Monster Energy NASCAR Cup Series
First Data 500
Martinsville Speedway 0.526miles×500Laps(130/130/240)=263miles
winner:Kyle Busch(Joe Gibbs Racing/M&M's Halloween Toyota Camry)

 カップ戦も大詰めのラウンド オブ 8が開幕です。初戦はマーティンズビル。
スポンサーのファースト データはクレジットカード等の決済を行う企業です。
2015年にニューヨーク証券取引所に上場したばかりで、
先週末時点での終値は$17.13。公開価格が$16ほどで、最近
投資会社のKKR子会社が保有株の売却を発表して$18から下落したとか。
 今回カイル ラーソンのスポンサーも務めていますが、決まったのは随分
前の話なので、本来ならコンテンダーとして活躍するラーソンを思い描いて
いたのが狂ってしまった事でしょう。経営も狂わなければいいですが。

 レースは気温が9℃ほどしかない寒いコンディション。
客席に空席が目立ちますが寒いせいにしておきましょう。
レースは終盤に激しいぶつけ合いになり、カイル ブッシュがそれを
切り抜けてホームステッド一番乗りを果たしました。

 PPはジョーイ ロガーノ。今日はペンスキーが2人とも速く、
ロガーノ以上にブラッド ケゼロウスキーが好調の様子。ペンスキーのお仲間の
ライアン ブレイニーもそこそこ好調です。よしよし。
 45周目にコンペティション コーションが予定されていましたが、36周目に
3台が絡むアクシデントでコーションとなりこちらに統合。
 この後も2度のコーションを挟みますが、ケゼロウスキーがステージ1を制しました。
 なお、ステージ ポイントは次ラウンドに進出した場合に有効となり、
このラウンドの次は一律5000点になる最終戦なので、ここからは
プレイオフポイントの付与はありません。
 予選で車が壊れて後方からのスタートとなったジミー ジョンソンは
ステイ アウトを活用して4位でステージを終えることに成功します。

 ステージ2はピットで順位を上げたカイルをリーダーに開始。
チームメイトのデニー ハムリンは今日も速度違反。速度違反というよりは、
ブレイニーと並走してイン側のレーンを走ったせいだと思いますが、
何にせよ違反なので後方へ。チームはインを走った場合には何mphで
走らないといけないかも把握して指示すべきですね。

 このステージは何のコーションも無く進み、給油は不要なので気付いたら
ステージ終盤。
カイルは13位のハムリンを周回遅れにしようとしますが、抜けないのか忖度か、
これに引っかかってしまい、ケゼロウスキーが背後に。
 さらにハムリンも前を行くケイシー ケインに追いついて周回遅れが
2ワイドの状態で完全に通せんぼジジイ状態。
 ステージ残り3周、とうとうカイルがインを空けてしまってケゼロウスキーが
リードを奪い、ステージ2もケゼロウスキーが制しました。


 ステージ3、ここでもピット競争で勝ったカイルがリーダーで始まり、
ケゼロウスキー、チェイス エリオットが追いかけます。
 303周目、ラーソンがスピンからクラッシュ。ちょろっと絡んだ
51号車はリック ウェアー レーシングのカイル ウェザーマン。
20歳の若手のカップ戦デビューです。

 そしてレースが終盤に向かっていくので、このあたりからはみんな
ボコボコぶつけ始める時間帯になってきます。
 314周目にリスタートしますが、2周後にエリック ジョーンズがスピン。

 322周目にリスタート後はエリオットがカイルを追い始め、325周目に
軽く当てながらカイルを抜いてリーダーに。
 361周目、デービッド レーガンとランドン カッシルのチームメイト2台が
絡んで8回目のコーション。
 ここでフューエル ウインドウ内に入っているので全車ピット突入。
チェイス君は2つ順位を落とし、ケゼロウスキー、カイル、エリオットの
並びでリスタートします。

 マーティンズビルはイン側が圧倒的に優勢なのでたいていイン側を選択、
外を選ぶのは1列目をチームメイトで占拠しているときぐらいという印象ですが、
ケゼロウスキーは外を選んでいきます。
よほど外ラインのトラクションの良さを買っていたんでしょう。

 というわけでここも外から前にでるケゼロウスキー。
ところがこのスティントでエリオットは思った以上に速く
385周目に再びリードを奪います。マーティンズビルは
24号車の前任者・ジェフ ゴードンが得意としていた場所。
クルー チーフのアラン ガスタフソンには豊富な知識があるのでそれが
役立っている、といったジェフ バートンの解説。

 ただ、かなりブレーキを酷使ししているようで、ロング ランになった際に
タイヤ・ブレーキの摩耗が気になります。

 445周目、周回遅れにてこずったエリオットが進入で姿勢を乱し、
それをみたケゼロウスキーが突っ込んだら接触。
左リアのフェンダーを曲げたエリオットの車から白煙。順位は維持しますが
ますますロングランが不安になります。

 なんとか白煙が減少したエリオットにはチームメイトの援軍登場。
ジョンソンとケインが周回遅れとしてケゼロウスキーに立ちはだかり、
これで損をしたケゼロウスキーはカイルに抜かれ、エリオットはその間に逃走。
 458周目、カール ロングのクラッシュで9度目のコーションとなり
エリオットは一息つきました。

 465周目にリスタート。エリオットはタイヤ交換・フェンダー修復を
こなしてリードを守ることに成功しましたが、リスタート後ケゼロウスキーが
ガンガン後ろからつついてきます。
しかもそのケゼロウスキーをロガーノもつついています。

 471周目、とうとうケゼロウスキーがエリオットのインに入りリード奪還。
立ち上がりでロガーノに押してもらったような気がするぞ。
 ロガーノはケゼロウスキー援護のつもりがあるかどうかは別にして
エリオットにも攻勢を強め、487周目、ついにインに入ろうかという
流れになりますが、並走して速度が鈍る2台に対し4位のカイルが
さらにそのインを伺い、結果ターン2でロガーノと接触。
ロガーノのフェンダーが曲がってタイヤから白煙、しかも量が多くてこれは
いずれ壊れてスピンするパターンです。

 492周目、ブレイニーの目の前で案の定スピン。コーション発生。
ブレイニーなんとか回避成功。

 これで短いマーティンズビルで短い4周のシュートアウトになりますが、
これで混乱が起きないわけがありません。
 まずケゼロウスキーの外選択がここで初めて失敗。エリオットに簡単に
インに入られ、ターン3~4で見事な寄り切りを食らいます。
 ところが翌周、混乱に乗じていつの間にか来ていたハムリンがエリオットの
背後について、ターン3の入り口で強烈な押し出し。
エリオットがクラッシュし、場内大ブーイング。そしてオーバータイムに。

 これはちょっと許される範囲を超えてますね。全然止まれてないし。
誰が言ってたか忘れましたが、タラデガでエリオットがリードを奪った際の
歓声がまるでデイル アーンハート ジュニアに対するもののようだった、
と言っていました。確かにあの歓声は映像でもわかるほどでしたが、
アメリカのファンは去るジュニアに変わるスターとしてエリオットを
認識しつつある様子。この初勝利を突き飛ばしたハムリンは、これから
大きな代償を払うことになるかもしれません。


 オーバータイムはハムリン、カイルの並びで、ハムリンはインから出て
短い2周を抑え込むつもりでしたが、ハムリンに対してカイルさん容赦なくプッシュ。
 そのカイルにマーティン トゥルーエックス ジュニアが最後の最後でインに
入っていきますが、トゥルーエックスは優等生、というか
変な遺恨でこの先潰されても損なので無理をせずクリーンに行き、
カイルが逃げ切りに成功しました。
 因果応報のハムリン、最後はクリント ボイヤーに押されてラインを外れ、
車が来ているのに無理にラインに戻ったからブレイニーに押されてハーフ スピン。
これがきっかけでストレート上で大混乱に陥り、フィニッシュ地点の先が
駐車場のような状態に。

 
 最後ボイヤーに押されたハムリンですが、そもそも逃げれなかったのも
2割ぐらいボイヤーのせいかもしれません。
 通常ここでは1列目外の人は2列目内の人がインにいるのでなかなか
すぐにはリーダーに仕掛けづらいんですが、ボイヤーの旋回速度が遅すぎて
ターン2を出た時点でカイルはハムリンだけが相手だったので
ターン3では真後ろに付くことができました。
 レース後のハムリンの会場向けのコメントもまたエリオット支持者の
反感を買うには十分すぎるふざけた内容だったので、
次に勝ってもたぶんブーイングしか来ないでしょうし、ファイナルに残っても
チェイス君に潰されるかもしれません。


 さて、これでカイルが一抜けのホームステッドへの切符。

Rank

Driver

Points

Diff

Points standings after this race:

1

  Kyle Busch
win

 

2

  Martin Truex, Jr.

4117  

 

3

  Brad Keselowski
4079  

-38  

4

  Kevin Harvick
4053  

-64  

5

  Jimmie Johnson
4050  

-67  

6

  Ryan Blaney
4047  

-70  

7

  Denny Hamlin
4045  

-72  

8

  Chase Elliott
4027  

-90  


トゥルーエックスはかなり余裕、ケゼロウスキーもステージ ポイント20点が
効いてかなり安全なので、もう事実上ポイントの枠は1枠しかありません。
逆から考えると、下位の人が誰か勝ってしまうと、ポイントのボーダーと
なるのは30点近く離れたケゼロウスキーになるので、もはやポイントでの
進出は不可能に。
テキサスといえばジョンソン、フェニックスといえばハービック、
ということもあるので、今年はそういう雰囲気があまり出ていないとはいえ、
彼らが勝つとそのケゼロウスキーすら脱落。
ケゼロウスキーからしたら、もういっそ全部トゥルーエックスが
勝ってくれたらいいや、ぐらいの立場です。

 次戦はテキサス。エリオット、反逆なるか。