Monster Energy NASCAR Cup Series
Gander Outdoors 400
Dover International Speedway 1mile×400Laps(120/120/160)=400miles
winner:Chase Elliott(Hendrick Motorsports/
               NAPA Auto Parts Chevrolet Camaro)

 MENCSのプレイオフ、Round of 12が開幕です。
初戦はモンスター マイル・ドーバー。予選が雨で無くなったため、
オーナー ポイント順=コンテンダーがトップ12に並ぶオーダーでの
スタートとなりました。
 レースは春のドーバーを制しているケビン ハービックが今回も
レースを支配していましたが、終盤のドラマで
チェイス エリオットが優勝をもぎ取りました。
ずっと不運であと一歩届かないレースが続いていたのに、
初勝利を挙げると勝てるようになる、不思議なもんですねえ。

 先週、あとコーナー2つというところで自爆してしまいプレイオフから脱落した
ジミー ジョンソン。彼はここまで16シーズン連続で最低でも1勝する、
という記録も継続していますが、今季未勝利で赤信号状態。
 得意のドーバーでせめてこの記録だけでも、と思っていたはずが、
なんとパレード周回中にトラブルでピットへ。
サスペンションのボール ジョイントが壊れた、ということで、
いきなり10周遅れでのスタート。勝てなくなるとホント
こうなるから不思議ですよね(´・ω・`)

 PPはカイル ブッシュでしたが、レースが始まるとすぐに
ハービックがリーダーに。ハービックは今回こんなスキームで参戦

 ブッシュはビールのブランドなので、なんとなく日本人が見ると
『キリン秋味』みたいに思えてしまいますが、まあそれは置いといて、
ブッシュ ビールは今回ハービックがレースを1周リードするごとに
$1000(上限$25000)をNational Forest Foundationに寄付するという
企画を立てていました。
 16周目からリードを記録したハービックはその後ピットに入る前の
74周目までリードし続けたので、既に満額回答になりましたw

 そのピットで若干タイムを失ったものの、ハービックはぶっちぎりの
速さでステージ1を制しました。
 一方カイルは、途中で
『トラック バーがどの位置にあるかが計器に表示されない』という
トラブルが発生。車内からアジャストしても、画面の表示上は全く
動作していないため、どのぐらいいじったのか、ピット後にどこまで
戻すのか、全部ヤマカンになってしまいました(+_+)


 ステージ2はピットで先行したジョーイ ロガーノを先頭に始まりますが
ハービックがあっさりパス。
 ドーバーはコンクリート舗装で、走行すると路面にラバーが
乗る一方で、コーションで低速になると、逆にタイヤがラバーを拾って
なんとさっきまで黒かった路面がまた白くなります。
 リスタートの蹴り出しそのものは、外側ラインの方が有利ですが
(内側だとステアリング舵角が残った状態から加速が始まってしまう)
ここのバンクは『掘り下げる』形状なため、インに向かって
ダイブした方がライン的に速くターンはインが有利、という
けっこう複雑な事情があります。

 ステージ後半、周回遅れになりたくないアレックス ボウマンが
結構車の調子が良いためにハービックの前で粘り、その間に
クリント ボイヤーが接近をしましたが、ハービックの優位は変わらず
このステージも勝利、春のドーバーからこれで5連続ステージ勝利です。


 このコーションでは、カイル陣営のクルーが『ニンジャ ムーブ』で
車内に入って修理を試みる場面があり爆笑。
 なおこの車内からのアジャストですが、来季は禁止されることに
なった、という情報が入っています。
 またオフになったら書くつもりですが、来季の車両規則が公表されており、
これまでの『ダウンフォースを削る』という方向性を覆し、
『パワーを削ってダウンフォースを増やす』という、疑似直線レース指向と
なっているようです。
 デイトナ500以外のスーパー スピードウェイはリストリクター プレートを
装備しない(ていうか標準状態で既にそれぐらい絞ってある)そうです。


 話が逸れました。ファイナル ステージもハービックの秋味号が独走。
既に200周ほどリードしているので、上限が無ければ
$200,000ほど寄付されていたはずです。に、二千万円!?
いやあ制限あってよかったw
 スチュワート-ハース自体が好調で、なんとこの後トップ4独占。
もうこれはどうしようもないな、と思われましたが、
モンスター マイル、日本で言うと魔物が棲むわけで、簡単には
終わらせてくれません。
 残り81周、ライアン ブレイニーとマーティン トゥルーエックス ジュニア
(本日存在感無し)を皮切りにピット サイクルが始まります。
 するとなんとここで、ハービックがピットを終えて再ピット。
ホイールを締める際に誤ってガンでバルブ部分を誤爆してパンクしたようで、
まさかの周回遅れに。
 SHRは全員がプレイオフに残っているため、よくありがちな
『優秀なクルーをコンテンダーのところに集結させる』という
策を採ることができません。いや、集結させなくても
優秀なのが一番いいんですけどね。
 さらに、ペースが上がらず苦戦していたカイルも速度違反を犯して
これまた周回遅れです。

 残り61周、ロス チャステインの車から車軸が脱落( ゚Д゚)
これでコーションとなります。
コース上を転がって、ロガーノの車体右側にぶつかりました。

 ここで各車ピットへ、ブラッド ケゼロウスキーが2タイヤ交換で
先頭に出て、続くのはSHR第2の刺客、エリック アルミローラ。
 得をしたのはデニー ハムリンで、彼はルース ウィールでステージの
早い段階でピットを強いられ、2ピット作戦を採用せざるを得ないはず、
だったのが、コーションに救われて、結果アンダーカットしたような
形になりました。6位からリスタート、彼もここまで
12シーズン連続優勝中なので、記録を伸ばしたいところです。
トゥルーエックスは速度違反でしょっぴかれました・・・

 ケゼロウスキーは、外リスタートからとにかく1周目の攻撃をしのいで
クリーン エアーで逃げたい考えでしたが、アルミローラは
それを許さずケゼロウスキーをパス。
 このままアルミローラの優勝で決まり、かと思われた
残り18周、チームメイトのクリント ボイヤーがルースウィールで
ピットへ。サスペンションが折れたと思えるぐらい右後輪が
ガタガタになっていました。

 ここではコーションはなく、アルミローラの背後には
これまたチームメイトのカート ブッシュ。カートがじわじわと
アルミローラに迫り、チームメイト対決か!と思った矢先の
残り9周、再びボイヤーがルースウィールとみられるトラブルで
ウォールにヒット。コーションとなってしまいます。



 前回の交換ではクルーが入念に締めてましたから
ハブそのものが傷んでいるか、あるいは、入念に締めてるのを
無視してジャッキは落とされていたので、変な角度で締めたか、
といったところではないかと推察します。

 レースは残り4周でリスタート、ステイ アウト組の
エリオット、ケゼロウスキー、トゥルーエックスに、2タイヤで
ハムリン、ボウマン、そして4タイヤのアルミローラと兄ブッシュ、
という順位。
 しかしモンスターはそうやすやすとレースを終わらせてはくれません、
リスタート直後のバックストレッチ、頑張りすぎたアルミローラが
ウォールに当たって跳ね返りケゼロウスキーに命中、そこにさらに
ボウマンも突っ込んでしまいました。トゥルーエックスも軽く巻き添え、
ブレイニーは現場通過後にアウトに孕んできた別の車のあおりを受けて
右リアを壁にヒット。
狭くて高速でバンクが高いから跳ね返ってくるドーバー、
1台やらかすと大惨事です。
 これでレースはオーバータイム、1列目はエリオットとハムリン。
この2人、昨年からの因縁があります。
 マーティンズビルでは初優勝目前のエリオットをハムリンが破壊。
2レース後のフェニックスでチェイス君かるーく反撃

 と、これは嫌な予感しなしないわけです。当然エリオットは外選択、
でも彼はタイヤ交換しておらず、インから来るハムリンは2タイヤ。
無理にでも突っ込んで当てながら曲げていく、、、そんな様子を
想像するのは難しいことではありません。

 お互い2列目の車(4タイヤ組)に押されながらのリスタート、
勢いはややハムリンのほうがついていましたが、エリオットは
外から綺麗にターン1~2を通過ハムリンはやや慎重な動きで
捕まえることができません。
 1マイルのトラックでこうなればもはや逆転は難しく、後続の
混乱も起こらずそのまま最終周へ、そして、見事エリオットが
逃げ切って次ラウンド進出を決定させました。

 終盤に多くのコンテンダーにトラブルが起きたこのレースを終えて
プレイオフ順位は
イメージ 1
 ハービック、カイルは貯金もたっぷり、トゥルーエックスも
よほど何か無ければ安泰の位置です。
 ダメージが幸い致命的でなかったブレイニーは11位とクラッシュ前より
順位は下げてフィニッシュしたもののスタンディングス8位の位置。
受難のSHRが2台脱落圏です。
ボウマン、車は後半にかけてけっこうよかっただけに悔やまれる
巻き添えでした。

 そして次戦はタラデガ。ロガーノ曰く
「勝つ確率が50%、でも事故る確率も50%」
エリオットが勝ちぬけを決めたヘンドリックは、権利がない
ジョンソンも含めてボウマンを担ぎ上げるように戦える利点があります。
 ボウマンにチャンピオン獲得の芽があるかは微妙ですが、
ここでは『他の奴に勝たせない(自分たちが枠を奪う)ことで
エリオットのライバルを減らす』ことが持つ意味が大きいので
勝たせるのは大いにありです。
 ウイリアム バイロンは経験が浅いので仲間に入れると逆に
事故りそうw

 当然ここでは非コンテンダーが勝つ可能性もありますし、
事故で僅かな加点にとどまれば、ロガーノもトゥルーエックスも
3戦目に向けて重圧を受けることになります。
堅実に走りたいけど、堅実に自分が走っただけでは安全にはなれない、
それが『This is Talladega』です。