Monster Energy NASCAR Cup Series
Gander Outdoors 400
Pocono Raceway 2.5miles×160Laps(50/50/60)=400miles
winner:Kyle Busch(Joe Gibbs Racing/M&M's Caramel Toyota Camry)

 MENCS at ポコノ―(2回目)。2回開催のトラックはよく
「春の〇〇」とか季節で呼び分けますが、ここは6月・8月なので
どっちも夏っちゃあ夏だし呼びわけづらいです。しいて言えば
初夏と夏でしょうか。
 さて、レースの方は最近のここのレースとしては比較的面白く見れた
一戦となりましたが、勝ったのは『ビッグ3』の一角、カイル ブッシュでした。

 このレース、予選後に大量13台が車検に引っかかってタイム抹消。
NASCARは、現在は手動でテンプレートによって行われている車検を
画像解析による電子化を進めており、今回がシカゴランドに次ぐ2度目の
テストでした。
 前回は4台が引っかかり、こちらはさらに増加。多くは車体形状ですが、
リアのトーに関するもののほか、カイル ブッシュ陣営は
クルー チーフのアダム スティーブンスが
「ブレーキ冷却ファンの上限数についての規則を勘違いしていた」
ため違反に。
 従来は予選前に車検があったものを、新制度では予選後に移設したため、
従来なら予選不参加になるところが、走った上での失格となっています。
走った後なので、走行で発生する細かい車体形状の変化などに
余裕をもっておかないといけないところを攻めすぎた面もあるようです。
予選上位6台中5台がしょっぴかれるなどし、ダニエル スアレスがPP獲得。


 ステージ1、初ポールからスアレスがチームメイトのデニー ハムリンを
従えてリード。後方からは車検違反組のケビン ハービックが
猛烈な追い上げを見せていきます。
 ハービックは順位を上げるため早めのピットで、これをきっかけに
ピット サイクルが本格化。スアレスはピット後も実質的なリードを守りますが、
周回遅れに詰まった隙にハムリン先輩が前に。
 しかしそれ以上にロング ランで安定していたのはチェイス エリオット。
40周目にハムリンを抜いてそのままステージを制しました。
 ただ、ハービックがハムリンを抜いて2位でステージ終了。
「トラフィックでひどい」と言っていたようですが、これだけ
抜いてきておいて説得力がありませんw
 なお、ハービックは車検で複数回引っかかったため、規定により
ドライバ―/オーナー ポイント10点減点のペナルティーを受けています。
 一方、エリック ジョーンズとマーティン トゥルーエックス ジュニアは
ステージ残り3周でピットに入り、ステージ2を前でスタートする戦略を
採用しました。


 ステージ2、その2人と2タイヤ交換のカート ブッシュがトップ3で開始。
しかし6位からリスタートのハービックが速すぎて、64周目にジョーンズを
抜いてとうとうリーダーに。
 ピットサイクル後もハービックが実質リードする状態は変わりません。
トゥルーエックスはブレーキ ダクトにデブリーが付着して
問題を抱えていたようですが、ピットで取り除いて一安心。
ここは年間でも特にブレーキの負担が大きいトラックなので、
ブレーキがダメになると走ることは不可能です。
 83周目にコリー ラジョーイがそこそこ激しくバリアに当たって
コーションとなり、まらピットに入っていなかった面々がピットへ
入りますが上位の情勢には変化なし。
 結局ステージ2はハービック無双。そしてJGR勢などはまた
残り3周でピットに入る作戦でした。


 ファイナル ステージ。作戦発動の人に加えて、先ほどのコーションで
ピットに入ったウイリアム バイロンがステイ アウトする奇策で
リーダーとなり、かなり変わった顔ぶれで開始、ハービックは
9位からのリスタートとなります。
 リスタートでバイロンは思いがけず好発進しリード、一方ハービックは
集団に埋まって順位を失います。
ただ、15周近く古いタイヤのバイロンは「タイヤをもたせられそうにない」。
 カイルが111周目にこれを抜いて今日初めてのリード。

 121周目、スルー ザ フィールドでちょうど取り上げていた
ジミー ジョンソンとブラッド ケゼロウスキーのバトルのさなか、
ケゼロウスキーの右リア タイヤがいきなり壊れてクラッシュ。
これで残り40周弱とギリギリ燃料ウインドウ内に入ったので
迷わず全車ピットへ向かいます。
 埋まってしまったハービックには良い仕切り直しのはずでしたが、
ピットを出る途中、チームメイトのエリック アルミローラと接触し
フェンダーを破損。両者とも修復で再ピットとなり後方へ下がることに
なってしまいました。当たり方は大した衝撃ではなかったようですが、
ちょうどフェンダー同士が噛み込んでお互いにめくりあげる形に
なってしまったようです。これは不運でした。

 残り35周、カイル、スアレスの1列目でリスタートしましたが、
後方でランドン カッシルの車からオイルが撒かれたようで即コーション。
燃料的にはみんな大助かりで、オイル処理もあって残り28周から
ようやくリスタートとなります。

 カイルはスアレスを寄せ付けず快走、CM中にはジョーイ ロガーノが
右リアをパンクしたようですがコーションは出ず、残りも
あとわずか、となったところで、背筋の凍る事故が発生しました。
残り7周、ダレル ウォーレス ジュニアがほぼ減速せずターン1の
バリアに激しく衝突し車両が大破。

 ターン1に入る前の段階でブレーキが壊れたようで部品が飛散しています。
この前からブレーキが厳しいと訴え、チームからはなんとか耐えろと
言われていたようですが、ブレーキの問題は絶対に軽視しては
いけません。
 激しい事故にもかかわらずウォーレスは無事なようでこの後
インタビューを受けることもできました。
芝を突っ切ってバウンドした際に多少エネルギーを捨てたのと、
上手く右リアを当ててから助手席側を、という順で壁に当たったのが
幸いしたと思います。万一ドライバー側や真正面からだったら無事では
いなかったでしょう。これでレースは赤旗となりました。

イメージ 1
自力で車外へ脱出するウォーレス

 ブレーキに厳しいのもありますが、その手前の直線が非常に長いため、
一旦すごく冷えてからものすごい勢いで加熱するため温度変化が激しく、
単に冷却を強化すれば良いというものでもないと解説されていました。

 残り3周、スアレスは下剋上の機会が巡って来たわけですが、
外側リスタートは圧倒的有利な上に相手はリスタート名人のカイル。
攻めることはできず、これで終わり、かと思ったら中団でアクシデントがあり、
とうとうレースはオーバータイムへ。
 元々燃料がギリギリだったので、万一もう一度オーバータイムだと
上位陣は燃料がヤバそうです。

 そのオーバータイム、ここでカイルが初めて出足が今一つで
スアレスが攻撃のチャンス!と思ったら、さらにその後ろから
ジョーンズがスアレスを狙ってインを伺い、結局そのせいで
スアレスはカイルを攻めきれず。チームメイト同士、しかも
スアレスとジョーンズの同期若手同士の争いがカイルを利する形となり、
コーションは出ず、そのままカイルが逃げ切りました。

 非常に恐ろしい事故はありましたが、淡々と進むだけのレースが
多いこのトラックで、久々に色々と争いが見られて良かったです。
それが車検に引っかかって速い人が後方へ下がったせいだ、というのは
複雑なところではありますが、今後もカイルとハービックには
積極的に違反していただきましょうw

 次戦はロード コースのワトキンスグレンです。