Monster Energy NASCAR Cup Series
Can-Am 500
Phoenix International Raceway 1mile×312Laps(75/75/162)=312miles
winner:Matt Kenseth(Joe Gibbs Racing/Circle K Toyota Camry)

 MENCS プレイオフ at フェニックス。いよいよ最終戦に残る4人が決まります。
レース間の情勢ではブラッド ケゼロウスキーがポイントで優位、
デニー ハムリンとライアン ブレイニーはポイントでも届かないことは無く、
チェイス エリオットとジミー ジョンソンは勝たないとほぼ無理。
 最後の1枠を賭けた争いは色々なことが起こり、なんとコンテンダーではない
マット ケンゼスがなんと優勝してしまいました。
 ケンゼス、来季は未定ということで、引退とはっきり口にはしていない
感じだと私は解釈していましたが、どうやら受け止め方としては
もう今季限りで引退、という情勢のようです。

 PPはブレイニー、2位ハムリン、4位にチェイスとなんだかやらせのような
順位でレース開始。
 ブレイニーまさかの大逆転進出か?と期待しましたが、前輪への攻撃性が
高すぎるようでどんどんタイトになって行ってあっという間に後退します( 一一)
 序盤チェイスとハムリンがリーダーを争いますが、そこにカイル ラーソンが
割って入って67周目にリードを奪いステージ1を制覇。返す返すも
あのエンジン ブローが憎いぜ・・・
 一方、ケゼロウスキーはずっと苦戦して15位あたりを走るのがやっと。
ブレイニーもイマイチですが、ブレイニー以上にイマイチで、ハムリンが
ステージ ポイントを9点稼いだことで安泰ムードが怪しくなってきました。

 
 コーションでのピットを終えるとハムリンが先頭、2位にケンゼス。
全く注目していませんでしたが、7位スタートのケンゼスが4位で終えて
ピットでさらに2つ上げてきました。ものすごく車の感触が良いそうです。

 ステージ2序盤はカイル ブッシュも加わってJGRの壁ができましたが、
そのうちハムリンとラーソンの争いに戻ります。
 が、104周目にラーソンにまたもエンジンのトラブル。これでラーソンは
ここ4戦全て37位以下です。
 これで追ってくる人がいなくなったハムリン、この後も快走を続けます。

 そしてステージ2もコーションなくハムリンが最終周に、と次の瞬間、
ジョンソンがターン3でクラッシュしている映像が飛び込んできました。
決していい車ではなさそうでしたが、徐々に上げてきていたし作戦で勝てる
可能性のあるトラックなので侮れないと思っていましたが、なんと
コーション間近にクラッシュ。これでガレージ行きとなり、8度目のチャンピオンの
道はここで終了となりました。そしてコーションでステージ2終了。
ハムリンが制して10点を獲得しました。

 この時点で、19点を稼いだハムリンに対してケゼロウスキーは0点で、
レース前の19点差が完全にチャラに。つまり、この2台だけを取り上げると
先にチェッカーを受けた方がホームステッド行きです。


 ステージ3もハムリン、ケンゼスが速く、マーティン トゥルーエックス ジュニアが
3位で続きます。
 デイル アーンハート ジュニアの車載映像を映していたら、ちょうど右前タイヤが
壊れたようで危うく壁に突っ込みかけたりしましたが、そんな中
229周目、既に右前がかなり壊れていたトレバー ベインがターン4でクラッシュし
3度目のコーション。ここからレースは急に荒れてきます。

 残りが80周ほどということで既にフューエル ウインドウが開いているので
文句なしに全車ピットへ、そしてここでケンゼスがとうとう先頭で出ていきます。
 236周目にリスタートしますが、3周後にデブリーでコーション。
リード ラップでも後方グループはピットへ向かい、ケゼロウスキーは
対して順位を落とさないのでここでピットへ。
ややお疲れなのか、急ぐほどでもないのに危うくボックスからはみ出かけます。

 244周目にリスタートしましたが、8周後にクリス ブッシャーがクラッシュし
またしてもコーション。ダニエル スアレスとやや接触していましたが、
どうも右前のブレーキ ディスクが割れて砕け散ったようです。
そしてなぜかこの後SAFERバリアから出火します。
どうやらこの加熱した部品がバリアの発泡素材に火を点けたようで、
これで消火のため赤旗に。こんなの初めて見ました。

 中断後、またリードラップの一部がピットに入り、これで
上位6台は231周目に入った組でブレイニーまで、その次が240周組で、
ケゼロウスキーがその中の先頭、そして今入った255周め組で、ここに
フェニックス職人のケビン ハービックが含まれます。

 259周目、ケンゼスは常にリスタート好調。2位をハムリンとチェイスの
因縁の2人が争い、これを制して2位に。ハムリンとすればケゼロウスキーの
前にいればポイント的には問題ありませんが、チェイス君が勝ってしまうと
脱落になるので、絡みたくないような、抑えないといけないような、微妙な立場です。
 しかしリスタートから2周後にコール ウィットのクラッシュでまたもやコーション。
266周目から仕切り直しとなります。

 リスタートでトゥルーエックスに抜かれたチェイスに対し、ハムリンも
仕掛けて再び先行しますが、ここからチェイスがハムリンにこつこつと
バンプを仕掛けます。和解したことになってる2人ですが、明らかに何か
起こりそうです。
 ケゼロウスキー陣営からしたら、チェイスがハムリンを破壊してくれて
ケンゼスが勝てばバンザイですw
 ハムリンとすれば、車の出来でケゼロウスキーには負ける要素が無いので、
ヤラれそうな位置で争うより、さっさと行かせてケンゼス&トゥルーエックスに
優勝は任せても良かった気がしましたが、そうこうしているうち、
やっぱりこうなった\(^o^)/最初、チェイスさすがにやりすぎ、と
思いましたが、正面の映像で見たら、本当に車1台分は確かに空いているので、
汚いと言われないギリギリの抜き方。
ハムリンの方はペースが低下し、ケゼロウスキーの目前まで順位を下げて
かなり厳しい状況。ただ、タイヤの状態に関して当初本人もピット側も
そこまでひどくはないだろうと感じたようですが、やはりブローしてしまいました。
それにしても、ぶつけた時もハムリンがクラッシュした時も、会場の
大歓声がすごかったです。ハムリン、明らかに悪役になってますし、
チェイスは人気急上昇中です。

 ハムリン的には終わってしまいましたが、チェイスとすれば
勝たないと意味が無いわけで、282周目のリスタートから狙っていきます。
 トゥルーエックス、ケンゼスと立て続けに攻略してとうとうリーダーに。
一方ケゼロウスキーは、リスタートであわやの場面。
外側2列目のエリック ジョーンズがシフトを入れ損ねたか失速して玉突き。
ラインを大きく外れて順位を落としましたが、クラッシュは避けました。
 もしケゼロウスキーがクラッシュ、かつチェイスも勝てないと、なんと
ブレイニーに機会が回ってきますから最後まで目が離せません。

 もうシナリオ的にはチェイスが勝つパターンなはずですが、
周回数を重ねるとチェイス失速。ケンゼスが再び接近して後ろから押すと、
残り10周、とうとうケンゼスが逆転。
もはやチェイスに巻き返す速さは無く、ケンゼスが優勝して、結果的に
ケゼロウスキーをアシストしました。
 ケゼロウスキーはこの頃温度が上昇していたので、かなりペースを抑えて
16位でのフィニッシュでしたが、ファイナルの4人に残りました。


 ケンゼス、昨年のニューハンプシャー以来の勝利で通算39勝目。
フェニックスでは2勝目ですが、前回は2002年まで遡ります。
まだビル エリオットがフル参戦していた時代です。
 これでチェイスは通算7度目の2位で、初勝利を挙げるまでに7回以上
2位になったのは史上6人目、父のビルも初勝利までに8回2位になっています。
ただ、現時点ではまだ1勝もしていないので、勝っていないドライバーとしての
2位獲得回数では、たしか史上最多か最多タイになったはずです。

 それにしても、マーティンズビルの記事で私は

初勝利を突き飛ばしたハムリンは、これから大きな代償を払うことになるかもしれません。

次に勝ってもたぶんブーイングしか来ないでしょうし、ファイナルに残っても
チェイス君に潰されるかもしれません。

と書きましたが、まさかこんな見事な展開が起こるとは・・・
レース後のチェイスのコメントを聞くと、仕返しとまでは言いませんが、
向こうは勝負所で多少当ててでも行く主義なんだから、こっちも同じように
レースをしただけですよ、何か悪いですか、という感じの雰囲気でした。
実際チェイスの当て方はNASCAR的には非常に王道でうまいやり方で、
このレースに関しては非常に絶妙だったと思います。

これで、ホームステッドでチャンピオンを争うのは

2 ブラッド ケゼロウスキー チーム ペンスキー/フォード 2012年王者
4 ケビン ハービック スチュワート ハース レーシング/フォード 2014年王者
18 カイル ブッシュ ジョー ギブス レーシング/トヨタ 2015年王者
78 マーティン トゥルーエックス ジュニア ファニチャー ロウ レーシング/トヨタ

の4人となりました。この中で、とにかくフィニッシュ順位が最も
前だった人がチャンピオンです。
例え全員クラッシュに巻き込まれても、事故って止まった位置が一番前の方だった人が
チャンピオンですw
最終戦は日テレG+で生放送、ただし最大延長10時、雨天順延時非対応なので、
長引いたり天気が悪くて月曜日に延期されると録画放送を待つことになります。


 あと、1回もテレビに映っていない気がしますが、今日はタイ ディロンが
なかなか好調で、兄を上回る11位でフィニッシュしたことは特筆すべき
出来事として上げておきたいと思います。