORTは車両がいくつかのカテゴリーに分かれており、
スポーツモードではマニュファクチャラーシリーズがあることもあって、
特にGr.3とGr.4の使用頻度は非常に高いと思います。

 Gr.3は現実のGT3カテゴリーと同等、Gr.4はGT4と同等、
という説明になっており、Gr.3に関しては実在する
GT3車両を中心に、一部はLM-GTEやそれに近い車種、
あるいはJAF GT300っぽいものがあり、多少の特性の違いが
ありつつも、それなりにレースできると感じる部分が多いと
個人的には思います。たまに明らかにやりすぎな調整が
入ったりするので困りますが。

 GT Planetという海外サイトで、BoPテーブルが有志によって
一覧表にされているようで、こちらを拝借してみますと

イメージ 1
※パワーがゲーム内のフランス馬力=PSではなく
 イギリス馬力=BHPなので見た目上我々が普段目にする数字より
 少し小さい数字になります

概ね550馬力、1300㎏前後の数字に集まり、GT3は規定により
後輪駆動しか認められていないためGr.3も全て後輪駆動です。

実在するのは
Audi R8、BMWのM6(2種類)、Z4、M3GT(GT2車両)、
ヴァンテージ、バイパーGT3-R、458イタリア、ウラカン、
RC F(2種類)、GT-R、メルセデスのAMGとSLS
ポルシェ911RSR(LM-GTE車両)ルノー R.S.01、
の16車種、だと思いますw
ビートル、WRX、ランサー、といったあたりは、ベース車両を
広範に改造したJAF-GTがイメージされていてコーナー重視、
という印象、Fまあそれなりにうまく『キャラ設定』
されているかなとは思います。
架空すぎるシトロエンやプジョーVGTが極端な性能なのは
もうちょっとどうにかしてほしかったですが。


 一方Gr.4が今回のお題です。こちらも同じく一覧を拝借しますと
イメージ 2

 駆動方式はバラバラ、パワーは301BHP~446BHP、
重量は1050kg~1650kgとものすごい差があります。
 特に問題なのが重量。重量はタイヤの摩耗に直接響いてくるので、
重いと非常にレースが厳しくなります。
ブガッティ―はマニュファクチャラー契約できないので除外するにしても、
GT-Rは1522kg、後輪駆動勢は1450kg近辺が主流で、
ネイションズで最近人気の4Cとは300kg以上差があります。
 ちなみに、実在する車両は
メガーヌトロフィー、TT Cup、ケイマンGT4の3つだけ、
ケイマン以外はワンメイクカップ車両で、しかも
メガーヌトロフィーは見た目メガーヌに見せかけた
日産VQ35DEエンジンをミッドに積んでフレーム組んで
皮をかぶせた車で、全くGT4とはかけ離れた存在です。

イメージ 3


 駆動方式別に考えてみると、FRでは86だけ異様に軽く、
ジェネシスもなぜか軽量級、それ以外は概ね400BHP、1450kgで
似た範囲に収まっています。4WDはGT-Rとヴェイロンだけ激重。
Gr.4はパワーが無くて重いので、正直四駆のトラクションの
恩恵ってほとんどないんですが、性能がやや抑え込まれている感があります。
 FFは運動性能の問題があるので軽いのは多少良しとするとしても、
MRではメガーヌトロフィーと4Cだけ極端に軽く、他はFR勢から
ちょっと運動性能が良い分パワーを削った感じになっています。

 単純に一発のタイムをどこかしらのコースで出せば、そこまで
極端な差にはならないですが、実際にレースをしてみると
駆動方式と重量でタイヤの消耗に特に顕著に差が出てきます。
 そして、現在のエキシビションシーズンでは、消耗倍率が大きく、
しかも2スペックのタイヤから選択することになるため、
この部分が非常にネックになっていると思います。

 軽量な車両では、柔らかいタイヤで楽々攻めて走れるのに、
重量4WDでは固いタイヤでなんとか耐える程度、といった
ことが頻発してしまいます。
 結果、スタート直後など、ブレーキングポイントが違いすぎて
事故が多発する原因になります。

 また、4WDでは特に、回り込むコーナーなどでアクセルと
ステアを同時に使うと否が応でも外側の前輪が摩耗してしまい
戦闘力が大幅に低下。
 FFでも同じでは?と思いますが、FFは速く走るためには
V字ラインを取ってタイヤを直線的に使わないと全然脱出が
出来ないので、踏みながら曲がることを控えた方が基本的に
速いため、速く走ろうとすることとタイヤをゴリゴリしないことが
ある程度一致するところがあるため、踏まないことにはタイムがでない
4WDとまた少し事情が異なるところがあります。

 現行の規則では、4Cは多少直線が遅くても結局タイヤ選択や
ピットタイミングの幅の広さが有利に働いてしまうところがあり、
これは86にもある程度同じことが言えます。

 そもそも現実のGT4カテゴリーというのは、
プライベーターやジェントルマン向けのカテゴリーであり、
ある程度ざっくりBoPで調整して、あとはドライバー次第で
楽しく走ることが本来の趣旨です。
 GT3がその役割を担っていましたが、人気過熱でどんどん
ワークス的体制になって金がかかり、差も激しくなってきたので
次期規定では性能差是正のための措置が盛り込まれるとされています。
 で、これをGT SPORT内で言うところのDRがA+に近い、
ないしは超えてくるようなレベルの人が扱ってレースすると、
もはやアマチュアの域の走り方ではないため、明らかに
ドライバー以上に車の性能差が顕著になってしまいます。

 消耗倍率が大きいほどより影響が大きいため、
走る前から「あ、このレースはこの車ダメだ(+ +)」という
レースが出てきてしまいます。GT4の本来の目的からすると
完全に失敗してますよね。

 正直ベース車両に極端なものが含まれているため、これを
BoPでどうにかするのは不可能です。
それではもはや、外観だけ別で性能が全く同じという
『ゲーム的措置』でも施さないといけなくなるでしょう。

 まずもって、FFのワンメイクカップカーを放り込んだことが
第一に妙な事だった気がしますが、たぶんこれらのメーカーに
適したベース車両が無いから仕方なく、という感じだったんでしょう。
だったらシトロエンはDS3だろ、というツッコミが出てくるんですが、
架空車両はOKだけど、ベース車の駆動方式を変えるのは
やりたくなかったんでしょうね。

 それならせめて、アルファロメオはジュリエッタ、
4WD勢は全部後輪駆動にすれば多少はマシな顔ぶれになり、
あとは86を重くするか、トヨタもヴィッツとかのFFにしておけば
今よりもだいぶマシなものになったはずなので、
このあたり収録車種に大人の事情が絡みすぎてかなり
雑なカテゴリーになってしまった感は否めません。
 アウディーは実際にはR8 LMS GT4というGT4車両が既に
発売されていますが、4WDではなくRWDになっています。
 日産に関して言えば、何回か書いていますが370Z GT4というのが
ちゃんと実在しているので、そっちを使えばこんな極端な
車を登場させる必要は無かった気がします。

 で、そんな総入れ替えが今さらできるとも思えず、
BoPの対処もおそらく不可能ですが、以前は日産で走り、今は
トヨタにいてある種両極な状況を経験した人間の意見としては、
あまりにも毎回戦闘力がなさすぎると、マニュファクチャラーシリーズで
Gr.4のレースを走ろう、楽しもう、という気力がガクンと落ちますし、
出ても荒れていては参加者も減ります。
 ネイションズカップと違って車両は変えられないですし、
せめてもの対策として、マニュファクチャラーシリーズの
Gr.4のレースはタイヤスペック固定、低消耗倍率
(燃費もバラバラで一時シトロエンが席巻したので燃費レースも
 やや抵抗がある)で、耐久要素は無くしてしまった方が
良いのではないかと思います。
 タイヤや燃料のことを、高倍率を意識してBoPを決めると
性能差がより極端になりますし、1倍基準で考えた方が
よほど楽しめる規則で、少々4WDのタイヤが減りやすくても
参加者は攻めた走りをすることができると思います。

 正直、高倍率レースばかり、というのが楽しめないのではないか、
というそもそも論がその前にありますが、それにしても
ちょっと差が酷すぎて、86で恩恵を受けていながら
不利なメーカーの人に対してこちらも申し訳ないような、
全力で争えなくて残念なような気持ちがあるので、
Gr.4の立ち位置とレース運営について、きちんと考えて
行っていただけることを期待したいです。